「人と関わらない仕事」で検索すると、根拠の書かれていない職業リストがたくさん出てきます。読んでいるうちに、どれも自分に当てはまる気がしなくなって、結局ページを閉じてしまった方も多いと思います。

この記事ではリストを作りません。代わりに、厚生労働省が運営している職業情報提供サイト「job tag(じょぶたぐ)」を使って、自分で条件を絞る方法を書きます。job tagには職業ごとに、その仕事にどれくらい人との関わりが含まれるかという数値が載っています。誰かが選んだ10職業を眺めるより、自分で条件を入れて出てきたものを見るほうが、納得して次に進めるはずです。

先に一つだけ断っておきます。「うつ病の人は人と関わらない仕事が向いている」という書き方は、この記事ではしません。診断名から向いている職業を導くことに根拠がないからです。この記事で扱えるのは、人と関わる量を「働く条件」として選ぶ、というところまでです。

job tagは、職業を数値で見られる国のサイトです

まず、道具の説明から始めます。

job tag(職業情報提供サイト)は厚生労働省が運営しているサイトです。職業情報提供サイト(job tag)当サイトについてには、「ジョブ」(職業、仕事)、「タスク」(仕事の内容を細かく分解したもの、作業)、「スキル」(仕事をするのに必要な技術・技能)等の観点から職業情報を「見える化」し、求職者等の就職活動や企業の採用活動等を支援するWebサイトである、と書かれています。利用は無料で、ユーザー登録をしなくても職業を調べられます。

職業情報提供サイト(job tag)よくあるお問い合わせによれば、令和8年3月現在、556の職業が掲載されています

一つひとつの職業のページには、仕事の内容、就業するには何が要るか、労働条件の特徴といった文章のほかに、「しごと能力プロフィール」という数値のかたまりがあります。中身はスキル、知識、興味、仕事価値観、仕事の性質、アビリティの6つです。この記事で使うのは、このうちの「仕事の性質」です。

「仕事の性質」は、しごと能力プロフィールの数値説明ページで「仕事の場所や対人業務の頻度などの、職場環境や仕事の内容など」と説明されています。数値は1から5で表されます。

数値の出どころも確かめられます。職業詳細ページの上のほうにある「数値データの情報源」を開くと、データごとの取得方法と直近の更新年度の一覧が出てきます。「仕事の性質」は、就業者(Webモニター)を対象とした調査で、直近更新年度は2023年です。あわせて、当サイトについてのページには、この職業情報が独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)の研究開発成果物である「職業情報データベース」の情報を活用して作られていることが書かれています。

「人と関わらない」は、11の項目に分かれています

ここがこの記事のいちばん大事なところです。

job tagの仕事の性質で検索を開くと、項目が「対人関係」「身体・物理的制約」「その他の特性」の3つに分けられています。このうち「対人関係」に並んでいるのは11項目です。つまりjob tagの側では、人との関わりは最初から一つの尺度になっていません。

しかも、項目によって数値の意味が違います。頻度を表す項目もあれば、重要度を表す項目もあります。数値説明ページに書かれている内容を、そのまま表にします。

項目名 何を聞いているか 5に近いほど
他者とのかかわり どれくらいの頻度で、他者とのかかわり(対面、電話、メール、その他)が求められるか 頻度が高い(5はほぼ毎日、1は年に1度未満か全く求められない)
対面での議論 どれくらいの頻度で、他者と対面しての議論が求められるか(グループでの討論も含む) 頻度が高い
電話での会話 どれくらいの頻度で、電話で話すことが求められるか 頻度が高い
電子メール どれくらいの頻度で電子メールを使う必要があるか(私用メールは除く) 頻度が高い
ビジネスレターやメモの作成 どれくらいの頻度で、ビジネスレターを作成したり、メモを取ることを求められるか 頻度が高い
仕事上での他者との対立 どれくらいの頻度で、他者との対立、摩擦、緊迫した場面などがあるか 頻度が高い
暴力的な人々への対応 どれくらいの頻度で暴力的な人々による身体的攻撃への対応が求められるか 頻度が高い
グループやチームでの仕事 グループの一員として働いたり、チームに貢献するための他者とのやりとりが、どの程度重要か 重要度が高い(5はきわめて重要、1は全く重要ではない)
外部の顧客等との接触 外部の顧客や、一般の人々への対応がどの程度重要か 重要度が高い
他者と調整し、リードする 他者と調整したり率先して動いたりすることがどの程度重要か(上司やリーダーとして指示するケースは除く) 重要度が高い
他者の健康・安全への責任 他者の健康や安全についてどの程度責任を持つことになるか 責任が大きい(5は非常に大きな責任を持つ)

もう一つ、「対人関係」ではなく「身体・物理的制約」のほうに入っている項目で、人との距離に直接関わるものがあります。「他者との身体的近接」です。これは仕事中に他者とどの程度近接しているかを聞いていて、1が「他の人と近くで仕事はしない、または30メートル以上離れている」、3が「やや近い(5メートル未満だが、腕を伸ばしても届かない距離)」、5が「非常に近い(ほとんど肩が触れる状態)」となっています。人が近いことがつらいのか、人とやりとりすること自体がつらいのかは、別の話です。job tagでも別の項目になっています。

ここまで読んで、自分がしんどかったのはどれだったか、少し思い当たるものがあるでしょうか。全部かもしれませんし、実はそのうちの一つか二つかもしれません。「人と関わる仕事はもう無理だ」と一括りにしていたものを、11個に分けて見直せるところが、job tagを使う意味です。

どの項目を選ぶかで、出てくる職業の数がまるで変わります

実際に検索してみると、この違いは数で見えます。

仕事の性質で検索のページには、条件の欄が「重視する仕事の性質」「できるだけ避けたい仕事の性質」「避けたい仕事の性質」の3つあります。人と関わる量を減らしたいときに使うのは、後ろの2つです。よくあるお問い合わせには、「避けたい仕事の性質」で項目を選ぶとその性質の数値が低いものが検索される、と説明されています。

2026年8月20日に、「避けたい仕事の性質」で1項目だけを選んで検索した結果は、次のとおりでした。

「避けたい仕事の性質」に1項目だけを選んだときの検索結果の件数

他者とのかかわり20件
グループやチームでの仕事44件
外部の顧客等との接触73件
電話での会話105件
仕事上での他者との対立468件
2026年8月20日に、job tagの「仕事の性質で検索」で確認した件数です。掲載職業は令和8年3月現在で556です。棒の長さは468件を100%として描いています。

同じ「人と関わりたくない」という気持ちから出発しても、「他者とのかかわりそのものを減らしたい」なら20件、「対立や摩擦のある場面を避けたい」なら468件です。後者は掲載職業の8割を超えます。つまり、揉めごとの少ない仕事はむしろ多数派で、そこを条件にしても選択肢はほとんど狭まりません。

なお、「他者とのかかわり」と「外部の顧客等との接触」を両方選ぶと18件になりました。条件を足すほど職業は減ります。検索ページにも「選ぶ項目をできるだけ絞った方が職業が表示されやすくなります」と書かれています。

0件になることもあります。よくあるお問い合わせには、「避けたい仕事の性質」はその性質の数値が低めのものが検索されるので、点数が中程度のものは検索されず、結果が少ないか0件になることがある、と説明されています。そのときは「できるだけ避けたい仕事の性質」のほうに項目を移すと選択肢が広がります。ここは知らないと詰まるところです。

job tagで条件を絞るときの3ステップ

  1. 1減らしたいものを一つだけ決める人数なのか、電話なのか、揉めごとなのか、チームで動くことなのかを分ける
  2. 2「仕事の性質で検索」で、その1項目だけを選ぶ0件になったら「できるだけ避けたい仕事の性質」に移して検索し直す
  3. 3出てきた職業のページを開いて、他の項目の数値も見る減らしたい項目だけでなく、増えている項目がないかを確かめる
結果に出てくる職業は、あなたの経歴や資格を考慮したものではありません。job tag自身も、指定した条件以外の経歴・経験・スキルは考慮されていないと注意書きを出しています。

実際の職業の数値を、並べて見てみます

イメージと数値がどれくらいずれるかを見てもらうために、9つの職業を並べます。すべてjob tagにある職業名そのままで、2026年8月20日に各職業の詳細ページで確認した数値です。「この職業が向いています」という意味ではありません。それぞれの職業の性質がこう数値化されている、というだけの表です。

職業名(job tag) 他者とのかかわり 対面での議論 電話での会話 外部の顧客等との接触 グループやチームでの仕事 仕事上での他者との対立
ピッキング作業員 3.0 1.9 1.8 1.7 2.6 1.6
こん包作業員 3.0 1.7 2.0 1.7 2.9 1.4
ビル清掃 3.1 1.6 1.7 2.0 2.6 1.5
データ入力 3.2 1.7 2.2 1.8 2.3 1.4
検針員 3.8 2.2 3.1 2.7 1.9 1.7
Webデザイナー(Web制作会社) 3.8 3.1 3.0 2.6 2.7 1.8
一般事務 4.2 2.6 4.0 2.9 2.7 1.8
施設警備員 4.4 2.5 3.8 3.3 2.9 2.1
コールセンターオペレーター 4.7 2.4 5.0 3.8 2.9 2.2

読み取れることを3つ書きます。

ひとつ。人との関わりがゼロの職業は出てきません。この9つのなかで「他者とのかかわり」がいちばん低いのはピッキング作業員とこん包作業員の3.0ですが、3は「月に1度以上」の水準です。1(年に1度未満、あるいは全く求められない)に近い職業は、少なくともこの範囲では見当たりません。「誰とも関わらずに働ける仕事」を探しに行くと、たいてい見つからないまま消耗します。探すのは、関わりがどういう形で、どれくらいあるかのほうです。

ふたつ。「ひとりで動く仕事」と「人と関わらない仕事」は違います。分かりやすいのが施設警備員です。ひとりで見回るイメージから人と関わらない仕事として紹介されることがありますが、job tagの数値では「他者とのかかわり」4.4、「電話での会話」3.8、「外部の顧客等との接触」3.3で、この表のなかでは上位です。「暴力的な人々への対応」も2.1で、9つのなかでいちばん高い値でした。検針員も似ていて、「グループやチームでの仕事」は1.9とこの表で最も低いのに、「他者とのかかわり」は3.8あります。職場の中で誰かと組んで動くことは少なくても、外の人と接する場面は多い、という組み合わせがあり得るということです。

みっつ。近さは別に見たほうがいいです。「他者との身体的近接」を見ると、ビル清掃は2.3、Webデザイナー(Web制作会社)は1.9で、5メートル前後の距離が保たれる水準です。一方、データ入力は2.9、一般事務は3.1、コールセンターオペレーターは3.6で、腕を伸ばせば届くくらいの距離になります。やりとりの量は少なくても、人が近い職場はあります。満員のオフィスがつらかったのか、電話がつらかったのかで、見るべき項目は変わります。

もう一つ、対人以外の項目も一緒に見ておくと役に立ちます。job tagの「その他の特性」には「同一作業の反復」「時間的切迫」「意思決定の自由」「ミスの影響度」「競争水準」といった項目があります。人との関わりを減らした先に、締め切りの厳しさや、判断を全部自分で背負う条件が待っていることもあります。減らす条件だけでなく、増える条件も同じ画面で確認できます。

数値をそのまま信じないための注意

ここは飛ばさずに読んでください。job tag自身が出している注意です。

数値はアンケートの平均値です。よくあるお問い合わせには、掲載している数値プロフィールは、それぞれの職業に就かれている方の一部にアンケート調査を行い、回答の平均値や比率をまとめたものであり、そのため必ずしもその職業全体を正確に反映しているものではない、と書かれています。統計調査ではなく、その職業で働いている人の感じ方の集計だという前提で見てください。

同じ職業名でも、職場によって中身が違います。job tagは仕事の性質での検索の説明のところに、「実際の職業では、職場毎に仕事の内容や環境等は全く同じではないため、傾向が異なる職場もあることにご留意ください」という注意を繰り返し出しています。同じ「一般事務」でも、電話が鳴り続ける職場と、ほとんど鳴らない職場があります。数値は職業の平均であって、あなたが応募する1社の話ではありません。

データが載っていない職業があります。よくあるお問い合わせには、信頼性のある情報を提供するため、十分なサンプルサイズが得られなかったデータについては掲載をしていない、と書かれています。気になる職業のページを開いて数値が出てこないことがありますが、それは条件が悪いという意味ではありません。

検索結果はあなたの経歴を考慮していません。検索結果の一覧にも「表示されている職業は、ご指定の条件以外のあなたの経歴、経験、スキルなどは考慮されていません」と書かれています。出てきた職業がそのまま応募先の候補になるわけではなく、条件を整理するための材料です。

職業を変えなくても、人と関わる量は動かせます

ここまでは職業を選ぶ話でしたが、選択肢はもう一つあります。いま働いている場所、あるいはこれから応募する場所で、人と関わる量そのものを条件として調整してもらうという道です。

根拠は法律にあります。障害者の雇用の促進等に関する法律第36条の2は、募集及び採用について、障害者からの申出によりその障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならないと定めています(事業主に過重な負担を及ぼす場合を除きます)。第36条の3は採用後について同じ義務を定め、第36条の4第1項は、これらの措置を講ずるにあたって障害者の意向を十分に尊重しなければならないとしています。

では実際にどんな配慮が例として挙がっているのか。合理的配慮指針事例集【第六版】は、全国の労働局・ハローワークやJEEDを通じて、事業主が実際に取り組んでいる事例を集めたものです。精神障害の「本人の状況を見ながら業務量等を調整すること」の項には、次の例が載っています。

「本人の障害特性を考慮し、苦手なことに配慮した上で、業務を担当してもらっている(人との接触の少ない業務を担当してもらう、電話応対を免除する、単純な作業(社員の補助業務や反復作業等)から開始して徐々に複雑な作業に移行してもらうなど)。」

同じ事例集には、ほかにもこういう例が並んでいます。

  • 事務作業に専念できるよう、人の出入りする窓口から離れた座席に配置している(300〜499人/農業協同組合/事務)
  • 1人のほうが落ち着いて作業ができるという申出があったため、出退勤時間を1時間早めている(500〜999人/運輸業/事務)
  • 一人で休憩できるよう、本人の希望に応じて、従来の休憩場所以外の休憩場所を確保(会議室の開放等)したり、休憩時間をずらしたりしている
  • 他の社員が出入りしない個室の会議室で面接を実施した(100〜299人/小売業/品出し)
  • 集団面接を免除した(10〜49人/サービス業(特例子会社)/清掃)

在宅勤務やテレワークの例も載っていますが、これは別に整理したほうが分かりやすい話なので、ここでは触れるだけにします。

これらの事例は思いつきで並んでいるものではありません。合理的配慮指針(平成27年3月25日厚生労働省告示第117号)の別表に、障害区分ごとの配慮の例が整理されていて、事例集はその項目に沿って実例を集めた形になっています。精神障害の欄には、業務指導や相談に関し担当者を定めること、業務の優先順位や目標を明確にし指示を一つずつ出すこと、できるだけ静かな場所で休憩できるようにすること、本人の状況を見ながら業務量等を調整することなどが挙げられています。ただし指針自身が、ここに記載されている事例はあくまでも例示であり、あらゆる事業主が必ずしも実施するものではない、と断っています。

実際にどれくらい行われているかも、数字で確認できます。令和5年度障害者雇用実態調査によれば、精神障害者を雇用している事業所の63.3%が「配慮している」と回答しました。配慮していると答えた事業所の内訳(複数回答)で最も多いのは短時間勤務等勤務時間の配慮の54.3%ですが、この記事に関係が深いところでは、能力が発揮できる仕事への配置が40.3%、業務実施方法についてのわかりやすい指示が35.4%、工程の単純化等職務内容の配慮が34.1%、仕事に集中できる場や設備・休憩スペース等の確保が19.4%、テレワークを活用できるが14.0%でした。職務内容や配置の調整は、実際に行われている配慮の上位に入っています。「人と関わらない職業に転職するしかない」と決める前に、条件の調整という道があることは知っておいてください。

人と関わりを減らすときに、一緒に確保しておきたいこと

正直に書いておきたいことがあります。

人と関わる量を減らすと、たしかに楽になる部分があります。その一方で、困ったときに声をかけられる相手も一緒に減ります。体調が下がりはじめたことに誰も気づかない、業務のやり方で迷っても聞ける人がいない、支援機関ともつながっていない。この状態は、静かなぶんだけ気づかれにくくなります。

だから制度の側も、関わりを減らすことと、相談先を確保することを分けて扱っています。合理的配慮指針の別表で精神障害の欄の最初に挙がっているのは、「業務指導や相談に関し、担当者を定めること」です。人と関わる量を減らす配慮と、相談する相手を決める配慮は、同じ表に並んでいます。促進法第36条の4第2項も、事業主に対して、障害者である労働者からの相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備を求めています。

事例集には、その具体的な形も出ています。業務指導を行う者(現場の上司等)と相談対応を行う者(人事担当者等)を分けている例、直接相談しにくい内容も相談できるよう相談用紙と投函する箱を設置している例、本人が職場に直接相談しにくい場合に障害者就業・生活支援センターの職員が対応した例などです。「話しかけられるのがつらい」ことと「相談先がない」ことは、分けて設計できます。

社外に置く手もあります。令和5年度障害者雇用実態調査では、精神障害者への配慮として関係機関等・外部機関との連携支援体制の確保を挙げた事業所が22.2%、職場内における健康管理等の相談支援体制の確保が22.6%、業務遂行を援助する者の配置が23.7%でした。会社の中に相談相手を作らない代わりに、外の窓口を一つ持っておく、という組み立てはできます。相談できる公的な窓口は障害者の方への施策にまとまっていて、その使い分けは障害者雇用の求人はどこで探すのかに書いています。

説教をしたいわけではありません。人と関わらない働き方を選ぶこと自体は、まったく責められることではないと思っています。ただ、その選択と一緒に、相談の線を1本だけ残しておくと、あとで自分が助かります。

向き不向きは、記事ではなく実際に試して分かります

ここまで数値の話をしてきましたが、最後は身も蓋もない結論になります。その仕事が自分に合うかどうかは、やってみないと分かりません。job tagの数値は、どこを試すかを決めるための材料です。

企業の側も同じところで困っています。令和5年度障害者雇用実態調査では、精神障害者の雇用上の課題があるとした事業所のうち、74.2%が「会社内に適当な仕事があるか」を、42.2%が「採用時に適性、能力を十分把握できるか」を挙げています。適性が事前には分からないというのは、雇う側にとっても悩みなのです。だから、試す仕組みが公的に用意されています。

地域障害者職業センターの職業評価と職業準備支援。促進法第22条が定めるこのセンターの業務には、障害者に対する職業評価、職業指導、職業準備訓練及び職業講習が含まれています。求人の紹介はしませんが、その手前を引き受ける機関です。東京障害者職業センター 障害のある方へのサービスでは、職業相談・職業評価を行って職業リハビリテーション計画を策定すると案内されています。職業準備支援のご案内(北海道障害者職業センター)では、模擬的な作業場面を使った作業支援(実務作業、事務作業、OA作業)、講座、個別面談で構成され、受講期間は2週間から12週間と書かれています。しかも促進法第26条は、障害者職業センターにおける職業リハビリテーションの措置は無料とするものとすると定めています。設置場所は地域障害者職業センターから探せます。実際の作業場面で自分の反応を見られるので、job tagの数値では分からない部分を確かめる場としては、いちばん近いところにあります。

障害者トライアル雇用。障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコースは、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により障害者を一定期間雇用することで、その適性や業務遂行可能性を見極め、求職者及び求人者の相互理解を促進すること等を目的とした助成金です。障害者短時間トライアルコースのほうは、雇入れ時の週の所定労働時間を10時間以上20時間未満とし、職場適応の状況や体調に応じて期間中に20時間以上とすることを目指すもので、3か月から12か月の範囲で行われます。助成金そのものは事業主が受けるものですが、求職者向けの案内も出ているので、ハローワークの窓口で「トライアル雇用が使える求人はありますか」と聞くことができます。

就労移行支援と就労継続支援。働く前に、通いながら作業や生活リズムを整えていく場所です。それぞれの中身は就労移行支援とは就労継続支援B型はどんな人が使えるか就労継続支援A型とはにまとめています。

就労選択支援。令和7年10月1日から始まった障害福祉サービスです。就労選択支援についてによれば、就労移行支援や就労継続支援を利用する意向がある方などを対象に、作業場面等を活用した状況把握やケース会議を通じて、本人と一緒に働き方を整理していく仕組みです。申請の窓口は市区町村の障害福祉担当です。

どれも、「向いていますか」と誰かに聞くのではなく、自分で試して確かめるための場所です。job tagで条件を絞り、絞った条件で試せる場所を探す、という順番になります。

一つ補っておきます。相談するのに障害者手帳は要りません。ハローワークインターネットサービスの障害のある皆様へには、専門的な支援の対象者は障害があるため長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、または職業生活を営むことが著しく困難な方であるとしたうえで、「障害者手帳をお持ちでない方も利用できますので、ぜひご利用ください」と明記されています。地域障害者職業センターの職業相談・職業評価も、手帳の所持を条件にはしていません。「まず手帳を取らないと何も始められない」ということはないので、いま手元に何もなくても、電話で聞くところから始められます。手帳そのものの話は障害者手帳のメリットとデメリットにまとめています。

決めるのは今日でなくて大丈夫です

「人と関わらない仕事」を一つのかたまりとして探すと、まず見つかりません。job tagで「他者とのかかわり」を避けたい条件にして出てくるのは20件で、そのどれも人との関わりがゼロではありませんでした。探し方を、11の項目のうちどれを減らしたいのかに翻訳すると、話がだいぶ具体的になります。電話なのか、対面での議論なのか、外部の顧客への対応なのか、チームで動くことなのか、揉めごとなのか、人との距離なのか。減らしたいものが一つ決まると、job tagの検索はそれだけで動きます。そして、職業を変えることだけが方法ではありません。人と関わる量は、働く条件としても調整できます。

数値では決まらない部分は必ず残ります。同じ職業名でも職場によって中身は違いますし、job tagの数値はアンケートの平均値です。最後は職場を見て、試して、確かめることになります。それを一人でやらなくていいように、地域障害者職業センターやハローワークの専門援助部門があります。

いま体調が整っていないのなら、ここで決めなくて大丈夫です。job tagは無料で、登録もせずに何度でも開けます。気になった職業を一つ開いて、「仕事の性質」のところだけ眺めてみるくらいから始めても、何も問題ありません。

障害者雇用という枠組みそのものについては障害者雇用とは何かを、求人の探し方と窓口の使い分けについては障害者雇用の求人はどこで探すのかをご覧ください。同じ会社に戻る道を考えている方は復職のすすめ方リワークとは何かがあります。

わたしたちは就労支援の現場で、人と関わらない仕事を探したいという相談を受けることがあります。話を聞いていくと、人そのものというより、電話や急に話しかけられる場面など、特定の関わり方が消耗の中心になっていることが多いように見えます。全部を避けられる職業を探すより、減らしたい場面をひとつ特定するほうが、現実の選択肢は増えます。ゼロの仕事が見つからないのは、探し方のせいでも、あなたのわがままでもありません。