体調が落ち着いてきて、そろそろ働くことを考えたい。けれども、いきなり求人に応募して面接を受けて、というところまでは自信が持てない。そういうときに名前が出てくるのが就労移行支援です。

ただ、この制度は説明が制度用語のままのことが多く、調べてもよくわからないまま終わってしまいがちです。手帳がないと使えないのか、通っている間の生活費はどうなるのか、2年という数字は何を意味するのか。このあたりが曖昧なまま見学に行くと、聞くべきことも聞けません。

この記事では、法律と厚生労働省の資料で確認できることだけを書きます。全国どこでも同じ枠組みと、市区町村や事業所によって変わる部分を分けて整理しました。

就労移行支援とは何をする場所か

障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスのひとつで、給付の分類でいうと訓練等給付にあたります。厚生労働省は就労系の障害福祉サービスとして、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労定着支援の4種類を挙げ、就労移行支援については「就労を希望する障害者であって、一般企業に雇用されることが可能と見込まれる者に対して、一定期間就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います」と説明しています。

法律の条文(法第5条第14項)と施行規則(第6条の9)を合わせて読むと、事業所が提供する支援の中身は次のように定められています。

  • 生産活動、職場体験その他の活動の機会の提供
  • 就労に必要な知識および能力の向上のために必要な訓練
  • 求職活動に関する支援
  • その適性に応じた職場の開拓
  • 就職後における職場への定着のために必要な相談その他の必要な支援

つまり、事業所の中で訓練をするだけの場所ではありません。求職活動そのものの支援と、職場を探すこと、そして就職したあとの相談まで、ひとつづきの支援として制度に書き込まれています。

事業所がやらなければならないことは基準で決まっています

指定障害福祉サービス基準という省令の第11章が就労移行支援の章です。基本方針(第174条)では、利用者が自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、規則で定める期間にわたり、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、就労に必要な知識および能力の向上のために必要な訓練その他の便宜を適切かつ効果的に行うものでなければならない、とされています。

運営の基準には、次のような具体的な義務が並んでいます。

条文 事業者に義務づけられていること
第179条の2 利用者が自ら通常の事業所に通勤できるよう、通勤のための訓練を実施する
第180条 個別支援計画にもとづいて実習できるよう、実習の受入先を確保する
第181条 公共職業安定所での求職の登録その他、利用者が行う求職活動を支援する
第182条 職場への定着を促進するため、関係機関と連携して、利用者が就職した日から6月以上、職業生活における相談等の支援を継続する
第183条 前年度に就職した利用者の数など、就職に関する状況を毎年都道府県に報告する

実習先を確保すること、ハローワークでの求職登録を支援すること、就職後6か月以上の相談を続けること。これらは事業所の努力目標ではなく、「しなければならない」と書かれている義務です。見学のときに具体的な進め方を聞いてよい部分でもあります。人員の基準では、職業指導員と生活支援員のほかに就労支援員という職種を置くことも定められています(第175条)。

利用が始まると、サービス管理責任者が本人と面接してアセスメントを行い、就労移行支援計画という個別支援計画を作ります。原案の内容は本人または家族に説明され、文書で本人の同意を得ることが必要です。計画は作って終わりではなく、少なくとも3か月に1回以上、実施状況を把握して見直しを行うことになっています。

使える人

障害者手帳がなくても利用できます

ここは誤解が多いところなので、はっきり書きます。

厚生労働省の介護給付費等に係る支給決定事務等について(事務処理要領)には、「身体障害者を除き、支給決定又は地域相談支援給付決定を行うに際し、障害者手帳を有することは必須要件ではない」と明記されています。あわせて、各種援助措置を受けやすくする観点から、できる限り手帳の取得を勧奨することが望ましいとも書かれています。勧められることはあっても、手帳がないから門前払い、という制度にはなっていません。

では何で確認するのかというと、精神障害の場合、市町村は次のいずれかの書類で確認するとされています。これらに限定されるものではない、とも付記されています。

  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 精神障害を事由とする年金を現に受けていることを証明する書類(年金証書など)
  • 精神障害を事由とする特別障害給付金を現に受けていることを証明する書類
  • 自立支援医療受給者証(精神通院医療に限る)
  • 医師の診断書(原則として主治医が記載し、ICD-10コードを記載するなど精神障害者であることが確認できる内容であること)

自立支援医療をすでに使っている方は、その受給者証で確認できることになります。手帳も年金も自立支援医療もない場合は、主治医に診断書を書いてもらう流れです。どの書類でよいかは市区町村の運用にもよりますので、窓口で先に確認しておくと二度手間になりません。手帳を取るかどうか自体で迷っている方は、障害者手帳のメリットとデメリットを先に読んでみてください。

年齢の要件

法律上、障害福祉サービスの対象となる「障害者」は18歳以上とされています(法第4条第1項)。そのうえで就労移行支援には、上限の年齢が定められています。

施行規則第6条の9の対象は、就労を希望する65歳未満の障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる方です。65歳未満、というのが原則です。

ただし例外があります。65歳以上でも、65歳に達する前の5年間(入院その他やむを得ない事由により支給決定を受けていなかった期間を除きます)引き続き障害福祉サービスに係る支給決定を受けていて、かつ65歳に達する前日において就労移行支援に係る支給決定を受けていた方に限り、対象に含まれます。要するに、65歳より前から続けて使っていた方が引き続き利用する場合の救済であって、65歳を過ぎてから新しく始めるための例外ではありません。

例外として「復職支援型」があります

就労移行支援は、基本的には離職した状態から新しく就職することを目指すサービスです。ただし、これには例外があります。

厚生労働省の就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における留意事項について(令和7年3月31日改正)には「復職支援型」という利用の形が定められていて、休職中でも就労移行支援を利用できる場合があります。通知は、その目的を「復職に必要な生活リズムの確立、体力や集中力の回復、主治医や産業医との連携等を通じ、円滑な職場復帰を目指すこと」と説明しています。

対象になるのは、通常の事業所に雇用されている障害者であって、休職からの復職の際に就労に必要な知識および能力の向上のための支援を一時的に必要とする方です。そのうえで、次の3つをいずれも満たした場合に利用できるものとされています。

  1. 当該休職者を雇用する企業、地域における就労支援機関や医療機関等による復職支援の実施が見込めない又は困難である場合
  2. 休職中の障害者本人が復職を希望し、企業及び休職に係る診断をした主治医が、就労系障害福祉サービスによる復職支援を受けることにより復職することが適当と判断している場合
  3. 休職中の障害者にとって、就労系障害福祉サービスを実施することにより、より効果的に復職につなげることが可能であると市区町村が判断した場合

1と2に当てはまるかどうかは、書類の提出によって確認することとされています。雇用先の企業からの資料、休職に係る診断をした主治医からの資料、相談支援事業所(申請者)からの資料の3種類です。企業と主治医の両方の判断が要る、という点が特徴です。利用できる期間は、企業の定める休職期間の終了までの期間で、上限は2年とされています。

注意していただきたいのは、3つ目の条件が市区町村の判断だということです。地域にどんな復職支援の資源があるかによって判断は変わりますし、必要な書類の出し方も窓口の運用によります。休職中で復職を考えている方は、まずお住まいの市区町村の障害福祉の窓口に、この復職支援型が使えるかどうかを相談してください。ここは全国一律に「使えます」と言える部分ではありません。

なお、休職中の方の職場復帰を支える仕組みとしては、医療機関や地域障害者職業センターなどが行うリワークもあります。復職支援型とリワークのどちらを選ぶかという話は、リワークとは何かで扱っています。

利用できる期間は原則2年

就労移行支援を利用できる期間

標準利用期間(2年)
更新(最大1年)
支給決定は1年ごとに更新市町村審査会の個別審査
更新は自動ではありません。市町村審査会の個別審査を経て必要性が認められた場合に限り、最大1年(原則1回)です。あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の資格取得を目的とする場合は3年または5年とされています。

標準利用期間は2年間です

施行規則第6条の8は、就労移行支援の期間を2年間と定めています。ただし書きとして、あん摩マッサージ指圧師、はり師またはきゅう師の資格を取得させることを目的とする場合は3年または5年とされています。この2年という数字が、厚生労働省の資料でいう「標準利用期間」です。

支給決定そのものは、2年分がまとめて出るわけではありません。事務処理要領は、標準利用期間を設定するサービスについては1年ごとに訓練継続の適否を評価することが適当であることから、支給決定の有効期間を最長1年間とすると説明しています。1年たったところで、十分な成果が得られておらず、かつ引き続きサービスを提供することによる改善効果が具体的に見込まれる場合には、標準利用期間の範囲内で1年ごとに更新できる、という組み立てです。

2年を超えるときは市町村審査会の個別審査があります

では2年を使い切ったらそこで終わりかというと、そうではありません。事務処理要領には、「標準利用期間を超えて、さらにサービスの利用が必要な場合、市町村審査会の個別審査を経て、必要性が認められた場合に限り、最大1年間の更新が可能である(原則1回)」と書かれています。厚生労働省が公表している就労系障害福祉サービスの概要にも、同じ内容が示されています。つまり最長では3年間ということになりますが、自動的に延びるものではなく、市町村審査会という会議体の個別の審査を通る必要があります。

あわせて厚生労働省は留意事項通知のなかで、2年を超えて更新を行う場合に、自治体によっては個別の対象者の状況を勘案せず一律の取扱いが行われている事例が見られると指摘し、市町村は個々の対象者の状況を勘案して判断するよう求めています。同じ通知には、就労移行支援は複数回の利用が可能であるとも書かれています。一度使ったら二度と使えない制度ではありません。

B型・A型には標準利用期間の定めがありません

ここが就労移行支援のいちばんの特徴です。

事務処理要領が標準利用期間を定めているサービスは、自立訓練、就労移行支援、就労定着支援、自立生活援助です。就労継続支援A型とB型は、この一覧に入っていません。厚生労働省の就労系障害福祉サービスの概要でも、A型とB型はどちらも「利用期間の制限なし」と明記されています。

期限があることには、良い面と負担の両面があります。区切りがあるから計画が立てられるという面もあれば、間に合わせなければという圧力になる面もあります。就労移行支援を選ぶかB型を選ぶかを迷っている場合、この期限の有無は判断材料のひとつになります。B型がどんな人を対象にしているかは、就労継続支援B型はどんな人が使えるかで扱っています。

費用

負担上限月額は4区分です

障害福祉サービスの自己負担は、所得に応じて次の4区分の負担上限月額が設定されています。厚生労働省の障害者の利用者負担は、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じないと説明しています。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます 9,300円
一般2 上記以外 37,200円

「世帯」は本人と配偶者で判断します

所得を判断する際の世帯の範囲は決められていて、18歳以上の障害者(施設に入所する18歳、19歳を除きます)の場合は、障害のある方とその配偶者です。住民票の世帯ではありません。

これは実際の負担に大きく効いてきます。親と同居していても、親の所得は判定に入りません。ご本人に収入がなく配偶者もいない場合は市町村民税非課税世帯として扱われ、負担上限月額は0円になります。「実家にいるから親の収入で計算されて高くなるのでは」と心配して問い合わせをためらう方がいますが、そこは制度上そうならない仕組みです。

実費は別にかかります

利用料が0円でも、費用がまったくかからないわけではありません。法律は、食事の提供に要する費用や生産活動に要する費用などを「特定費用」と呼び、訓練等給付費の対象から外しています(法第29条第1項)。就労移行支援の場合、施行規則第25条が特定費用として次のものを挙げています。

  • 食事の提供に要する費用
  • 生産活動に係る材料費
  • 日用品費
  • そのほか、日常生活においても通常必要となる費用で、利用者に負担させることが適当と認められるもの

つまり、昼食代などは別に払うことになります。金額は事業所ごとに設定されますので、見学のときに「利用料以外にかかるものはありますか」と確認してください。

交通費や昼食への助成は自治体によって違います

通所の交通費は、全国共通の制度としては用意されていません。一方で、独自に助成を行っている市区町村があります。

たとえば横浜市は施設等通所者への交通費補助として、就労移行支援などに通う市内在住の15歳以上の方を対象に交通費を助成しています。申請は施設が行い、通所者個人からの申請は受け付けていないとされています。千葉市は、生活介護、自立訓練、就労選択支援、就労移行支援、就労継続支援を行う施設への通所について、交通費の2分の1を助成しています。

これらはあくまで横浜市と千葉市の例です。助成があるかどうか、対象や割合、申請の方法は市区町村によってまったく違います。お住まいの窓口で「通所の交通費に助成はありますか」と一言たずねてみてください。

工賃や給与は出るのか

ここが最も誤解されやすいところです。結論から書きます。

就労移行支援は訓練を受ける場であり、原則として賃金や工賃は支払われません。事業所と雇用契約も結びません。

制度の作りを見ると、この違いははっきりしています。指定障害福祉サービス基準には、就労継続支援A型について「賃金及び工賃」という条文(第192条)があり、雇用契約を締結しなければならないという条文(第190条)もあります。就労継続支援B型については「工賃の支払等」という条文(第201条)があり、生産活動の収入から必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならない、月あたりの工賃の平均額は3千円を下回ってはならない、と定められています。

これに対して就労移行支援には、A型の第192条にあたる賃金の規定も、B型の第201条にあたる工賃の規定も置かれていません。ただし、まったく無関係というわけではありません。就労移行支援について定めた第184条は、生活介護の章にある第84条(生産活動)と第85条(工賃の支払)を準用しています。第85条は、生産活動に従事している者に、生産活動の収入から必要な経費を差し引いた額に相当する金額を工賃として支払わなければならない、という条文です。

つまり制度上は、訓練の中で生産活動を行い、そこに収入があった場合には工賃を支払う仕組みがあるということになります。B型と違うのは、月あたりの平均額を3千円以上にしなければならないという下限がないことです。生産活動そのものを行っていない事業所もあります。

厚生労働省が公表している就労系障害福祉サービスの概要でも、A型については「最低賃金含め、労働関係法令の適用あり」、B型については「雇用契約は結ばない」「平均工賃が工賃控除程度の水準(月額3,000円程度)を上回ることを事業者指定の要件とする」と書かれている一方、就労移行支援の欄には賃金や工賃についての記載がありません。金額をあてにできる場所ではない、と考えておいてください。

法律の定義でも違いが出ています。就労継続支援は「就労の機会を提供するとともに」と書かれているのに対し、就労移行支援は「生産活動その他の活動の機会の提供を通じて」訓練を行うサービスとされています。働いて対価を受け取る場ではなく、就職に向けて準備をする場である、という設計です。実際に事業所から何らかの支給があるかどうかは、制度として保証されたものではありません。そこも含めて、見学や体験のときに確認してください。

生活費のことを考える必要がある方は、通っている期間の収入をどうするかを先に整理しておいたほうが安心です。休職中で傷病手当金を受けている方、障害年金を受けている方、ご家族の支援を受けている方など、状況によって取れる方法は違います。この点も、相談支援事業所や市区町村の窓口で一緒に考えてもらえる部分です。

利用が始まるまでの流れ

手続きの流れは全国共通です。窓口の課の名前や書類の様式は市区町村によって違いますが、順番は同じです。

  1. お住まいの市区町村の障害福祉の窓口に相談し、支給申請をします。就労移行支援は訓練等給付にあたるため、介護給付のような障害支援区分の認定は行われません(認定調査や医師意見書、市町村審査会での判定は不要です)。
  2. サービス等利用計画案を用意します。指定特定相談支援事業者(相談支援事業所)が作成します。身近な地域に相談支援事業所がない場合や、ご自身で作成することを希望する場合は、セルフプランを提出することもできます。
  3. 市町村がサービス利用の意向を聴き取り、計画案を踏まえて支給決定を行います。
  4. 障害福祉サービス受給者証が交付されます。サービスの種類、支給量、支給決定の有効期間などが記載されます。
  5. 事業所と契約します。受給者証を提示して利用を始めます。
  6. 事業所が個別支援計画(就労移行支援計画)を作ります。アセスメントのうえで原案が作られ、説明を受けて文書で同意します。

最初の2か月は「暫定支給決定」になることがあります

就労移行支援には、暫定支給決定という仕組みがあります。いきなり本決定を出すのではなく、まず短い期間の支給決定を行って、その間に事業所がアセスメントと個別支援計画にもとづく支援を実施し、サービスを継続することによる改善効果が見込まれるかどうかを市町村が判断する、という手順です。期間は2か月以内の範囲で市町村が個別のケースに応じて設定します。

改善効果が見込まれると判断されれば、本来の訓練に移行します。見込まれないと判定された場合には、市町村、事業所、相談支援事業所、利用者による連絡調整会議を開き、本人にその旨を説明したうえで今後のサービス利用について調整を行うこととされています。本人に説明のないまま打ち切られる、という手順にはなっていません。また、暫定支給決定の期間を経たあと、その期間中に利用していた事業所とは別の事業所を利用することもできる、と明記されています。

あわせて、令和7年10月から就労選択支援というサービスが始まっています。就労移行支援や就労継続支援を利用する意向のある方などを対象に、短期間の生産活動などの機会を通じて就労に関する適性や能力の評価を行い、本人の意向や必要な配慮を整理するものです。就労継続支援B型を新しく利用する方のうち、就労経験がある方や50歳以上の方などを除く類型では、このアセスメントを経ることになっていますが、就労移行支援についてはそうした前提は置かれていません。

就職したあとの支援

まず、通っていた事業所が6か月以上支援を続けます

指定基準第182条は、指定就労移行支援事業者に対して、利用者の職場への定着を促進するため、障害者就業・生活支援センター等の関係機関と連携して、利用者が就職した日から6月以上、職業生活における相談等の支援を継続しなければならないと定めています。就職したら関係が切れる、という設計ではありません。就職後もしばらくは、通っていた事業所が相談相手として残ります。

そのあとは「就労定着支援」という別のサービスがあります

6か月が過ぎたあとについては、就労定着支援という独立したサービスが用意されています。厚生労働省は、就労移行支援等を利用して一般企業に新たに雇用された障害者に対し、雇用に伴い生じる日常生活または社会生活を営むうえでの問題に関する相談、指導、助言等の支援を行うサービスだと説明しています。

制度上の要件は次のとおりです。

項目 内容
対象になる人 就労移行支援、就労継続支援、生活介護、自立訓練を利用したあと、通常の事業所に新たに雇用され、就労を継続している期間が6か月を経過した方
利用できる期間 3年間(施行規則第6条の10の3)。標準利用期間を超えて更新することはできません
支援の内容 企業、障害福祉サービス事業者、医療機関等との連絡調整と、本人や家族への相談・指導・助言
支援の頻度 月1回以上、本人と対面または対面に相当する方法で支援。あわせて月1回以上、雇用先の事業主を訪問して職場での状況を把握するよう努める

就労移行支援を利用していた方が就労定着支援を希望する場合、就労移行支援事業者は6か月以上の支援が終了した日以後すみやかに就労定着支援を受けられるよう、就労定着支援事業者との連絡調整を行わなければならないとされています(指定基準第182条第2項)。橋渡しも制度に書き込まれています。また、就労定着支援の提供期間中に離職することになった方で、ほかの企業への就職等を希望する場合には、事業者は相談支援事業者その他の関係者と連携して必要な連絡調整その他の便宜の提供を行わなければならないと定められています(第206条の9)。離職したらそこで終わり、ではありません。

就労継続支援A型・B型との違い

同じ「就労」という言葉が付くため混ざりやすいところを、4点に絞って整理します。

就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型
目的 一般企業への就職を目指して訓練し、求職活動と定着を支援する 雇用契約にもとづいて働きながら、一般就労に必要な知識・能力を高める 就労と生産活動の機会を提供し、知識・能力の向上や維持を図る
雇用契約 結びません 結びます(第190条) 結びません
賃金・工賃 原則としてありません(生産活動があれば工賃が支払われますが、下限の定めはありません) 賃金(最低賃金を含め、労働関係法令の適用があります) 工賃(月あたりの平均額は3千円を下回ってはならないとされています)
期間 標準利用期間は2年。市町村審査会の個別審査を経て最大1年の更新(原則1回) 制限なし 制限なし

もっと踏み込んだ比較や、B型を実際に選ぶかどうかの判断については、就労継続支援B型はどんな人が使えるか「B型事業所はやめとけ」と言われる理由で扱っています。

判断がつかないときに聞ける場所

制度の説明を読んでも、自分が使えるのか、通っている間の生活はどうなるのかは、文章だけでは決められないと思います。この制度は市区町村の判断が入る部分と、事業所ごとに中身が違う部分があるので、一般論だけでは結論が出ません。確かめられるのは、次の3か所です。

お住まいの市区町村の障害福祉の窓口。障害福祉課や保健福祉課という名前のことが多いところです。手帳がない場合にどの書類が必要か、負担上限月額はどの区分になるか、通所の交通費に助成があるか、休職中の復職支援型が使えそうか。これらはここでしかわかりません。名前を伝えずに一般的な質問として電話で聞くこともできます。

相談支援事業所。サービス等利用計画案を作るところですが、その前の段階の相談にも乗ってもらえます。どのサービスが合いそうかを一緒に考えてもらう相手として、市区町村の窓口から紹介を受けられます。

通っている医療機関。復職支援型を考える場合は主治医の判断が要件に入っていますし、手帳がない場合の診断書もここで書いてもらうことになります。次の診察のときに、働くことを考え始めていると伝えてみるところからで十分です。

事業所ごとの違いは、制度の説明では埋まりません。見学のときに何を聞けばよいかについては、「就労移行支援はやめとけ」と言われる理由のほうで扱っています。

今日できることは、窓口に電話をして「就労移行支援について聞きたいのですが」と伝えることだけでも十分です。そのあと何をすればいいかは、向こうから順番に教えてもらえます。

わたしたちは就労支援の現場にいる立場なので、その前提で読んでいただきたいのですが、就労移行支援でいちばん多い相談は、2年という期限と、その間の生活費の組み合わせです。通えるかどうかより、通っているあいだの暮らしが成り立つかどうかで決まっている場面をよく見ます。事業所の中身を見比べる前に、そこだけ先に計算しておくと、あとから選び直しがしやすくなります。