体調を崩して仕事を離れたあと、「一般企業で働くのはまだ難しいけれど、家にいるだけの状態からは少し動きたい」という時期が来ることがあります。そのときに名前が挙がるのが就労継続支援B型です。

ところが調べ始めると、対象になるのかどうかがはっきりしません。手帳を持っていない、働いた経験がない、まだ30代で50歳には遠い。そうした条件が並んでいるのを見て、自分は当てはまらないのだろうと判断してしまう方が少なくないようです。

実際には、対象者の条件は国の資料に3つの類型として整理されていて、そのどれかに当てはまればよい形になっています。手帳についても、必須ではないと厚生労働省がはっきり書いています。この記事では、対象になる条件、利用が始まるまでの手続き、かかるお金、通える日数と期限の有無を、厚生労働省の資料と法令に沿って整理します。全国共通で決まっている部分と、お住まいの市区町村で確認が必要な部分は分けて書きました。

就労継続支援B型とは何か

障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスのひとつです。制度上の位置づけは、指定障害福祉サービス基準第198条に次のように書かれています。利用者が自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう、就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識および能力の向上のために必要な訓練その他の便宜を行う事業です。

A型と大きく違うのは、雇用契約を結ばないことです。施行規則第6条の10は、B型を「通常の事業所に雇用されることが困難であって雇用契約に基づく就労が困難であるもの」に対して行う支援と定めています。働いた分は賃金ではなく工賃として支払われます。指定障害福祉サービス基準第201条は、生産活動に係る事業の収入から必要な経費を控除した額に相当する金額を工賃として支払わなければならないこと、利用者一人当たりの月額の平均が3,000円を下回ってはならないことを定めています。工賃の水準そのものについては「B型事業所はやめとけ」と言われる理由で扱っています。

対象になるのは、次のいずれかに当てはまる人です

対象者の3つの類型

就労継続支援B型の対象になるのは、次のいずれか
①就労経験がある年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった人
②50歳に達している、または障害基礎年金1級どちらか一方に当てはまれば足ります
③①②のどちらにも当てはまらない就労アセスメントによって就労面の課題等の把握が行われている人
三つ全部を満たす必要はありません。③に当たる場合は、令和7年10月以降は原則として就労選択支援を利用してアセスメントを受けます。

厚生労働省の介護給付費等に係る支給決定事務等については、B型の対象者を「就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される者」と説明したうえで、具体例として次を挙げています。

条件 補足
就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者 雇用形態や勤務期間の長さについての決まりは書かれていません
50歳に達している者、または障害基礎年金1級受給者 どちらか一方に当てはまれば足ります
①および②のいずれにも該当しない者であって、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている本事業の利用希望者 令和7年10月以降は、原則として就労選択支援事業者によるアセスメントに変わりました(後述)

このほかに、障害者支援施設に入所している方について市町村が利用の組合せの必要性を認めた場合と、通常の事業所に雇用されている方が労働時間の延長や休職からの復職の際に一時的に支援を必要とする場合が挙げられています。

大事なのは、①から③は「いずれか」であって、全部を満たす必要はないということです。50歳未満で働いた経験もないという方は①にも②にも当てはまりませんが、その場合は③の道があります。

③のアセスメントが、実務でいちばんつまずくところです

①にも②にも当てはまらない方が申し込むとき、事業所に見学に行っただけでは手続きが進みません。就労面の課題等の把握、いわゆる就労アセスメントを受けている必要があります。ここを知らずに動くと、事業所も市区町村も決まっているのに数か月かかった、ということが起こります。

このアセスメントの担い手が、令和7年(2025年)10月に変わりました。厚生労働省の就労選択支援について(社会保障審議会障害者部会の資料)によれば、就労選択支援は令和7年10月1日に施行された新しいサービスで、就労アセスメントの手法を活用して、本人の希望、就労能力や適性等に合った選択を支援するものです。同じ資料には、令和7年10月以降、就労継続支援B型の利用申請前に、原則として就労選択支援を利用すると書かれています。事務処理要領の③の記述も、令和7年10月以降は「就労選択支援事業者によるアセスメント」に置き換わっています。

支給決定の有効期間は原則1か月で、自己理解の改善に向けて1か月以上かけた継続的な作業体験が必要な場合などに限り2か月とされています。短期間で終わる仕組みです。

ただし、就労選択支援の事業所は全国に一斉に整ったわけではありません。事務処理要領は、就労選択支援事業所がない地域においては、就労移行支援事業者等によるアセスメントによることを認めています。厚生労働省の資料も、近隣に就労選択支援事業所がない場合や、利用可能な事業所数が少なく待機期間が生じる場合を例外事由として挙げ、その場合は就労移行支援等による就労アセスメントを経たB型の利用を認めるとしています。

つまり、住んでいる地域によって、誰がアセスメントを行うかも、どのくらい待つかも変わります。これは全国一律に決まっているものではありません。市区町村の障害福祉担当窓口か、相談支援事業所に「このあたりでは就労アセスメントはどこで受けることになりますか」と聞くのが確実です。なお、就労選択支援は就労の可否を判断したり、どのサービスを利用するかを振り分けたりするものではないと厚生労働省は説明しています。試験ではありません。

誰が就労選択支援の対象になるのか、B型とA型、特別支援学校の在学者でどう線引きされているのかは、就労選択支援の対象者の線引きに整理されています。

障害者手帳は必須ではありません

「手帳がないから対象外だ」と考えてしまう方が多いところですが、これは制度の作りと違います。

厚生労働省の事務処理要領は、対象となる障害者等について説明した箇所で、身体障害者を除き、支給決定を行うに際し、障害者手帳を有することは必須要件ではないとはっきり書いています。障害福祉サービスを使うために交付されるのは、障害者手帳ではなく障害福祉サービス受給者証です。

精神障害があることの確認方法として、事務処理要領は次のいずれかの書類を挙げています。これらに限定されるものではない、とも書かれています。

  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 精神障害を事由とする年金を現に受けていることを証明する書類(国民年金、厚生年金などの年金証書等)
  • 精神障害を事由とする特別障害給付金を現に受けていることを証明する書類
  • 自立支援医療受給者証(精神通院医療に限る)
  • 医師の診断書(原則として主治医が記載し、国際疾病分類ICD-10コードを記載するなど精神障害者であることが確認できる内容であること)

通院していて自立支援医療を使っている方であれば、その受給者証が確認書類になり得ます。手帳を取らないまま利用を始めることも制度上は可能だということです。ただし事務処理要領は、各種の援助措置を受けやすくする観点から、できる限り手帳の取得を勧奨することが望ましいとも書いています。手帳を取るかどうかで迷っている方は、障害者手帳のメリットとデメリットを参考にしてください。

どの書類で確認するかの具体的な運用は市区町村によって幅があります。窓口に電話して「今は診断を受けているだけで手帳はないのですが、どの書類が必要になりますか」と聞けば教えてもらえます。名前を伝えずに一般的な質問として聞くこともできます。

年齢の条件

障害者総合支援法の障害福祉サービスなので、原則は18歳以上です。法第4条第1項は、精神障害者のうち18歳以上である者などを障害者と定めています。

例外として、児童福祉法の規定にもとづき、15歳以上18歳未満の児童が障害者のみを対象とするサービスを利用する場合には、その障害児が障害者とみなされ、本人が申請を行うことになると事務処理要領は説明しています。

上限については、比べてみると違いがはっきりします。就労移行支援と就労継続支援A型の対象者には「65歳未満の者」という要件が明記されていて、65歳以上の方はそれまで継続して支給決定を受けていたなどの条件を満たす場合に限られます。一方、就労継続支援B型の対象者には、その年齢要件が置かれていません。

ただし、65歳前後には介護保険との関係が出てきます。事務処理要領は、介護保険の被保険者である障害者について、障害福祉サービスに相当する介護保険サービスにより適切な支援を受けることが可能かどうかを判断するためにも、まず要介護認定等の申請を行ったうえで、介護保険制度からどのようなサービスをどの程度受けられるかを把握することが適当だとしています。実際にどうなるかは市区町村の判断が関わる部分なので、年齢が近い方は窓口で確認してください。

利用が始まるまでの流れ

全国共通の骨格は次のとおりです。ただし、どの段階でどれだけ時間がかかるかは地域によって変わります。

  1. お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口に相談し、支給申請をします。 申請するのは障害者本人です。事務処理要領は、本人から依頼を受けた人であれば誰でも申請の代行ができ、申請時に一律に委任状の提出を求める必要はないとしています。体調が悪くて窓口に行きづらいときは、この点を伝えてみてください。
  2. 市区町村から、サービス等利用計画案の提出を求められます。 指定特定相談支援事業者(相談支援事業所)と契約し、相談支援専門員に計画案を作ってもらいます。
  3. 必要な場合は、就労アセスメントを受けます。 ①②に当てはまる方は不要です。③に当たる方は、原則として就労選択支援を利用します。
  4. 市区町村が支給の要否と支給量を決定します。 B型は障害支援区分の認定を必要としないサービスです。また事務処理要領は、B型については暫定支給決定を行わないこととしています。
  5. 障害福祉サービス受給者証が交付されます。 ここに、利用できるサービスの種類と支給量、負担上限月額などが記載されます。
  6. 事業所と利用契約を結びます。 事業者は契約内容を市区町村に報告します。
  7. 事業所が個別支援計画を作り、利用が始まります。 相談支援専門員はサービス等利用計画を作成して本人に交付し、その後もモニタリングを行います。

どこで自治体差が出るか

混ざりやすいところを分けておきます。

全国共通で決まっていること お住まいの市区町村で確認が必要なこと
対象者の3つの類型 障害があることをどの書類で確認するかの具体的な運用
手帳が必須要件ではないこと 申請書の様式と、担当する課の名前
受給者証が交付されること 就労アセスメントを誰がどこで実施するか、待機期間があるか
負担上限月額の区分と金額 申請から受給者証の交付までにかかる日数
支給量の上限の考え方 1か月あたり何日で支給決定されるか
支給決定に有効期間があること 相談支援事業所の空き状況

見学と申請のどちらを先にするかも、地域や事業所によって順序が変わります。事業所に先に見学して決めてから窓口に行く形もあれば、窓口で候補を教えてもらってから見学する形もあります。見学のときに何を聞けばよいかはB型事業所の見学で聞くべき質問リストにまとめています。

利用料

「福祉サービスだから高いのでは」という心配をよく聞きますが、負担の枠組みは決まっています。厚生労働省の障害者の利用者負担は、障害福祉サービスの自己負担について、所得に応じて次の区分の負担上限月額が設定され、ひと月に利用したサービス量にかかわらず、それ以上の負担は生じないと説明しています。

区分 世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く 9,300円
一般2 上記以外 37,200円

厚生労働省の注記によれば、市町村民税非課税世帯は3人世帯で障害基礎年金1級受給の場合、収入がおおむね300万円以下の世帯が対象になります。所得割16万円未満は、収入がおおむね670万円以下の世帯が対象です。入所施設利用者(20歳以上)とグループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合は一般2になります。

「世帯」は本人と配偶者の範囲で見ます

ここは誤解が生まれやすいところです。厚生労働省の障害福祉サービス・障害児通所支援等の利用者負担認定の手引きは、平成20年7月に実施した世帯の範囲の見直しにより、障害者(施設に入所する20歳未満の者を除く)である場合の「世帯」の範囲は、当該障害者及び配偶者としていると書いています。

つまり、18歳以上で実家に住んでいても、親の収入は判定に入りません。配偶者がいない場合は本人の状況だけで見ることになります。市町村民税が非課税であれば0円です。ただし生活保護世帯の考え方については、この見直しは適用されず従前のとおりだとされています。

実費は別にかかります

上限額に含まれるのはサービスの利用にかかる自己負担で、食費などの実費は別です。厚生労働省は、通所施設の食費について、低所得・一般1の場合は食材料費のみの負担となるため、実際にかかる額のおおよそ3分の1の負担になると説明しています。実際にいくらになるかは事業所ごとに違うので、見学のときに確認してください。通所にかかる交通費の扱いも事業所や自治体によって差があります。

通える日数と、利用できる期間

1か月に通える日数

通う日数は、受給者証に書かれた支給量の範囲で決まります。事務処理要領は、日中活動サービスについて、原則として一人の障害者が一月に利用できる日数(支給量)は、各月の日数から8日を控除した日数(原則の日数)を上限とすることを基本としています。31日ある月なら23日が上限、という考え方です。

これはあくまで上限で、実際にいくつで支給決定されるかは市区町村がサービス等利用計画案などを踏まえて決めます。週2日から始めて体調を見ながら増やす、といった組み立ては、この支給量の範囲内で事業所と相談しながら決めていくことになります。支給量そのものを変えたいときは変更の申請という手続きがあります。

期限はありません

就労移行支援には標準利用期間があり、事務処理要領は2年間(あん摩マッサージ指圧師などの資格取得を目的とする養成施設を利用する場合は3年間または5年間)と定めています。標準利用期間が設定されているのは、自立訓練、就労移行支援、就労定着支援、自立生活援助などです。

就労継続支援B型は、この標準利用期間が設定されているサービスに含まれていません。何年で出なければならない、という期限はありません。

ただし、期限がないことと手続きが要らないことは別です。支給決定には有効期間があり、事務処理要領によれば就労継続支援は原則3年、そのうちB型で支給決定時に50歳未満の方については1年が上限とされています。有効期間が来れば更新の手続きをすることになります。

A型・就労移行支援との違い

迷いやすい3つを、違いが大きい3点に絞って並べます。

就労継続支援B型 就労継続支援A型 就労移行支援
雇用契約 結びません 結びます 結びません
最低賃金 適用されません(工賃が支払われます) 適用されます 賃金の支払いを前提とした仕組みではありません
期限 標準利用期間の設定はありません 標準利用期間の設定はありません 標準利用期間は2年間

最低賃金法第4条第1項は、使用者は最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないと定めています。A型は雇用契約を結ぶため、この規定が働きます。B型は雇用契約を結ばないので、支払われるのは賃金ではなく工賃です。

対象者の側から見ると、A型は「雇用契約に基づき、継続的に就労することが可能な者」、就労移行支援は「通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者」で、いずれも65歳未満という要件が付いています。B型は、雇用契約に基づく就労が困難な方が対象です。

どれを選ぶかは体調と生活の見通し次第で、順番も一方通行ではありません。B型から始めて、体力が戻ってきたところで就労移行支援に移る方もいます。3つの違いをもう少し詳しく知りたい場合は「B型事業所はやめとけ」と言われる理由も参考にしてください。

判断がつかないときに聞ける場所

ここまで読んでも、自分が①②③のどれに当たるのか、アセスメントが要るのか、いくらになるのかは、なかなか確定しないと思います。それは記事の書き方の問題というより、支給決定と就労アセスメントの運用に地域差があるからです。確実なのは、次の2か所に聞くことです。

お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口。申請の様式、必要な書類、就労アセスメントをどこで受けることになるか、負担上限月額の区分、受給者証が届くまでの目安は、ここで確認できます。今すぐ申請すると決めていなくても、相談だけで訪ねてかまいません。

相談支援事業所。サービス等利用計画案を作る役割の事業所です。窓口で紹介してもらえます。制度の説明だけでなく、地域にどんな事業所があるか、どこが空いているかも把握しています。

事業所を選ぶ段階で気になることが出てきたら、B型事業所が「おかしい」と感じたときの見分け方と対処も用意しています。生活費のことを同時に考える必要があるなら、精神疾患での障害年金は別の制度として検討できます。

今日できることは、窓口に電話して「就労継続支援B型を考えているのですが、何から始めればいいですか」と一言たずねることだけで十分です。順番は、そこから教えてもらえます。

わたしたちは就労継続支援B型を運営している立場なので、その前提で読んでいただきたいのですが、対象になるかどうかで悩んで問い合わせをためらう方はとても多いです。実際に対象かどうかを判断するのは市区町村で、事業所でも本人でもありません。手帳がないから、働いた経験がないからと自分で外してしまう前に、窓口で一度確かめてみてください。