就労継続支援B型に申し込もうとして窓口に行ったら、「先に就労選択支援を受けてください」と言われた。あるいは相談支援事業所から、まずそちらを使うことになりますと説明された。そこから調べ始めた方が多いと思います。
聞いたことのない名前が急に出てきて、そのうえ検索してもまとまった説明が見つかりません。それもそのはずで、就労選択支援は令和7年(2025年)10月1日に始まったばかりのサービスです。世の中にある解説の多くは、始まる前の予定にもとづいて書かれています。
この記事では、法律と省令と厚生労働省の通知だけを使って、就労選択支援が何をするものなのか、いつの時点で誰に求められるのか、受けると何が起きるのかを整理します。いちばん不安になりやすい「結果に従わなければいけないのか」という点は、通知にどう書かれているかをそのまま確認します。
就労選択支援は、法律のどこに書かれているのか
障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)の第5条第13項に、定義が置かれています。同じ第5条には、生活介護が第2項、就労移行支援が第14項、就労継続支援が第15項という具合に、障害福祉サービスの定義が並んでいます。就労選択支援はその一つとして書き加えられました。
条文はこうなっています。
この法律において「就労選択支援」とは、就労を希望する障害者又は就労の継続を希望する障害者であって、就労移行支援若しくは就労継続支援を受けること又は通常の事業所に雇用されることについて、当該者による適切な選択のための支援を必要とするものとして主務省令で定める者につき、短期間の生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、就労に関する適性、知識及び能力の評価並びに就労に関する意向及び就労するために必要な配慮その他の主務省令で定める事項の整理を行い、又はこれに併せて、当該評価及び当該整理の結果に基づき、適切な支援の提供のために必要な障害福祉サービス事業を行う者等との連絡調整その他の主務省令で定める便宜を供与することをいう。
長い一文ですが、骨格は三つです。短期間の生産活動などの機会を提供すること、就労に関する適性・知識・能力を評価して意向や必要な配慮を整理すること、その結果にもとづいて関係機関と連絡調整をすることです。
給付の分類でいうと、障害者総合支援法第28条第2項が訓練等給付費の対象となるサービスを列挙していて、その第2号に就労選択支援が挙がっています。自立訓練、就労移行支援、就労継続支援と同じ枠です。つまり就労選択支援それ自体が一つの障害福祉サービスであって、利用するには市区町村への申請と支給決定が必要になります。試験でも審査でもなく、受給者証を持って通う場所です。
何をするサービスなのか
条文の「主務省令で定める事項」は、施行規則第6条の7の3に6つ挙げられています。就労選択支援で整理されるのは、この6項目です。
| # | 整理する事項 |
|---|---|
| 1 | 障害の種類及び程度 |
| 2 | 就労に関する意向 |
| 3 | 就労に関する経験 |
| 4 | 就労するために必要な配慮及び支援 |
| 5 | 就労するために適切な作業の環境 |
| 6 | 前各号に掲げるもののほか、適切な選択のために必要な事項 |
「働けるかどうか」を採点する項目が並んでいるわけではありません。どんな配慮があれば働けるか、どんな環境が合うかという側の整理が半分を占めています。
実際の1日の中身
事業者が何をしなければならないかは、指定障害福祉サービス基準の第10章の2(第173条の2から第173条の9まで)に定められています。厚生労働省が示しているサービス提供記録の様式例には、提供内容として次の項目が並んでいます。
就労選択支援で行われること
- 1本人への情報提供地域にどんな働き方や事業所があるか、雇用の事例などを伝える
- 2作業場面等を活用した状況把握(アセスメント)短期間の作業やグループワークの場面で様子を見る。行動観察が重要なので対面が基本
- 3多機関連携によるケース会議本人と、必要な関係機関の担当者が集まって話す。本人の意向を改めて確認する場
- 4アセスメントシートの作成本人と協同して作る。できあがったものは本人と相談支援事業所に提供される
- 5事業者等との連絡調整必要に応じてハローワークや障害者就業・生活支援センター等と調整する
指定基準第173条の7第3項は、アセスメント結果を作るにあたって、利用者本人と、市町村、相談支援事業者、ハローワークなどの関係機関の担当者を招集して会議を開き、本人の就労に関する意向を改めて確認するとともに、担当者に意見を求めることを事業者に義務づけています。会議に誰を呼ぶかは、就労選択支援の実施についてという通知で、すべてのケースに一律に招集するのではなく個々のケースに応じて柔軟に、とされています。ただし相談支援事業所を使っている場合は、原則として参加してもらうこととされています。
作業の場面は、事業所の中だけとは限りません。通知は、他の就労系サービスでの模擬的な就労場面や、実習先・企業の作業場面での観察も含めて、多様な環境でアセスメントができることを求めています。作業の中で工賃が発生した場合は、本人に支払って差し支えないとも書かれています。
なお、就労選択支援は短期間のサービスなので、個別支援計画の作成は求められておらず、サービス管理責任者の配置も要件になっていません。配置されるのは管理者と就労選択支援員です。就労選択支援員は原則として就労選択支援員養成研修を修了していることが要件で、令和9年度末までは経過措置として、障害者の就労支援に関する基礎的研修などの修了者を就労選択支援員とみなす扱いになっています。
いつから、誰が対象になるのか
ここがいちばん誤解の多いところです。施行日と、対象が広がっていく時期を分けて書きます。
施行日は令和7年10月1日です
制度そのものは令和7年10月1日に施行されました。厚生労働省の通知も、就労選択支援は令和4年法律第104号による障害者総合支援法の改正にともなう新しい障害福祉サービスとして、令和7年10月から実施されると書いています。
省令上の対象者は、意外と広く書かれています
施行規則第6条の7の2は、対象者を「就労移行支援又は就労継続支援を利用する意向を有する者及び現に就労移行支援又は就労継続支援を利用している者」と定めています。これから使おうとしている人だけでなく、すでに通っている人も含まれます。
ただし、この「対象者に含まれる」ことと「原則として先に利用することが求められる」ことは別です。ここを混ぜると話が分からなくなります。
原則として利用することが求められるのは、今のところB型の一部です
令和7年10月から変わったのは、就労継続支援B型の対象者の書き方です。厚生労働省の事務処理要領は、B型の対象者を3つの類型で示しています。①就労経験がある人であって年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった人、②50歳に達している人または障害基礎年金1級を受けている人、③①②のいずれにも該当しない人であってアセスメントにより就労面に係る課題等の把握が行われている利用希望者、の3つです。
このうち③のアセスメントの担い手が、令和7年10月から就労選択支援事業者に変わりました。事務処理要領の③には、令和7年10月以降は「就労選択支援事業者によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている本事業の利用希望者」とする旨がかっこ書きで加えられています。通知も、新たに就労継続支援B型を利用する意向がある場合は就労選択支援をあらかじめ利用すること、と書いています。
逆に言えば、①や②に当てはまる方は、就労選択支援を経なくてもB型を利用できます。通知にも「50歳に達している者や障害基礎年金1級受給者、就労経験があり年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難になった者等については、就労選択支援事業者によるアセスメントを行うことなく、就労継続支援B型の利用が可能」と明記されています。窓口で就労選択支援の話が出たときは、まず自分が①②のどちらかに当たらないかを確認してみてください。B型の対象者の類型そのものは就労継続支援B型はどんな人が使えるかで扱っています。
時期ごとの整理
厚生労働省の就労選択支援実施マニュアルには、サービスの類型ごとに整理した表が載っています。内容をそのまま並べると次のようになります。
| サービス | 新たに利用する意向がある場合 | 既に利用していて更新等の意向がある場合 |
|---|---|---|
| 就労継続支援B型(①②のいずれにも当たらない方) | 令和7年10月から原則利用 | 希望に応じて利用 |
| 就労継続支援B型(①就労経験あり、②50歳・障害基礎年金1級のいずれか) | 希望に応じて利用 | 希望に応じて利用 |
| 就労継続支援A型 | 令和9年4月から原則利用(予定) | 希望に応じて利用 |
| 就労移行支援 | 希望に応じて利用 | 令和9年4月から原則利用(予定・標準利用期間を超えて更新を希望する場合) |
令和9年4月の部分に「予定」と付けたのには理由があります。令和9年4月以降の取扱いは、まだ確定した形では示されていません。令和7年9月30日に改正された通知は、この点についてこう書いています。
なお、令和9年4月以降は、新たに就労継続支援A型を利用する場合や標準利用期間を超えて就労移行支援を利用する場合についても、就労選択支援事業所によるアセスメントが行われている者を対象とする予定ですが、令和9年4月以降の取扱いについては改めてお示しします。
社会保障審議会障害者部会に出された資料でも、A型と就労移行支援については「支援体制の整備状況を踏まえつつ」令和9年4月以降に原則利用とする、という書き方になっています。つまり、令和8年8月の時点でA型や就労移行支援を新しく申し込む方に、就労選択支援が義務づけられているわけではありません。希望すれば使えます。A型そのものについては就労継続支援A型とは、就労移行支援については就労移行支援とは何かを参照してください。
近くに事業所がない場合の例外があります
B型について原則利用とされていても、全国どこでも同じように受けられるわけではありません。通知は、次の場合には就労移行支援事業所等による就労アセスメントを経たB型の利用を認めるとしています。
- 最も近い就労選択支援事業所であっても通所することが困難である等、近隣に就労選択支援事業所がない場合
- 利用可能な就労選択支援事業所数が少なく、就労選択支援を受けるまでに待機期間が生じる場合
これは絵に描いた例外ではありません。厚生労働省が公表している就労選択支援事業所数(令和8年6月末日現在)によれば、全国の事業所数は965か所(都道府県が指定したもの532、指定都市213、中核市220)です。指定権者ごとに数えた一覧を見ると、事業所数がゼロのところもあります。住んでいる場所によって、就労選択支援を受けることになるのか、従来どおり就労移行支援事業所等のアセスメントになるのかが変わります。ここは市区町村の障害福祉担当窓口で確認するしかない部分です。
受けると何が起きるのか
期間は原則1か月です
支給決定の期間は原則1か月です。施行規則第15条第1項第3号も、就労選択支援の支給決定の有効期間を「一月間又は二月間のうち市町村が定める期間」と定めています。
通知は、期間を延長することは原則として想定していないとしたうえで、1か月の支給決定を行ったあとに次の例外事由に当たることが明らかになった場合に限り、一度だけ、再度1か月の支給決定を行って差し支えないとしています。
- 自分自身に対して過小評価、過大評価を有していたり、自分自身の特性に対する知識等の不足等、進路に関する自己理解に大きな課題があり、自己理解等の改善に向け、1か月以上の時間をかけた継続的な作業体験を行う必要がある場合
- 作業に対する集中力や体力の持続、意欲・作業態度の持続に加え、体調や精神面の安定等に課題があり、進路を確定するに当たり、1か月以上の時間をかけた観察が必要な場合
当初から例外事由に該当することが明らかな場合には、最初から2か月の支給決定を行うこともできますが、その場合は延長ができないとされています。1か月のあいだ毎日通うわけでもありません。1か月あたりの利用日数の上限は、就労移行支援などと同じく、その月の暦日数から8日を引いた日数が限度とされています。実際に何日通うかは、体調を含めて事業所と相談して決めることになります。
受ける場所は、指定を受けた事業所です
就労選択支援は、どこでも実施できるわけではありません。指定基準第173条の6が実施主体を定めていて、就労移行支援または就労継続支援の指定障害福祉サービス事業者であって、過去3年以内に3人以上の利用者が新たに一般企業に雇用された実績があるもの、またはこれと同等の経験と実績があると都道府県知事(指定都市・中核市ではその市長)が認める事業者に限られます。
つまり、多くの場合は就労移行支援や就労継続支援を運営している法人が、別に就労選択支援の指定を受けて実施しています。通知は、同等の経験と実績があると認める例として、障害者就業・生活支援センター事業の受託法人、自治体が設置する就労支援センター、障害者能力開発助成金による障害者職業能力開発訓練事業を行う機関を挙げています。
この指定要件を事業者の側から細かく見たものとしては、就労選択支援の指定を受けられる事業者の要件という解説があります。近くの事業所がなぜ手を挙げていないのかを考えるときの材料になります。
費用は他の障害福祉サービスと同じ枠組みです
就労選択支援は訓練等給付のサービスなので、利用者負担の考え方は他の障害福祉サービスと変わりません。厚生労働省の障害者の利用者負担が示す負担上限月額の区分がそのまま適用されます。
| 区分 | 世帯の収入状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護受給世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般1 | 市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く | 9,300円 |
| 一般2 | 上記以外 | 37,200円 |
18歳以上の障害者の場合、この判定でいう「世帯」の範囲は本人と配偶者です。実家で暮らしていても親の所得は判定に入りません。本人に収入がなく配偶者もいなければ市町村民税非課税世帯として扱われ、0円になります。
これとは別に実費がかかることがあります。施行規則第25条第8号は、就労選択支援・就労移行支援・就労継続支援について、食事の提供に要する費用、生産活動に係る材料費、日用品費などを特定費用として給付の対象から外しています。昼食代などは別に払うことになりますので、見学や説明のときに確認してください。
できあがるのは「アセスメント結果」です
就労選択支援を受けると、本人と協同して作られたアセスメント結果(アセスメントシート)ができます。指定基準第173条の7第4項は、事業者が結果を作成したときには、その情報を利用者本人と相談支援事業者に提供しなければならないと定めています。本人の手元に残るものだということです。
この結果は、そのあとの手続きの中で使われます。施行規則第7条第2項第4号は、就労系サービスの支給申請書に添付する書類として、就労選択支援を利用している場合には評価と整理の結果が記載された書類を挙げています。また施行規則第12条第3号は、市町村が支給決定にあたって勘案する事項の一つとして、この評価と整理の結果を挙げています。結果は市町村が判断する際の材料の一つという位置づけです。
「結果に従わなければいけないのか」
ここがいちばん不安の残るところだと思います。B型に行きたいと言っているのに、就労選択支援を受けたせいでB型に行けなくなるのではないか。逆に、まだ働くのはきついのに一般就労を勧められてしまうのではないか。
制度の建て付けとしては、就労選択支援は進路を決める機関ではありません。通知とマニュアルは、この点を繰り返し書いています。
通知は「判断・決定するものではない」と書いています
アセスメント結果の作成について、通知はこう書いています。
就労選択支援事業者が本人の就労の可否や利用すべき就労系障害福祉サービス、利用する事業所等を判断・決定するものではないことに留意すること。例えば、アセスメントシートに、想定される事業所名を記載する場合などが考えられるが、今後の支給決定に向けた参考情報に過ぎず、就労選択支援事業者が利用サービス等のあっせんを行うものではないことに留意すること。
厚生労働省の実施マニュアルにも、同じ趣旨が「ポイント」として置かれています。就労選択支援は本人との協同による意思決定を支援するサービスであり、就労の可否を判断したり、どの就労系障害福祉サービスを利用するかの振り分けを行うものではない、という一文です。マニュアルは事業の目的の説明でも、その過程の結果として就労系障害福祉サービスの活用を含めた進路について本人が選び、決定していくことを支援すると書いています。
本人の意向は、手続きの中に組み込まれています
言葉だけでなく、手続きの側にも本人の意向を確認する仕掛けが置かれています。
指定基準第173条の7第3項は、アセスメント結果の作成にあたって関係機関を集めた会議を開き、「当該利用者の就労に関する意向を改めて確認する」ことを事業者に求めています。会議は担当者の意見を集める場であると同時に、本人の意向をもう一度確かめる場として条文に書かれています。
同条第4項は、結果を本人と相談支援事業者に提供することを義務づけています。本人の知らないところで結果だけが市町村に渡る、という流れにはなっていません。通知は、他機関に情報提供を依頼する場合や、ケース会議で他機関が持つ個人情報を共有する場合には、あらかじめ書面で本人の同意を得るなど適切な手続を経ることにも触れています。
進路が固定される仕組みにはなっていません
通知の「関係機関との連携について」の項には、進路が動く前提での取扱いが書かれています。アセスメント結果を踏まえて本人が就労継続支援ではなく一般就労を目指すことを希望した場合は、ハローワークに案内することが基本とされています。そのうえで、こう続きます。
なお、就労選択支援を経て安定所による支援を受けることとなった者が、支援の過程で、本人の状況・希望が変化して、一般就労ではなく就労継続支援事業の利用を再度希望することも考えられることから、当該者に係る連絡を受けた場合は、各市区町村に安定所から誘導を行うこと。
一般就労を目指すことにしたあとで気持ちや状況が変わることを、あらかじめ想定した書き方になっています。また通知は、就労系サービスを利用している人が定期的に選択を見直せるよう、事業者が支給決定の更新時などに就労選択支援の情報提供を行うことも求めています。一度で終わりの手続きではありません。
中立性を保つための決まりも置かれています
就労選択支援を実施できるのは就労移行支援や就労継続支援を運営している事業者です。そうすると、自分のところの事業所に人を回すのではないかという心配が出てきます。この点については、制度の側にいくつか決まりが置かれています。
一つは同一法人の制限です。通知は、就労継続支援や就労移行支援を利用中の人が受給者証の更新や事業所の変更を検討するために就労選択支援を利用する場合、アセスメントや情報提供の客観性を担保するため、そのサービスを提供している事業所と同一の法人が運営する就労選択支援は利用できないとしています(近隣に別の法人の事業所がない場合は例外があります)。
もう一つは特定事業所集中減算です。就労選択支援事業所は半年ごとに、アセスメントを終えた利用者がその後どのサービスにつながったかを集計し、特定の法人につながった割合が80%を超えた場合には報酬が減算される仕組みになっています。地域にサービス事業所が少ない場合など、正当な理由が認められる例も通知に列挙されていますが、基本の考え方は特定の法人への集中を抑えるところにあります。
指定の場面でも、通知は、就労選択支援には専門的・中立的な役割が期待されるとして、指定権者が実施の目的や理念、アセスメントの環境、地域との連携体制、第三者からの評価などを確認することが望ましいとしています。
こうした決まりがあるからといって、どの事業所も同じように運用されているとは限りません。気になることがあれば、相談支援事業所や市区町村の窓口に、その事業所がどこの法人のものかを含めて聞いてかまいません。
受けるときに用意しておくとよいこと
準備がなくても受けられます。ただ、整理される項目が決まっているので、そこに沿って自分の言葉を先に用意しておくと、短い期間を無駄にしません。
これまで受けたことのある評価や検査があれば、それを伝えてください。通知は、他の機関がすでに同じような評価と整理をしている場合には、それを活用または参考にして差し支えないとしています。想定されているのは、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センター、就労系障害福祉サービス事業所、障害者職業能力開発訓練事業を行う機関、特別支援学校などです。原則として1年以内に実施されたものを活用するとされています。同じことを二度やらされずに済む可能性があります。
通院している医療機関があることも伝えてください。通知は、本人が医療機関を利用している場合は必要に応じて医療機関とも連携することとし、医療機関が患者の同意を得て診療状況を示す文書を添えて情報を提供した場合には、診療報酬の診療情報提供料(Ⅰ)を算定できると書いています。主治医の側にも仕組みが用意されているということです。
整理される6項目のうち、自分で書けるところを書き出しておくと役に立ちます。特に「就労に関する意向」「就労するために必要な配慮及び支援」「就労するために適切な作業の環境」の3つは、他人からは見えない部分です。一日にどのくらいの時間なら持つか、どんな場面で消耗するか、静かな環境が要るか、指示は口頭より文書のほうが助かるか。うまくまとまっていなくてかまいません。会議の場でその場で答えるより、手元にメモがあるほうが楽です。
ケース会議に誰が来るのかは、事前に確認しておいてかまいません。関係機関を柔軟に参集するとされている場ですから、来てほしい人と、来てほしくない人があるはずです。家族に同席してほしくない場合も含めて、先に伝えておくほうがあとで困りません。
終わったあとの流れ
就労選択支援が終わっても、それだけでB型や就労移行支援に通えるようになるわけではありません。就労選択支援と、そのあとのサービスは別々の申請です。順番は次のようになります。
- 市区町村の障害福祉担当窓口に、就労選択支援の支給申請をします。 このときもサービス等利用計画案の提出を求められるので、相談支援事業所と契約して相談支援専門員に作ってもらうことになります。
- 支給決定を受けて、受給者証が交付されます。 期間は原則1か月です。
- 就労選択支援事業所と契約し、通います。 情報提供、作業場面での状況把握、ケース会議、結果の作成という流れです。
- アセスメント結果を受け取ります。 本人と相談支援事業者に提供されます。支給決定権者にも共有することが望ましいとされています。
- B型など、次のサービスの支給申請をします。 申請書にアセスメント結果の書類を添え、市町村がそれを勘案して支給決定を行います。サービス等利用計画も改めて作られます。
短い期間に手続きが二回続くので、市区町村の側でも調査項目を簡略化するなどの工夫をして差し支えないと通知に書かれています。とはいえ書類は増えますから、最初から相談支援専門員に間に入ってもらうほうが負担が軽くなります。相談支援専門員には、就労選択支援事業者と連携して必要な情報の提供や助言、関係機関との連絡調整を行う役割が省令で定められています。
判断がつかないときに聞ける場所
ここまで読んでも、自分に就労選択支援が必要なのか、どこで受けることになるのかは、この記事だけでは決まりません。B型の3つの類型のどれに当たるかを判断するのは市区町村ですし、地域に事業所があるかどうかで扱いが変わるからです。確かめられるのは次の2か所です。
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口。自分が就労選択支援を先に受けることになるのか、それとも就労経験や年齢の類型に当てはまるので不要なのか、地域に事業所があるのか、待機期間が生じるのか。この4つは、ここでしか分かりません。名前を伝えずに一般的な質問として電話で聞くこともできます。
相談支援事業所。サービス等利用計画案を作る役割の事業所ですが、その前の段階から相談できます。就労選択支援のケース会議にも原則として参加することとされている立場なので、最初からつながっておくと話が早くなります。市区町村の窓口で紹介してもらえます。
今日できることは、窓口に電話をして「就労継続支援B型を考えているのですが、就労選択支援を先に受けることになりますか」と一言たずねることだけで十分です。答えが「必要です」でも「不要です」でも、そこから先の順番は向こうから教えてもらえます。
わたしたち自身が就労継続支援B型を運営していて、就労選択支援の結果を受けて利用が始まる側の事業所なので、中立ではありません。そのうえで書くと、この制度が確かめようとしているのは優劣ではなく、いまのあなたに合う条件のほうです。結果が本人の希望と食い違うことも起こりえますが、本文に書いたとおり、決めるのは事業者ではありません。結果は材料として受け取って、希望は希望として言い続けて構いません。
