「障害者雇用 在宅」で調べている方は、たいてい二通りに分かれます。通勤そのものがつらい、あるいは人のいる場所に長い時間いることが体にこたえるので、はじめから在宅で働ける仕事を探している方。もう一つは、いま働いている職場を在宅勤務に切り替えられないかを考えている方です。この記事は、その両方に向けて書いています。

先に一つだけ整理させてください。「在宅で働く」と言うとき、世の中では性質のまったく違う3つのものが同じ言葉で呼ばれています。分けないまま調べると、雇用されている人向けの説明と、雇用ではない人向けの説明と、福祉サービスの説明が混ざって、自分がどこにいるのか分からなくなります。まずそこを分けたうえで、いま働いている職場に在宅勤務を求めるという道筋と、その限界を条文と指針から確認していきます。在宅にも在宅の難しさがあるので、そこも省かずに書きます。

在宅で働く形は3つあります

「在宅で働く」と呼ばれている3つは、別の制度です

家で働きたい、通勤せずに働きたい
雇用されて在宅勤務をする(テレワーク)会社と労働契約を結びます。労働基準法・労働安全衛生法・労災保険がそのまま適用されます
在宅就業障害者支援制度雇用契約ではなく、企業から仕事を発注してもらう形です。労働者にはあたりません
障害福祉サービスの在宅利用就労移行支援や就労継続支援を家で利用します。原則は対面で、市町村の判断が要ります
3つは根拠になる法律が別です。どれが良い悪いではなく、自分がどこに当てはまるかを先に決めると、調べる先が絞れます。

表にすると、違いはもっとはっきりします。

雇用されて在宅勤務 在宅就業障害者支援制度 障害福祉サービスの在宅利用
根拠 労働基準法など労働法令一般 障害者雇用促進法第74条の2以下 障害者総合支援法と厚生労働省の留意事項通知
あなたの立場 労働者 労働者ではありません(発注を受けて仕事をする人) 障害福祉サービスの利用者
受け取るもの 賃金 在宅就業契約に基づく仕事の対価 工賃または賃金(A型は雇用契約)
労働基準法・最低賃金法 適用されます 適用されません A型は適用されます。B型は雇用契約ではありません
労災保険 対象です 対象になりません A型は対象です
手帳 障害者専用求人では前提になります 必要です(対象障害者に限られます) 手帳がなくても受給者証で利用できる場合があります
制度からお金が出る先 事業主に助成金が出ることがあります 発注した企業に特例調整金・特例報奨金 事業所に給付費

3つのうち、生活の安定という点でいちばん守りが厚いのは雇用です。逆に言えば、雇用でないものを雇用だと思って選ぶと、後から「思っていたものと違った」という形で表れます。順に見ていきます。

1. 雇用されて在宅勤務をする(テレワーク)

厚生労働省が示している基準はテレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインです。名前が変わっているので注意してください。以前は「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」という名称でしたが、令和3年3月25日に全面的に改められ、現在の名前になっています。

在宅でも労働法令はそのままかかります

ガイドラインには、労働基準法上の労働者については、テレワークを行う場合においても、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働基準関係法令が適用されると書かれています。在宅勤務は、労働法の外に出る働き方ではありません。

一つ、見落とされやすい点があります。ガイドラインは、テレワークを行う場所がどこであっても、その労働者が属する事業場がある都道府県の最低賃金が適用されると注意しています。地方に住みながら都市部の会社で在宅勤務をする場合、住んでいる地域の最低賃金ではなく、会社の事業場のある都道府県の最低賃金が基準になります。

労働時間は、会社が把握することになっています

在宅だと「見られていないのだから労働時間の管理は自己責任」と思われがちですが、そうはなっていません。ガイドラインは、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日基発0120第3号)を踏まえた対応として、情報通信機器の使用時間の記録などによる客観的な把握と、労働者の自己申告による把握の二つを挙げています。自己申告による場合、使用者は、申告された時間とパソコンの使用状況などの客観的な事実に著しい乖離があることを把握したときは労働時間を補正すること、そして自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設けるなど、適正な申告を阻害する措置を講じてはならないことが求められます。

在宅勤務で起きやすい場面についても、扱いが書かれています。

  • 中抜け時間。労働から離れる時間を、使用者は把握してもしなくてもよいとされています。把握する場合は休憩時間として終業時刻を繰り下げる、時間単位の年次有給休暇として扱うなどの方法が挙げられ、把握しない場合は始業と終業の間を(休憩を除いて)労働時間として扱うとされています。どちらにするかをあらかじめ就業規則等で定めておくことが重要だと書かれています
  • 午前は在宅、午後は出社という日の移動時間。自由利用が保障されている時間は休憩時間として扱えますが、急きょ出社を求められて自由利用が保障されていない場合の移動時間は労働時間にあたるとされています
  • 長時間労働への対策。時間外や休日にメールを送ることの自粛を命じる、所定外深夜・休日は事前の許可なく社内システムにアクセスできないよう設定するといった手法が挙げられています。時間外にメール等に対応しなかったことを理由に不利益な人事評価を行うことは適切な人事評価とはいえない、とも明記されています

体調の波がある方にとって、中抜けの扱いと、時間外の連絡に応じなくてよいという線引きは実際に効いてきます。在宅勤務を始める前に、この二つがどうなっているかを確かめておくと、後から揉めにくくなります。

費用は誰が負担するのか

ここは会社ごとに違います。ガイドラインも、業務内容や物品の貸与状況によって取扱いはさまざまなので、労使のどちらがどのように負担するか、使用者が負担する場合の限度額、労働者が費用を請求する場合の請求方法などを、あらかじめ十分に話し合ってルールを定め、就業規則等に規定しておくことが望ましいとしています。

ただし、一つだけ法律上の縛りがあります。労働者に情報通信機器、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合には、就業規則に規定しなければなりません(労働基準法第89条第5号)。通信費や電気代を自分で持つ取り決めになっているなら、それは就業規則のどこかに書いてあるはずのものです。書かれていないのに実費が自分に降りかかっているなら、確認する理由になります。

作業環境と安全衛生

自宅は会社が用意した作業場ではないので、事務所衛生基準規則や情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインは、一般には適用されません。ただし、それで終わりにはなっていません。これらの衛生基準と同等の作業環境となるよう、事業者はテレワークを行う労働者に教育・助言等を行うこと、そして労働者用のチェックリストを活用するなどして自宅等の作業環境の報告を求め、必要な場合には労使が協力して改善を図るか、サテライトオフィス等の活用を検討することが重要だとされています。

このチェックリスト(別紙2)は公開されていて、誰でも見られます。十分な空間があるか、無理のない姿勢で作業できる机と椅子の配置か、つまずく恐れのある物や電源コードが床にないか、十分な明るさと換気があるかといった項目が並び、最後に、自宅の作業環境に大きな変化が生じた場合や心身の健康に問題を感じた場合の相談窓口の連絡先を把握しているか、という項目があります。

安全衛生関係法令のほうも、在宅だからといって外れません。健康相談を行うことができる体制の整備(労働安全衛生法第13条の3)、雇入れ時と作業内容変更時の安全衛生教育(同法第59条)、健康診断とその結果を受けた措置(同法第66条から第66条の7まで)、長時間労働者への医師による面接指導(同法第66条の8など)、ストレスチェックとその結果を受けた措置(同法第66条の10)が挙げられています。ストレスチェックも健康診断も、在宅勤務でも会社の義務として残ります。

労働災害についても、労働契約に基づいて事業主の支配下にあることによって生じたテレワーク中の災害は、業務上の災害として労災保険給付の対象になると明記されています。ただし私的行為が原因のものは対象になりません。自宅だと線引きが難しいので、災害が起きたときの状況を可能な限り記録しておくことが大切です。

労働条件通知書の「就業の場所」を見てください

在宅勤務が労働契約上どこまで保障されているかは、実は書面で確かめられます。使用者は労働契約を締結する際、就業の場所に関する事項を明示することになっていて、そこには就業の場所の「変更の範囲」も含まれます(労働基準法第15条、同法施行規則第5条第1項第1号の3)。ガイドラインは、雇入れ直後からテレワークを行わせることが通常想定される場合は雇入れ直後の就業の場所として、契約期間中にテレワークを行うことが通常想定される場合は変更の範囲として、自宅やサテライトオフィスなどを明示する必要があるとしています。

そして、労働契約や就業規則で定められている勤務場所の範囲を超えて会社が在宅勤務をさせる場合には、本人の合意を得たうえでの労働契約の変更が必要だとも書かれています(労働契約法第8条から第11条まで)。この関係は逆向きにも働きます。会社の判断で在宅勤務が打ち切られる可能性がどれくらいあるかは、契約書に就業の場所がどう書いてあるかで、ある程度読めるということです。

2. 在宅勤務を「配慮」として求めるという道筋

いま雇われている職場を在宅勤務に変えたい、という方向けの話です。

障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)の第36条の3は、事業主に対して、雇用している障害者である労働者について、均等な待遇の確保または能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、その障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な措置を講じなければならないと定めています。募集・採用の場面については第36条の2に別の定めがあり、こちらは本人からの申出が起点になります。いずれにも「事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない」というただし書きが付いています。

第36条の4第1項は、これらの措置を講じるにあたって障害者の意向を十分に尊重しなければならないとしています。会社が一方的に決めるものではない、という構造です。

手続きは、申し出て、話し合って、決まります

合理的配慮指針(平成27年厚生労働省告示第117号)に、手続きが具体的に書かれています。採用後については、事業主のほうから職場において支障となっている事情の有無を確認することとされていて、雇入れ時までに障害者であることを把握している場合は雇入れ時までに、途中で把握した場合は遅滞なく確認する、そして障害の状態や職場の状況は変わるので必要に応じて定期的に確認する、という流れです。もちろん、本人が確認を待たずに自分から申し出ることもできます。

そのうえで指針は、希望する措置の内容を具体的に申し出ることが困難な場合は、支障となっている事情を明らかにすることで足りるとしています。「在宅勤務にしてください」と設計まで自分でしなくてもよいということです。「朝の電車に乗ると午前中がまるまる潰れてしまう」「大部屋に長時間いると夕方に持たない」という形で、支障のほうを伝えれば手続きは始まります。

「在宅勤務」は指針の別表には載っていません

ここは正確に書いておきます。合理的配慮指針の別表に挙がっている精神障害についての配慮の例は7項目で、面接時に就労支援機関の職員等の同席を認めること、業務指導や相談の担当者を定めること、業務の優先順位や目標を明確にし指示を一つずつ出すこと、出退勤時刻・休暇・休憩に関し通院・体調に配慮すること、できるだけ静かな場所で休憩できるようにすること、本人の状況を見ながら業務量等を調整すること、本人のプライバシーに配慮したうえで他の労働者に障害の内容や必要な配慮等を説明することです。この別表に在宅勤務やテレワークは出てきません。

ただし指針自身が、別表の事例はあくまで例示であり、別表に記載されている事例以外であっても合理的配慮に該当するものがあると明記しています。

そして、実例のほうを集めた合理的配慮指針事例集【第六版】には、在宅勤務やテレワークが実際に載っています。精神障害の章の「出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること」の項目のなかに、次のような事例が並んでいます。

  • 通勤時や職場での対人関係のストレス軽減のために在宅勤務とした(1,000人以上/情報通信業/データ入力)
  • 週に2回はテレワークを導入し、体調が不安定にならないよう対応している(1,000人以上/サービス業/事務)
  • 対面での仕事が苦手なため、サテライトオフィスを借り上げて完全リモートワークを行っている(100〜299人/卸・小売業/事務)

発達障害の章にも、出勤とテレワークの併用勤務とし、不調時はテレワークに変更して対応している例(500〜999人/製造業/事務)が挙げられています。公的な文書に載っている実例なので、話し合いの場に持ち出せます。

過重な負担という限界

正直に書いておかなければならないのは、ここです。指針は、過重な負担にあたるかどうかを、事業活動への影響の程度、実現困難度、費用・負担の程度、企業の規模、企業の財務状況、公的支援の有無という6つの要素を総合的に勘案して、個別に判断するとしています。この6番目に注目してください。公的支援を利用できる場合は、その利用を前提としたうえで判断すると書かれています。会社が使える助成金があるかどうかは、過重な負担の判断そのものに関わってくる要素だということです。

もう一つ、知っておいたほうがよいことがあります。指針は、過重な負担にならない範囲で支障を改善する措置が複数あるとき、事業主が、障害者との話合いの下、その意向を十分に尊重した上で、より提供しやすい措置を講ずることは差し支えないとしています。また、希望した措置が過重な負担にあたるときは、事業主は話合いのうえ、過重な負担にならない範囲で別の措置を講ずることとされています。

つまり、在宅勤務を申し出ても、時差出勤やフレックスタイム制、休憩の取り方の変更といった別の措置で決着することがあります。それは制度が想定している結果であって、会社の怠慢とは限りません。ただし、実施できないと判断した場合には、事業主はそのことを本人に伝え、本人から求められれば、過重な負担にあたると判断した理由を説明することとされています。理由を聞く権利は指針に書かれています。

数字で見ると、まだ多数派ではありません

厚生労働省の令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書は、雇用している障害者への配慮事項を調べています。精神障害者について「配慮している」と答えた事業所は63.3%で、その内訳(複数回答)のうち「テレワークを活用できる」を挙げた事業所は14.0%でした。最も多いのは「短時間勤務等勤務時間の配慮」の54.3%、次いで「休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等休養への配慮」が50.9%、「通院・服薬管理等雇用管理上の配慮」が49.2%です。

14.0%を少ないと見るか、7社に1社はやっていると見るかで印象は変わります。ただ、時間の調整のほうがはるかに広く使われているのは確かです。在宅勤務にこだわるより、時間の使い方の調整のほうが通りやすい場面もあるということは、頭に置いておいてよいと思います。

3. 在宅就業障害者支援制度。これは雇用ではありません

3つのうち、いちばん誤解されているのがこれです。名前に「障害者支援」と付いているので、働く人に何かが給付される制度だと読まれがちですが、そうではありません。

障害者雇用促進法第74条の2は、在宅就業障害者と書面で在宅就業契約を結び、業務の対価を支払った事業主に対して、在宅就業障害者特例調整金を支給すると定めています。お金を受け取るのは仕事を出した企業のほうです。常時雇用する労働者が100人以下の事業主については、附則第4条に在宅就業障害者特例報奨金が置かれています。

金額の組み立ても条文と政令で決まっています。同法施行令は、在宅就業単位調整額を21,000円、評価基準月数を1月、評価額の月額を35万円と定めており、特例調整金は「調整額21,000円 × 年間の発注総額 ÷ 評価額35万円(端数切捨て)」で計算されます。厚生労働省の概要資料には、250万円の発注に対して147,000円という計算例が載っています。特例報奨金の単価は17,000円です。

誰が「在宅就業障害者」にあたるのか

条文の定義は、対象障害者であって、自宅その他厚生労働省令で定める場所において物品の製造、役務の提供その他これらに類する業務を自ら行うもの(雇用されている者を除く。)です。「雇用されている者を除く」と明記されている点が、この制度の性格を決めています。労働者ではないので、労働基準法も最低賃金法も労災保険もかかりません。

そして「対象障害者」なので、精神障害の場合は精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人に限られます(同法第37条第2項)。等級の条件はありません。

在宅就業支援団体という仕組み

企業が個人に直接発注するのはハードルが高いので、間に入る団体が制度化されています。第74条の3の在宅就業支援団体です。厚生労働大臣の登録を受けた法人で、登録には、常時5人以上の在宅就業障害者に対して、就業機会の確保と組織的な提供、職業講習または情報提供、業務を適切に行うための助言その他の援助、雇用による就業を希望する人への助言その他の援助という4つの業務をすべて継続的に実施していることなどが要件になっています。

施行規則第36条の2は、事業主が在宅就業契約を結ぶときの基準も定めています。契約は書面で結んで3年間保存すること、書面に業務の内容と対価の額と支払日を記載すること、6か月を超えて継続的に同じ人に仕事を出していて、それを打ち切ろうとするときは遅滞なく予告することなどです。雇用ではないぶん、最低限の手続きを規則の側で用意した作りになっています。

ただし、使える地域が限られています

ここが実務上いちばん大きい話です。JEEDが公開している厚生労働大臣に申請、登録を受けている団体の一覧を見ると、令和8年7月現在で登録されている在宅就業支援団体は全国で19団体です。所在地は関東10、東海4、近畿2、九州3で、北海道・東北・北陸・中国・四国には1つもありません

業務の内容も団体によって幅があります。Webサイトの制作、プログラム開発、DTP、データ入力、テープ起こしといったIT系を扱う団体もあれば、封入・梱包・組立などの作業を扱う団体もあります。同じページから各団体に直接問い合わせられますし、JEEDのチャレンジホームオフィスには、登録団体以外で支援活動をしている団体や企業の在宅雇用の事例も載っています。

19という数字は、正直に言えば多くありません。この制度を当てにして生活を組み立てるのは現実的ではない、というのが数字から言えるところです。ただ、住んでいる地域に団体があるなら選択肢として存在はします。

4. 障害福祉サービスを在宅で利用する

就労移行支援や就労継続支援を、事業所に通わずに家で利用するという形です。制度としては用意されていますが、原則は対面での支援だという点をまず押さえてください。

厚生労働省の留意事項通知は、在宅でのサービス利用を希望する人であって、在宅でのサービス利用による支援効果が認められると市町村が判断した利用者について、アからキまでの要件のいずれにも該当する場合に限って報酬を算定するとしています。要件を整理すると次のとおりです。

  1. 作業活動や訓練等のメニューが常に確保されていること
  2. 1日2回は連絡、助言または進捗状況の確認等の支援が行われ、日報が作成されていること
  3. 緊急時の対応ができること
  4. 疑義が生じた際の照会等に対し、随時、訪問や連絡による支援が提供できる体制を確保すること
  5. 事業所職員による訪問、利用者による通所、または電話・パソコン等のICT機器の活用により、評価等を1週間につき1回は行うこと
  6. 原則として月の利用日数のうち1日は、事業所職員による訪問または利用者による通所により、居宅または事業所内で訓練目標に対する達成度の評価等を行うこと
  7. 5が通所により行われ、あわせて6の評価等も行われた場合は、6の通所に置き換えて差し支えないこと

在宅で提供する場合は、運営規程に在宅で実施する訓練内容と支援内容を明記しておくことも求められています。

厚生労働省は令和8年4月13日付けの事務連絡「就労移行支援事業、就労継続支援事業(A型、B型)における在宅支援の要件遵守の徹底について」で、この要件の遵守を自治体に対して改めて求めています。そこには、希望があれば在宅での利用を認めるといったことは必ずしも適切ではなく、本人の同意に加えて支援の効果が認められるかどうかをあらかじめ市町村が判断することが必要であること、緊急時には事業所の職員が速やかに利用者のもとへ駆けつけられる体制を整備しておく必要があることが書かれています。他の都道府県に住んでいることだけで直ちに不可とはしないが、緊急時対応が担保されないような地域の利用者へのオンライン支援は原則として認められない、という記述もあります。

つまり、遠方の事業所にオンラインだけでつながる、という使い方は制度が想定していません。この事務連絡には、在宅支援について令和9年度の報酬改定で見直しを検討していることも書かれているので、今後扱いが変わる可能性があります。

実際に使えるかどうかは、住んでいる市区町村と、近くの事業所の体制で決まります。まずは市区町村の障害福祉担当窓口で「在宅での利用ができるか」を確認してください。それぞれのサービスの中身は就労移行支援とは就労継続支援B型はどんな人が使えるかにまとめています。

在宅にも、在宅の難しさがあります

「在宅なら働ける」と書いてしまうのは簡単ですが、それは正確ではありません。ここは省かずに書きます。

仕事の種類が限られます

在宅勤務ができる業務は、パソコンで完結する仕事に寄ります。障害者職業総合センターが2021年から2022年にかけて行った「テレワークに関する障害者のニーズ等実態調査」(調査研究報告書No.171)で企業に聞き取ったところ、テレワークで働く障害のある社員が担当していた業務は、データ入力、プログラミング、グラフィックデザイン、マーケット調査などでした。

同じ調査で、雇用されていてテレワークを希望しない人にその理由を聞いたところ、最も多かったのは「仕事内容が向いていない」で66.9%(n=178)でした。在宅にすると成り立たない仕事のほうが世の中には多い、ということです。なお、この調査はweb調査会社のモニター会員を対象にしたインターネット調査で、報告書自身が回答者にバイアスがあることを断っています。傾向を見るための数字として読んでください。

一人で働くことの難しさ

同じ調査で、雇用されていない人がテレワークを希望しない理由(n=169)の上位は、「テレワークができるスキルがない」42.0%、「自宅の環境が整っていない」32.0%、「一人での仕事に不安がある」23.7%でした。

テレワークを経験した人が「必要だと感じた職場の配慮」(n=470)でも、最も多かったのは「障害特性に合わせた業務上のコミュニケーション」で42.1%、次いで「体調が悪い時の休暇取得や緊急時の対応」28.9%でした。「孤独感・疎外感について」も21.9%が挙げています。在宅にすれば人間関係の負担がなくなる、という単純な話ではありません。聞きたいことがあるときに聞ける相手がいるかどうかは、在宅のほうがむしろ重い問題になります。

この調査で、テレワークの経験があってテレワークを希望する人に今後の希望を尋ねたところ、最も多く選ばれたのは「テレワークと出勤の組み合わせ」でした。完全在宅か出社かの二択で考える必要はありません。

支援につながりにくくなります

家から出ないで働くと、支援機関との接点も減ります。同じ調査の企業への聞き取りでは、遠方に住む社員について上司や人事担当者がフォローしにくい部分を、その社員が住む地域の支援機関の助力で補っている様子が確認されたと報告されています。在宅で働くなら、むしろ地域の支援機関との関係は先につくっておいたほうがよい、という順番になります。

週20時間という線があります

体調に合わせて短い時間から始めたいと考えるとき、制度の側に線が引かれていることは知っておいてください。企業が法定雇用率を計算するとき、週の所定労働時間によって1人あたりの数え方が変わります。障害者雇用促進法第70条は、精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者である特定短時間労働者について、週10時間以上20時間未満でも0.5として算定できる仕組みを置いていますが、週10時間未満は算定の対象になりません。

在宅勤務であっても、この計算ルールは変わりません。「在宅だから短時間でも採用されやすい」という関係にはならない、ということです。時間ごとの扱いの詳しい話は障害者雇用とは何かにまとめています。短い時間で働けば、そのぶん月々の賃金も下がります。

在宅で始めるときに使える制度

会社の側が使える制度を知っておくと、話し合いの材料になります。過重な負担の判断で「公的支援の有無」が要素になっている以上、これは自分に関係のない話ではありません。

障害者トライアル雇用

ハローワーク等の紹介で、試行的に雇用してみる制度です。ここで一つ、間違えやすい点があります。テレワークによる期間の延長があるのは、障害者短時間トライアルコースではなく、通常の障害者トライアル雇用のほうです。

厚生労働省の実施要領では、テレワーク勤務を行う人(精神障害者を除く)の障害者トライアル雇用期間は原則3か月以上6か月以内とされ、最大6か月まで延長できます。精神障害者は、テレワーク勤務を行うかどうかにかかわらず、もともと原則6か月以上12か月以内です。一方、障害者短時間トライアル雇用の期間は「テレワーク勤務の実施の有無に関わらず3か月以上12か月以内」と明記されています。こちらは週の所定労働時間を10時間以上20時間未満で始めて期間中に20時間以上を目指す制度で、対象は精神障害者または発達障害者です。

なお、この実施要領には「テレワーク勤務」の定義も置かれていて、対象労働者の1週間の所定労働時間の2分の1以上、情報通信技術を活用して勤務していることを指し、在宅またはサテライトオフィスでの勤務に限られるとされています。「在宅勤務あり」と書かれた求人が、実際には月に数日という場合もあります。頻度を確認する材料として使えます。

会社側が使える助成金

JEEDの障害者作業施設設置等助成金は、障害のある労働者が障害を克服して作業を容易に行えるようにするための施設や設備の設置・整備の費用の一部を助成するものです。在宅勤務のための機器がこの対象になる場合があります。会社に「設備の費用が出せない」と言われたときに、確認してもらう先があるということです。詳しい要件はJEEDの各都道府県支部が窓口になります。

どこで相談するか

求人サイトの話はしません。公的な窓口の使い分けだけ書きます。

ハローワークの専門援助部門。公的な三つの窓口のうち、求人を紹介してもらえるのはここだけです。求人票には就業場所の欄があるので、在宅勤務が可能な求人かどうかは窓口で相談しながら絞り込めます。障害者雇用促進法第2条第1号の「障害者」の定義に手帳の要件はなく、手帳がなくても相談はできます。ただし障害者専用求人での採用は、精神障害の場合は手帳が前提になります。持ち物や予約の要否は地域によって違うので、行く前に管轄のハローワークに電話で確認してください。

地域障害者職業センター。求人の紹介はしませんが、職業評価や職業準備支援で「どういう条件なら働き続けられるか」を整理するところです。在宅で働けるかどうかは、記事を読んで決まるものではなく、実際に作業をしてみて分かる部分が大きいところです。職業リハビリテーションの措置は障害者雇用促進法第26条で無料とされていて、都道府県ごとに設置されています。

障害者就業・生活支援センター。就業面と生活面をまとめて相談できる窓口です。在宅で働くと生活のリズムが崩れやすくなるので、そこを含めて相談できる先を持っておく意味があります。

3つは併用できますし、どこから入っても適切な機関につないでもらえます。それぞれの役割の違いは障害者雇用の求人はどこで探すのかに詳しく書いています。

整理すると

「在宅で働く」と呼ばれているものは3つあり、雇用されて在宅勤務をする形だけが労働法の保護の中にあります。在宅就業障害者支援制度は雇用ではなく、しかも制度からお金が出るのは発注した企業のほうです。障害福祉サービスの在宅利用は原則が対面で、市町村の判断と細かい要件が付いています。

いま働いている職場を在宅勤務に変えたいなら、障害者雇用促進法第36条の3の合理的配慮として申し出るという道筋があります。手続きは指針に書かれていて、支障となっている事情を伝えるところから始められます。ただし過重な負担という限界があり、別の措置で決着することもあります。それでも、実施できないと言われたときに理由の説明を求められることは指針に書いてあります。

在宅にも在宅の難しさがあります。仕事の種類は限られますし、聞きたいことを聞ける相手が近くにいない状態は、それ自体が負担になります。実際、テレワークを経験した人が今後希望する働き方として最も多く選んだのは、完全在宅ではなく出勤との組み合わせでした。

どの形が自分に合うかは、ここまで読んでも決まらないと思います。決まらなくて構いません。ハローワークの専門援助部門も地域障害者職業センターも、まず相談から始まる窓口です。「通勤が難しいのですが、どういう選択肢がありますか」という聞き方で、十分に話が始まります。

わたしたち自身が就労継続支援B型を運営しているので、障害福祉サービスに関わる部分については中立ではありません。そのうえで書くと、在宅を希望する理由が通勤のつらさなのか、人のいる場所のつらさなのか、体調の波なのかで、合う形は違ってくるように見えます。在宅という形から入るより、何を避けたいのかから入るほうが、3つのうちどれを調べればよいかが決まりやすくなります。