「障害者雇用は給料が安い」という話は、調べ始めればすぐ出てきます。数字も一緒に出てきます。それを見て、応募をやめようかと考えている方が読んでいると思って書きます。

先に立場を書いておきます。この記事は「安い」と言って終わりにもしませんし、「そんなことはありません」と否定もしません。実際の数字を出したうえで、その数字がどうしてそうなっているのかを分解します。そこまで見ないと、自分の場合にいくらになるのかが計算できないからです。

扱うのは、平均賃金の内訳、最低賃金の扱い、額面から引かれるもの、賃金以外に足せるもの、そして企業側の数え方が求人の形にどう影響しているかの5つです。障害者雇用という制度そのものの説明は障害者雇用とはに、求人の探し方は障害者雇用の求人の探し方にあります。

平均は月14万9千円です。この数字は単独では読めません

いちばんよく引用される数字から出します。厚生労働省の令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書によると、精神障害者の1か月の平均賃金は14万9千円でした(超過勤務手当を除く所定内給与額は14万6千円です)。

ただ、この数字だけを取り出すと確実に誤読します。同じ報告書には、週の所定労働時間で分けた内訳が載っているからです。

精神障害者の1か月の平均賃金(週所定労働時間別)

全体の平均(短時間の人を含む)14万9千円
通常(週30時間以上)19万3千円
週20時間以上30時間未満12万1千円
週10時間以上20時間未満7万1千円
週10時間未満1万6千円
令和5年5月の状況です。この調査でいう賃金は、あらかじめ定められた支給条件・算定方法によって支給される給与で、超過勤務手当も含みます。賞与は含みません。

そして、それぞれの区分に何割の人がいるかも公表されています。

週所定労働時間 精神障害者に占める割合 1か月の平均賃金
通常(30時間以上) 56.2% 19万3千円
20時間以上30時間未満 29.3% 12万1千円
10時間以上20時間未満 8.4% 7万1千円
10時間未満 2.7% 1万6千円

精神障害者の40.4%が週30時間未満で働いています。平均の14万9千円が低く見えるいちばん大きな理由はここです。フルタイムに近い時間で働いている人の平均は19万3千円で、全体の平均より4万4千円高くなります。

これは「本当は高いんです」という話ではありません。時間が短ければ賃金は下がるという、当たり前のことが数字に出ているだけです。裏返せば、自分がどの区分で働くのかを決めないと、平均値は自分の見通しの役に立たないということでもあります。求人を見るときに、月給の額より先に週の所定労働時間を見てください。

この調査は5年ごとです

もう一つ、読むときの前提を書いておきます。この調査は5年ごとに実施されるもので、令和5年度のものが最新です。毎年更新される統計ではありません。金額は令和5年5月の状況で、調査の対象は常用労働者5人以上を雇用する民営事業所です。無作為抽出された9,400事業所のうち、6,406事業所が回答しています(回収率67.9%)。

なお、この調査での「精神障害者」は、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人(発達障害のみによって交付を受けている人を除きます)か、産業医や主治医などから統合失調症、そううつ病またはてんかんの診断を受けている人で、症状が安定し就労可能な状態にある人です。発達障害者は別に集計されています。

障害種別の比較は、労働時間を揃えないと成り立ちません

「精神障害は他の障害より賃金が低い」という言い方をよく見かけます。同じ調査の数字を並べると、それが単純な話ではないことがわかります。

平均 通常(30時間以上) 20〜30時間未満 10〜20時間未満 10時間未満
身体障害者 23万5千円 26万8千円 16万2千円 10万7千円 6万7千円
知的障害者 13万7千円 15万7千円 11万1千円 7万9千円 4万3千円
精神障害者 14万9千円 19万3千円 12万1千円 7万1千円 1万6千円
発達障害者 13万円 15万5千円 10万7千円 6万6千円 2万1千円

週30時間以上の列だけを見ると、精神障害者の19万3千円は、知的障害者の15万7千円や発達障害者の15万5千円より高くなります。平均の欄だけを見比べていると出てこない事実です。

身体障害者との差が大きいのは事実で、これは打ち消せません。ただ、その差にも背景があります。週30時間以上で働いている人の割合が、身体障害者は75.1%、精神障害者は56.2%です。平均勤続年数も、身体障害者が12年2月に対して精神障害者は5年3月です。働いている時間の長さと、その職場にいる年数が違うものを、月額の一つの数字で比べているという構造になっています。

時給制が半分を超えています

もう一つ、生活の見通しに直結するのに見落とされやすい数字があります。賃金の支払形態です。

月給制 日給制 時給制 その他 無回答
身体障害者 65.7% 4.1% 27.3% 1.6% 1.3%
知的障害者 24.8% 1.9% 72.5% 0.6% 0.2%
精神障害者 43.4% 1.8% 53.6% 1.1% 0.1%
発達障害者 52.3% 1.1% 44.2% 2.3% 0.1%

精神障害者では時給制が53.6%で、月給制の43.4%を上回っています。これが意味するのは、体調を崩して休んだ月は収入がそのまま減るということです。月給制なら欠勤控除の扱いが就業規則で決まりますが、時給制なら働かなかった時間の分だけ減ります。

調子に波がある時期に働き始めるなら、ここは応募前に確認しておく価値があります。求人票の賃金欄が「時給」で書かれていたら、月にどれだけ休むと生活費に届かなくなるかを一度計算してみてください。

なお、平均勤続年数の5年3月という数字には注意書きがあります。採用後に精神障害者であることが企業に明らかになった場合、勤続年数は入社時点ではなく、企業が把握した年月を起点として計算されています。前回調査の3年2月から2年以上伸びていますが、入社からの年数がそのまま伸びたと読めるわけではありません。

最低賃金は原則として適用されます

ここは誤解が広まっているところなので、条文から確認します。

最低賃金法第4条第1項は「使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない」と定めています。第2項は、最低賃金額に達しない賃金を定めた労働契約はその部分が無効になり、無効になった部分は最低賃金と同じ定めをしたものとみなすとしています。同法第40条には、地域別最低賃金についての違反に50万円以下の罰金という罰則も置かれています。

障害者雇用だから適用されない、という定めはどこにもありません。雇用契約を結んで働く以上、一般枠で働く人とまったく同じ規定が働きます。

厚生労働省によれば、令和7年度の地域別最低賃金の改定額は全国加重平均で1,121円でした。額は都道府県ごとに違いますので、お住まいの地域の額は地域別最低賃金の全国一覧で確認してください。時給がこの額を下回っている求人があれば、それ自体がおかしいということになります。

減額の特例は、労働局長の許可を受けた場合の例外です

そのうえで、例外はあります。最低賃金法第7条の「最低賃金の減額の特例」です。条文はこう書かれています。

使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたときは、次に掲げる労働者については、当該最低賃金において定める最低賃金額から当該最低賃金額に労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を減額した額により第四条の規定を適用する。

その第1号が「精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者」です。ほかに、試の使用期間中の者、基礎的な技能を習得させる職業訓練を受ける者、軽易な業務に従事する者などが挙げられています。

大事なのは、この条文の主語が使用者で、条件が「都道府県労働局長の許可を受けたとき」だということです。企業が自分の判断で下げられるものではありません。最低賃金法施行規則第4条は、許可を受けようとする使用者が、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して都道府県労働局長に許可申請書を提出しなければならないと定めています。障害を理由とする場合の様式は様式第1号です。

減額できる率も、使用者が決めるものではありません。同施行規則第5条は、第7条第1号に該当する人について、同一または類似の業務に従事する労働者であって、減額しようとする最低賃金額と同程度以上の賃金が支払われている人のうち、最低位の能力を有する人の労働能率の程度に対する、その人の労働能率の程度に応じた率を100から差し引いた率を上限とし、その範囲内で職務の内容・職務の成果・労働能力・経験等を勘案して定めるとしています。読みにくい文章ですが、要は同じ仕事をしている人のうちいちばん低い水準の人と比べてどうか、という比較で決まるということです。一律の割合ではありません。

厚生労働省は最低賃金の減額の特例許可申請書様式・記入要領を公表しています。仕組みが気になる方は様式そのものを見てみてください。

この特例が実際に使われる場面としてよく知られているのは就労継続支援A型です。A型の賃金の実情は就労継続支援A型とはにまとめました。一般の企業の障害者雇用でこの許可が使われることは多くありませんが、「そういう制度がある」と「障害者雇用には最低賃金が適用されない」はまったく別のことです。後者は誤りです。

額面から引かれるもの

求人票に書いてあるのは額面です。実際に口座に入るのはそこから社会保険料と税を引いた額になります。ここは短時間で働く人ほど話が変わるので、順を追って書きます。

まず、社会保険に入るかどうかが分かれます

社会保険(健康保険・厚生年金)に入るかどうか

週の所定労働時間で分かれます
通常の労働者の4分の3以上一般の被保険者として加入します
4分の3未満で、週20時間以上勤め先の規模などの要件を満たせば加入します
週20時間未満加入しません。雇用保険も対象外です
1か月の所定労働日数も4分の3の判定に使われます。真ん中の区分には、勤め先の従業員数・所定内賃金・学生でないことなどの要件があります。

日本年金機構の短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大によれば、1週間の所定労働時間または1か月の所定労働日数が通常の労働者の4分の3以上であれば、一般の被保険者として加入します。4分の3未満の場合は、次の要件をすべて満たす人が加入対象になります。

  • 勤め先が特定適用事業所であること(厚生年金保険の被保険者数が51人以上。令和9年10月からは36人以上になります)
  • 週の所定労働時間が20時間以上であること
  • 学生でないこと
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上であること
  • 2か月を超えて雇用される見込みがあること

厚生労働省の社会保険加入の要件には、所定内賃金が月額8.8万円以上という要件は2026年(令和8年)10月に撤廃される予定と書かれています。最低賃金以上で週20時間以上働けば自動的にこの額を超えるためです。企業規模のほうも段階的に下がっていく予定で、従業員数36〜50人の企業は2027年10月から、21〜35人は2029年10月から、11〜20人は2032年10月から、10人以下は2035年10月から対象になるとされています。

なお、8.8万円の判定には、賞与、割増賃金、精皆勤手当・通勤手当・家族手当は含めません。週20時間未満で働く場合は、社会保険も雇用保険も対象外になります。

加入している場合、額面の約15%が引かれます

本人が負担する率を並べます。健康保険と厚生年金は労使で半分ずつ負担するので、下の表は本人負担分です。

引かれるもの 本人が負担する率 月15万円のときの目安
健康保険(協会けんぽ・全国平均9.9%の半分) 4.95% 約7,400円
子ども・子育て支援金(全国一律0.23%の半分) 0.115% 約170円
厚生年金保険(18.3%の半分) 9.15% 約13,700円
雇用保険(一般の事業・令和8年度) 0.5% 750円
介護保険(40歳から64歳の方のみ・1.62%の半分) 0.81% 約1,200円

40歳未満の方で合計およそ14.7%、月15万円なら約2万2千円が引かれる計算になります。手取りはおおよそ12万8千円です。40歳から64歳の方は介護保険料が加わって、およそ12万7千円になります。

いくつか補足します。健康保険料率は都道府県ごとに違い、令和8年度は9.21%から10.55%まで幅があります。全国平均の9.9%はあくまで目安です。厚生年金保険料率は18.3%で固定されていて、平成29年9月を最後に引き上げが終わっています。また、健康保険と厚生年金の保険料は給与額そのものではなく標準報酬月額という区分に当てはめて計算されるので、実際の額は上の目安と少しずれます。厚生年金の標準報酬月額は1等級の8万8千円から始まります。

雇用保険料率は毎年度見直されます。令和8年度は一般の事業で労働者負担が1,000分の5です。雇用保険は週20時間以上・31日以上の雇用見込みが加入の条件なので、週20時間未満だとこの行は消えるかわりに、失業したときの給付も受けられません。

税は、手帳を持っていると変わります

所得税と住民税には障害者控除があります。国税庁のNo.1160 障害者控除によれば、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人は障害者控除の対象で、控除額は所得税で27万円です(等級が1級と記載されている人は特別障害者で40万円になります)。住民税の控除額は地方税法第314条の2により26万円です(特別障害者は30万円)。

もう一つ、金額の大きい定めがあります。地方税法第295条第1項第2号は、障害者について、前年の合計所得金額が135万円を超える場合を除き、市町村民税を課することができないと定めています。手帳を持っていれば、この範囲に収まるかぎり住民税がかかりません。

給与収入だけで暮らしている場合、これがどのくらいの年収に当たるかを国税庁のNo.1410 給与所得控除から計算すると、令和7年分以降の控除額(190万円までは65万円、190万円超360万円までは収入金額×30%+8万円)を使って、おおよそ年収204万円までが合計所得金額135万円以下におさまります。月17万円で12か月なら204万円ですから、この記事で扱っている賃金水準の多くはこの範囲に入ります。境目のあたりは給与所得の金額が所得税法別表第五という表で刻まれているので、近い方はお住まいの市区町村で確認してください。

所得税のほうも、給与所得控除、社会保険料控除、障害者控除27万円、基礎控除(令和8年分は合計所得金額132万円以下で95万円)を差し引いていくと、月15万円・年180万円くらいの働き方では課税所得が残らない計算になります。障害年金は非課税の所得なので、この合計所得金額には入りません。

障害者控除は年末調整でも確定申告でも申告できます。どちらでやるかは選べます。

賃金だけで見ないほうがいい理由

生活が成り立つかどうかを考えるときは、賃金の額だけを見ても答えが出ません。足せるものが3つあります。ここでは入口だけ書きます。

障害年金との併給。働きながら障害年金を受け取ることはできます。賃金があることを理由に自動的に止まる仕組みはありません。厚生労働省の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」は、労働に従事していることをもって直ちに日常生活能力が向上したものとは捉えず、療養状況、仕事の種類、内容、就労状況、職場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況などを十分確認したうえで日常生活能力を判断する、としています。障害者雇用制度による就労については1級または2級の可能性を検討するとも書かれています。ただし例外が一つあり、20歳前の傷病による障害基礎年金には所得による支給制限があります。日本年金機構によれば、前年の所得額が3,761,000円を超えると2分の1、4,794,000円を超えると全額が停止されます(扶養親族がいる場合は加算があります)。ここでいうのは収入ではなく所得なので、この記事で扱っている賃金水準では通常は関わりません。金額や条件は精神疾患での障害年金障害年金がもらえる条件にまとめています。

税の障害者控除。前の節に書いたとおりです。年間の税額として効いてくるので、手帳を取るかどうかを迷っている方は障害者手帳のメリットとデメリットを見てください。

自立支援医療。通院の医療費の負担を原則1割にする制度です。毎月の通院と薬代が固定費になっている方には、賃金が数千円上がるより効きます。手続きは自立支援医療制度で通院費を1割にする手順にあります。

福祉サービスのほうと比べる場合の数字も、行き違いがないように並べておきます。令和6年度の実績で、就労継続支援A型の平均賃金月額は91,451円、就労継続支援B型の平均工賃月額は24,141円でした。詳しくは就労継続支援A型とは就労継続支援B型はどんな人が使えるかにあります。

なぜ短時間の求人が多いのか

最後に、求人の形が賃金に影響している構造を書きます。企業を責めるための話ではなく、求人票の読み方を変えるための話です。

障害者の雇用の促進等に関する法律第43条第1項は、事業主に対して、雇っている労働者の数に障害者雇用率を掛けた数以上の対象障害者を雇用する義務を課しています。厚生労働省の障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化についてによれば、民間企業の法定雇用率は令和8年7月に2.7%となり、対象は従業員37.5人以上の事業主に広がりました。

この計算の中に、短時間労働者についての定めがいくつも置かれています。

  • 同法第43条第3項は、対象障害者である短時間労働者(週の所定労働時間が通常の労働者より短く、かつ厚生労働大臣の定める時間数未満の人)を、1人をもって厚生労働省令で定める数に相当するものとみなすとしています。同法施行規則第6条により、この数は0.5人です。
  • ところが同施行規則の附則第6条に特例があり、精神障害者である短時間労働者については、当分の間、1人として算定できるとされています。厚生労働省のリーフレットでは、週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の精神障害者について、雇入れからの期間等に関係なく1カウントとして算定できる扱いとして説明されています。
  • さらに同法第70条は、週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者を「特定短時間労働者」として、同施行規則第33条により0.5人として算定できるとしています。令和6年4月からの扱いです。
  • そして第43条第8項は、割合を計算するときの分母にあたる労働者の数についても、短時間労働者は0.5人として数えるとしています。

四つ目が効いてきます。週20時間以上30時間未満の精神障害者を1人雇うと、企業の実雇用率の計算では分子が1増え、分母は0.5しか増えません。フルタイムで雇った場合は分子も分母も1です。制度としては、体調に合わせて時間を短くした働き方をきちんと算定できるようにした改正なのですが、結果として、企業から見れば短時間の雇用のほうが雇用率を達成しやすい形になっています。

読む側にとっての意味は二つです。ひとつは、週20時間台の求人は本当に存在するということです。「フルタイムで働けないなら障害者雇用も無理だろう」と考えて調べるのをやめる必要はありません。もうひとつは、その求人で提示される賃金は、当然ながら時間に比例して低くなるということです。週25時間の求人の月額が12万円台になるのは、その企業が値切っているからではなく、時間が短いからです。

だからこそ、賃金の額そのものより、時給の額と週の所定労働時間を分けて見るほうが判断しやすくなります。

自分の場合を計算するために

ここまでの話をまとめると、応募前か面接のときに確認しておくとよいのは次の6つです。金額を直接聞くのは失礼ではありません。労働条件は本来、書面で明示されるものです。

  1. 時給か月給か。時給ならいくらか
  2. 週の所定労働時間と、1か月の所定労働日数
  3. 社会保険(健康保険・厚生年金)に加入する形になるか
  4. 雇用保険に加入するか
  5. 賞与と昇給の有無。ある場合の実績
  6. 体調で休んだときに賃金がどうなるか(欠勤控除の扱い、有給休暇の付与日数)

3と4は、勤め先の規模と自分の所定労働時間で決まるものなので、求人票だけではわからないことがあります。聞けば答えが返ってきます。

賃金の水準や求人の中身について中立の立場で相談できるところもあります。ハローワークの障害のある方の窓口、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターは、いずれも無料で、名前を伝えずに一般的な質問として聞くこともできます。求人をどう探すかは障害者雇用の求人の探し方にまとめています。

この記事のまとめ

令和5年度の調査で、精神障害者の平均賃金は月14万9千円でした。低い数字です。そこは曖昧にしません。

ただ、その平均には週10時間未満で働いている人まで含まれています。週30時間以上で働いている人の平均は19万3千円で、週20時間以上30時間未満なら12万1千円です。自分がどの区分で働くのかを決めれば、平均値ではなく、自分の見通しの数字が出せます。

最低賃金は原則として適用されます。減額の特例は都道府県労働局長の許可を受けた場合の例外で、率も個別に決まります。額面からは、社会保険に入っていればおよそ15%が引かれます。一方で、手帳を持っていれば前年の合計所得金額135万円以下まで住民税がかからず、所得税にも27万円の障害者控除があります。障害年金は働いても原則として止まりません。

企業側が短時間で雇いやすい仕組みがあることも、隠さずに書きました。それは短時間の求人が実際にあるということでもあります。フルタイムか、働かないかの二択ではありません。

金額を見て気持ちが沈むのは自然なことです。ただ、続かなければ年収にはなりません。まずは週に何時間なら通えそうかというところから、逆算してみてください。

わたしたちは就労支援の現場で、この金額の表を見て言葉が少なくなる方を見てきました。沈むのは金額そのものより、いまの体調とフルタイムの求人との距離を突きつけられるからのように見えます。週に何時間なら通えるかから逆算する読み方に変わると、同じ表が計画の材料になります。生活費の足りない分を働く収入だけで埋めなくてよいことも、あわせて覚えておいてください。