「精神障害者保健福祉手帳 2級」で調べている方は、たいてい次のどれかだと思います。申請の結果が2級だった方。診断書を書いてもらう前に、自分がどのあたりに当たるのかを知っておきたい方。すでに2級を持っていて、何が使えるのかがよく分からないままの方です。

先に一つ書いておくと、2級は例外的な等級ではありません。厚生労働省の衛生行政報告例によれば、令和5年度末現在の精神障害者保健福祉手帳の交付台帳登載数は全国で1,519,474人で、そのうち2級が878,864人でした(有効期限切れを含む数です)。3級が495,625人、1級が144,985人ですから、手帳を持っている方の半数以上が2級ということになります。

この記事では、2級がどういう状態を指すのか、どうやって判定されるのか、そして2級で実際に使えるものと使えないものを、法令と厚生労働省の通知から確認していきます。

2級は「日常生活が著しい制限を受ける」状態です

等級の中身を決めているのは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)ではなく、その施行令です。同法第45条第2項が「政令で定める精神障害の状態」と書き、その政令である施行令第6条第3項が三つの等級を定めています。条文の表はこうなっています。

障害等級 精神障害の状態
1級 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの
2級 日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの
3級 日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの

法律の言葉なので、これだけでは自分が当てはまるかどうか判断できないと思います。そこで厚生労働省は「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」(平成7年9月12日 健医発第1133号)という通知で、各等級の基本的なとらえ方を示しています。2級については、まずこう説明されています。

この日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度とは、必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は困難な程度のものである。

「他人の助けを借りる必要はない」という一文があるところが大事です。誰かに付き添ってもらわないと動けない状態は1級のほうで想定されていて、2級は自分で動けるけれども生活が成り立ちにくい、という水準に置かれています。

2級と判定されるのはどんな人か

同じ通知には、2級の例として具体的な場面が並んでいます。読みやすいように箇条書きにしますが、いずれも通知に書かれている内容です。

  • 付き添われなくても自ら外出できるものの、ストレスがかかる状況が生じた場合に対処することが困難である
  • 医療機関等に行く等の習慣化された外出はできる
  • デイケア、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援事業や就労継続支援事業等を利用することができる
  • 食事をバランス良く用意する等の家事をこなすために、助言や援助を必要とする
  • 清潔保持が自発的かつ適切にはできない
  • 社会的な対人交流は乏しいが、引きこもりは顕著ではない
  • 自発的な行動に困難がある。日常生活の中での発言が適切にできないことがある
  • 行動のテンポが他の人と隔たってしまうことがある
  • ストレスが大きいと病状の再燃や悪化を来しやすい
  • 金銭管理ができない場合がある
  • 社会生活の中でその場に適さない行動をとってしまうことがある

読んでみて、全部が当てはまる方はあまりいないと思います。この一覧は「全部そろっていないと2級ではない」というチェックリストではなく、判定をする人が等級のイメージをそろえるための参考として示されているものです。

もう一つ気づいてほしいのは、ここに「働いているかどうか」が判定を左右する要素として書かれていないことです。2級の例には障害福祉サービスの利用が挙がっていますが、就労していると2級から外れる、とは書かれていません。一般就労をしている人が明示的に例示されているのは3級のほうです。

判定は二つの面から、総合的に行われます

判定基準の冒頭には、判定の手順がはっきり書かれています。手帳の等級の判定は、次の順を追って行われます。

  1. 精神疾患の存在の確認
  2. 精神疾患(機能障害)の状態の確認
  3. 能力障害(活動制限)の状態の確認
  4. 精神障害の程度の総合判定

つまり、病名が付けば等級が決まるわけではありません。病気の状態と、生活のうえでの困りごとの両方を見て、最後に総合して等級を決めるという組み立てです。実施要領のほうにも「精神疾患(機能障害)の状態とそれに伴う生活能力障害の状態の両面から総合的に判定を行うものとし」と書かれています。

能力障害として見られる8項目

「能力障害(活動制限)の状態」として見られる項目は8つあります。実施要領の別紙様式2、つまり手帳用の診断書に、そのままの形で欄が用意されています。

# 診断書の項目 選択肢
1 適切な食事摂取 自発的にできる/自発的にできるが援助が必要/援助があればできる/できない
2 身辺の清潔保持、規則正しい生活 同上
3 金銭管理と買物 適切にできる/おおむねできるが援助が必要/援助があればできる/できない
4 通院と服薬 同上
5 他人との意思伝達・対人関係 同上
6 身辺の安全保持・危機対応 同上
7 社会的手続や公共施設の利用 同上
8 趣味・娯楽への関心、文化的社会的活動への参加 同上

判定基準の側では、2級の能力障害の欄が「調和のとれた適切な食事摂取は援助なしにはできない」「金銭管理や計画的で適切な買物は援助なしにはできない」というように、8項目すべてが「援助なしにはできない」という書き方で並んでいます。3級のほうは「おおむねできるがなお援助を必要とする」、1級は「できない」です。診断書の選択肢と言葉づかいがおおむね対応していることが分かると思います。

ただし、通知には「上記1〜8のうちいくつかに該当するもの」と書かれているだけで、何項目そろえば何級、という数え方は示されていません。最後は総合判定なので、機械的に決まるものではないという前提で見てください。

診断書にはこのほか、生活能力の全体を5段階で選ぶ「日常生活能力の程度」の欄があります。このうち3番目が「精神障害を認め、日常生活に著しい制限を受けており、時に応じて援助を必要とする」、4番目が「精神障害を認め、日常生活に著しい制限を受けており、常時援助を必要とする」です。政令の2級の文言と重なる言い回しが、ここにも出てきます。

「保護的環境ではない場合を想定して判断する」と書かれています

診断書の生活能力の欄には、見落とされやすい注記が付いています。「保護的環境ではない場合を想定して判断する」という一文です。

この一文が何を指すのかは、診断書の記入方法について出された通知(平成7年9月12日 健医精発第45号)に具体的に書かれています。想定するのは、病院に入院しているような保護的な環境ではなく、アパート等で単身生活を行った場合、または入所や在宅で家族と同居であっても支援者や家族がいない状況での生活能力です。

これは実務的に効いてくる注記です。家族と同居していて食事も洗濯も家族がやってくれている、支援を受けながら事業所に通えている、という状態は、支えがあるからできていることかもしれません。診察の場では「できています」と答えてしまいやすいところですが、医師が判断するのはその支えがなかった場合です。日常のどこを誰に助けてもらっているのかを具体的に伝えておくほうが、実態に近い診断書になります。

同じ通知には、もう一つ知っておくとよいことが書かれています。生活能力の欄は診察の日の状態だけで書くものではなく、おおむね過去2年間に認められた状態と、おおむね今後2年間に予想される状態も含めて判定して記載するとされています。病状の欄についても同じ扱いです。調子の波がある方は、たまたま受診した日が比較的よい日だったとしても、それだけで書かれるわけではないということです。逆に言えば、この2年間で困った場面を医師が知らなければ材料になりません。

なお同じ通知には、(1)と(2)の項目について、調理・洗濯・掃除といった家事の能力や、子どもや配偶者の世話をするといった社会的役割の能力を評価するものではない、という注意も書かれています。

判定するのは精神保健福祉センターです

医師の診断書による申請の場合、都道府県知事(指定都市では市長)は、交付の可否と等級の判定を、その都道府県・指定都市に置かれている精神保健福祉センターに行わせることになっています。判定を行う者には原則として精神保健指定医を含めるとされています。

一方で、障害年金の年金証書の写しを添えて申請した場合や、マイナンバーによる情報連携で年金の情報を把握する場合には、精神保健福祉センターの判定を行いません。この場合、実施要領の定めにより、年金の等級が1級なら手帳も1級、2級なら2級、3級なら3級として扱われます。年金2級を受けている方が年金証書で申請すると手帳も2級になるのは、この経路によるものです。

なお、年金を受けている方が医師の診断書のほうで申請することもできると要領に明記されています。

1級・3級との分かれ目

三つの等級を、通知の記述を並べる形で比べます。

政令の文言 判定基準の説明 能力障害の欄の書き方
1級 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度 他人の援助を受けなければ、ほとんど自分の用を弁ずることができない程度 「できない」
2級 日常生活が著しい制限を受ける程度 必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は困難な程度 「援助なしにはできない」
3級 日常生活若しくは社会生活が制限を受ける程度 一人で外出できるが、過大なストレスがかかる状況が生じた場合に対処が困難 「おおむねできるがなお援助を必要とする」

1級との境目にあるのは、外出と身の回りのことです。1級は「医療機関等への外出を自発的にできず、付き添いが必要である」「家事や身辺の清潔保持も自発的には行えず、常時援助を必要とする」と書かれています。2級は自分で外出できる前提なので、ここが大きな違いです。

3級との境目は、援助がどれくらい要るかです。3級は「日常的な家事をこなすことはできるが、状況や手順が変化したりすると困難が生じてくることもある」「清潔保持は困難が少ない」「金銭管理はおおむねできる」と書かれています。2級は同じ場面について「助言や援助を必要とする」「自発的かつ適切にはできない」「できない場合がある」となります。3級の内容は精神障害者保健福祉手帳3級は「意味ない」のかにまとめてあります。

等級は固定ではありません。手帳の有効期限は交付日から2年が経過する日の属する月の末日で、2年ごとにそのときの状態を改めて認定する仕組みです。また実施要領には、有効期限の期間内であっても、状態が重くなった(または軽くなった)ことにより別の等級に該当するに至ったと考えるときは、障害等級の変更の申請を行って判定を求めることができると書かれています。

2級で使えるもの・使えないもの

ここからが、実際の生活に関わる話です。等級で差がつくものと、つかないものがはっきり分かれます。

制度 2級の扱い 根拠と注意点
所得税の障害者控除(27万円) 使えます 特別障害者(40万円)になるのは1級のみです
住民税の障害者控除(26万円) 使えます 特別障害者(30万円)になるのは1級のみです
障害者雇用枠での就職 使えます 手帳の交付を受けていることが条件で、等級の条件はありません
NHK受信料の全額免除 条件を満たせば使えます 世帯構成員全員が市町村民税非課税であることが条件です。等級の条件はありません
NHK受信料の半額免除 使えません 別表5の「重度の障害者」は、精神障害者保健福祉手帳では1級のみです
生活保護の障害者加算を手帳で判定してもらうこと 使えます 1級または2級で、かつ手帳の交付日または更新日が初診から1年6か月を経過している場合に限られます
JRの運賃割引(本人がひとりで利用) 使えます 2級は第二種です。片道の営業キロが100キロを超える普通乗車券が5割引
JRの運賃割引(介護者と一緒に利用) 原則使えません 第一種(1級)が対象です。12歳未満の第二種と介護者の定期券は例外です
自治体の医療費助成 自治体によります 1級のみの自治体が多数ですが、1級・2級としている自治体もあります
公営住宅の優先入居・優遇 自治体によります 1級・2級を条件にしている自治体があります
特別障害者手当 実質的に対象外です 等級ではなく、常時特別の介護が必要な状態かどうかで判断されます
自立支援医療(精神通院医療) 手帳とは別の制度です 等級は関係ありません。申請も受給者証も別になります

以下、順に補足します。

税の控除は2級も対象です。ただし特別障害者ではありません

国税庁のタックスアンサーでは、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人は障害者控除の対象で、そのうち障害等級が1級と記載されている人が特別障害者になるとされています。2級は一般の障害者としての控除です。

区分 所得税の控除額 住民税の控除額
障害者(手帳2級・3級) 27万円 26万円
特別障害者(手帳1級) 40万円 30万円

住民税の額は地方税法第314条の2に書かれていて、障害者1人につき26万円、特別障害者の場合は30万円、同居している特別障害者を扶養している場合は53万円です。これは所得から差し引く額であって、そのまま戻ってくる金額ではありません。会社員の方は年末調整で、確定申告をする方は申告書で申請します。

NHK受信料は、全額免除と半額免除で条件がまったく違います

ここが最も誤解されているところなので、分けて書きます。

全額免除に等級の条件はありません。 日本放送協会受信料免除基準の別表3は、精神障害者について「精神障害者保健福祉手帳を所持する精神障害者」とだけ書いていて、等級を限定していません。条件になるのは世帯のほうで、その手帳を持つ人を構成員とする世帯の構成員全員が市町村民税非課税であることです。つまり2級でも3級でも、世帯全員が非課税なら対象になります。

1級に限られているのは半額免除のほうです。 別表5の「重度の障害者」は、精神障害者保健福祉手帳では「障害等級が1級である重度の精神障害者」と書かれています。こちらは世帯主かつ受信契約者であることが条件で、収入の条件はありません。

「2級だからNHKは半額」という説明を見かけたら、それは違います。2級の方が受けられる可能性があるのは全額免除のほうで、その鍵は等級ではなく世帯の課税状況です。休職や離職で世帯の収入が下がっている時期には、確認してみる価値があります。申請には市区町村の窓口で免除事由の証明を受ける手続きがあります。

生活保護の障害者加算は、2級から手帳で判定できます

3級との差がはっきり出るのがここです。手帳制度実施要領には、生活保護法の障害者加算の認定に係る障害の程度の判定について、従来の障害年金証書の写しや医師の診断書による判定に加えて、手帳による判定もできると書かれています。ただし条件が二つあり、手帳の障害等級が1級または2級であることと、手帳の交付日または更新日がその障害の原因となった傷病について初めて医師の診療を受けてから1年6か月を経過していることです。

障害者加算そのものの金額や、生活保護を受けるかどうかの判断は別の話になります。ここでは、2級の手帳が加算の判定の材料として使えるという点だけ押さえてください。

交通機関は3級と同じ扱いです

JRグループの精神障害者割引は令和7年(2025年)4月1日から始まりました。手帳の裏面にある「旅客鉄道株式会社等旅客運賃減額」の欄の記載で対象が決まり、第一種が1級、第二種が2級と3級です。2級と3級は同じ第二種なので、JRの扱いに差はありません。

第二種の方が使えるのは、本人がひとりで利用する場合で、片道の営業キロが100キロを超える普通乗車券が5割引になるというものです。通勤や通院の距離では効きません。介護者と一緒の割引は第一種が対象で、第二種では12歳未満の方の定期乗車券だけが例外的に対象です。有効期限の切れた手帳や写真が貼付されていない手帳は割引の対象になりません。

私鉄・バス・タクシーは事業者ごとに実施の有無も等級の線引きも違います。携帯電話の割引も各社が独自に設けているもので、公的な制度ではありません。全国共通の答えがないところなので、実際に使っている事業者や契約先に直接確かめるのが確実です。

自治体のサービスは、2級が対象に入っているものがあります

厚生労働省が令和6年12月末現在でまとめた「地方公共団体における精神障害者保健福祉手帳等に基づく主なサービス一覧」を見ると、医療費助成を1級だけに限っている都道府県が多数を占めています。ただし全部ではありません。富山県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、愛知県、奈良県などは1級・2級を対象と回答しています(それぞれ所得制限や対象医療の限定など、独自の条件が付いています)。

公営住宅の優先入居や入居基準の優遇についても、茨城県、栃木県、埼玉県、三重県、和歌山県、沖縄県などが1級・2級を条件として挙げています。障害者用駐車区画の利用証(パーキングパーミット)は1級のみとしている自治体が多い一方、富山県のように1級・2級としているところもあります。

この分野は、住んでいる場所で結論が変わります。 他の地域の方の話がそのまま当てはまるとは限りません。手帳を受け取るときに一緒に渡される冊子か、市区町村の障害福祉担当窓口で、その地域の一覧を確認してください。

障害者雇用で、手帳がどう関わるか

働き方の面では、2級の手帳を持っていることで障害者雇用枠という選択肢が増えます。ここは等級ではなく手帳の有無で決まる領域です。

障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)第37条第2項は、雇用義務の対象となる「対象障害者」のうち精神障害者を、「精神障害者保健福祉手帳の交付を受けているものに限る」と定めています。条文に等級は出てきません。手帳を持っていれば、企業の実雇用率に算定されます。

もう一つ、知っておくと余計な心配をしなくて済むことがあります。同法第43条第4項は、1人を政令で定める数(2人分)として数える扱いについて「重度身体障害者又は重度知的障害者である労働者」と定めていて、精神障害者はここに入っていません。精神障害者保健福祉手帳には、そもそも雇用率の計算上の「重度」という区分がないのです。企業から見た数え方は、1級でも2級でも3級でも変わりません。2級だから採用されにくい、2級だから優遇される、という制度上の仕組みはないということです。

制度の規模の話も書いておくと、民間企業の法定雇用率は令和8年7月から2.7%になり、対象となる事業主の範囲は従業員37.5人以上まで広がりました。求人の数そのものは一定量あります。ただし賃金は率直に書いておくべきだと思います。厚生労働省の令和5年度障害者雇用実態調査によれば、令和5年5月の精神障害者の平均賃金は14万9千円でした。手帳を出せば生活が成り立つ、という関係ではありません。

障害者雇用枠を使うかどうかは選べます。手帳を持っていても一般枠で応募できますし、勤め先に手帳のことを伝える義務もありません。障害者雇用そのものの中身は障害者雇用とは何かに、求人の探し方は障害者雇用の求人はどこで探すのかにまとめています。

手帳2級と障害年金2級は、別のものです

最後に、混同されやすい点を一つだけ整理しておきます。

手帳の等級を定めているのは精神保健福祉法施行令第6条、障害基礎年金の等級を定めているのは国民年金法施行令の別表です。根拠になる政令が別で、判定する主体も、判定に必要な条件も違います。

紛らわしいのは、条文の言い回しが似ていることです。国民年金法施行令の別表(2級)の最後の号にも「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの」という表現が出てきます。文言だけを見比べると同じものに見えますが、年金のほうには初診日の要件と保険料の納付要件があり、障害の状態を見る時点も定められています。手帳のほうにはそうした要件がありません。

したがって、手帳が2級だからといって障害年金が2級になるわけではありませんし、その逆も成り立ちません。ただし一つだけ、年金から手帳へという向きの関係はあります。すでに述べたとおり、年金証書の写しで手帳を申請した場合には、年金の等級がそのまま手帳の等級になります。年金2級の方が手帳も2級になるのはこの経路です。診断書で申請して2級になった方と、年金2級から手帳2級になった方が、同じ「手帳2級」として混在しています。

それでも迷うときは

2級で確実に変わるのは、毎年の所得税・住民税の障害者控除と、障害者雇用枠が選べるようになることです。この二つに等級の条件はないので、3級との差ではありません。

2級であることが効いてくるのは、生活保護の障害者加算を手帳で判定してもらえること、そして自治体によっては医療費助成や公営住宅の優遇の対象に入ることです。逆に、期待されがちなNHK受信料の半額免除やJRの介護者割引は1級に限られていて、2級では使えません。NHKについては、全額免除のほうに等級の条件がないことを覚えておいてください。世帯の課税状況しだいで、2級でも3級でも対象になります。

通院の窓口負担を下げるのは手帳ではなく自立支援医療という別の制度です。手続きは自立支援医療制度で通院費を1割にする手順にまとめました。手帳全体のメリットとデメリット(会社に知られるのか、運転免許はどうなるのかといった点を含みます)は障害者手帳のメリットとデメリットを正直に書くにあります。

自分の地域で何が使えるかは、市区町村の障害福祉担当窓口か、都道府県・指定都市の精神保健福祉センターで確認できます。名前を伝えずに一般的な質問として聞くこともできますし、電話1本で終わることがほとんどです。判定の中身について不安があるときも、精神保健福祉センターは相談を受け付けている機関です。

わたしたちは就労支援の現場で、2級の手帳を持っている方に会います。等級の数字そのものを気にされる方は多いのですが、実際に効いてくるのは、その等級で何が使えるかという各制度の側の線引きです。同じ2級でも、住んでいる自治体によって使えるものが変わります。手元の手帳を見て考えるより、市区町村の窓口で「2級だと何が使えますか」と聞くほうが早いことが多いです。