生活保護を調べ始めた方が最初に知りたいのは、たいてい「自分はいくら受け取れるのか」だと思います。家賃が払えるのか、通院を続けられるのか、来月をどうやって越すのか。金額がわからないと、その先の判断ができません。

ただ、この質問にはっきりした一つの答えを返すことはできません。生活保護には「全国いくら」という一律の金額がないからです。支給される額は、住んでいる市町村、世帯の人数、一人ひとりの年齢、世帯の状況、そして今ある収入によって、一世帯ずつ違う金額になります。「単身なら月◯円です」と書いてある説明を見かけることがありますが、その書き方は正確ではありません。

そこでこの記事では、金額そのものではなく金額の決まり方を整理します。どういう式で計算されるのか、何が金額を動かすのか、厚生労働省はどういう条件のときにいくらという例を出しているのか。そして最後に、自分の世帯の金額を実際に知る方法を書きます。金額を出せるのは、お住まいの地域を担当する福祉事務所だけです。この記事は、そこへ行く前に見通しを立てるためのものだと思ってください。

支給される保護費の決まり方

まず式から書きます。

最低生活費 − 世帯の収入 = 支給される保護費

厚生労働省は、収入と厚生労働大臣が定める基準(最低生活費)を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されると説明しています。

根拠は生活保護法第8条です。「保護は、厚生労働大臣の定める基準により測定した要保護者の需要を基とし、そのうち、その者の金銭又は物品で満たすことのできない不足分を補う程度において行うものとする」と書かれています。足りない分を補う、という考え方です。

収入があっても対象になります

ここは誤解されやすいところなので先に書いておきます。収入がゼロでなければ受けられない、ということはありません。

厚生労働省のQ&Aには、「働いているのですが、生活保護を受給することはできますか」という質問に対して、働いていて就労収入がある方でも、その収入及び資産が最低生活費に満たない場合には生活保護を受給することができる、と書かれています。この場合、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。

収入として認定されるのは、就労による収入だけではありません。厚生労働省は、年金等社会保障の給付、親族による援助等も収入として認定し、預貯金、保険の払戻し金、不動産等の資産の売却収入等も認定すると説明しています。

最低生活費は「一つの金額」ではありません

式の左側にある最低生活費が、この記事の中心です。これは生活扶助・住宅扶助といった8種類の扶助を積み上げて計算されるもので、厚生労働省は算出方法を次の形で示しています。

最低生活費 = A(生活扶助基準)+ B(加算額)+ C(住宅扶助基準)+ D(教育扶助基準・高等学校等就学費)+ E(介護扶助基準)+ F(医療扶助基準)

必要のない扶助は積まれません。子どもがいなければDは入りませんし、通院していなければFも入りません。世帯ごとに、積み上がる項目そのものが違うというのが、金額が一律にならない一つ目の理由です。

最低生活費をつくる8つの扶助

生活保護法第11条は、保護の種類として8つの扶助を定めています。同条第2項では、これらの扶助が要保護者の必要に応じて単給または併給として行われるとされています。8つ全部が必ず出るわけではない、という意味です。

厚生労働省の説明にもとづいて整理すると、次のようになります。

扶助の種類 何のための扶助か 渡され方
生活扶助 日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱水費等) 金銭給付
住宅扶助 アパート等の家賃等 金銭給付(定められた範囲内で実費)
教育扶助 義務教育を受けるために必要な学用品費等 金銭給付(定められた基準額、一部は実費)
医療扶助 医療サービスの費用 現物給付(費用は直接医療機関へ支払、本人負担なし)
介護扶助 介護サービスの費用 現物給付(費用は直接介護事業者へ支払、本人負担なし)
出産扶助 出産費用 金銭給付(定められた範囲内で実費)
生業扶助 就労に必要な技能の修得等にかかる費用(高等学校等に就学するための費用を含む) 金銭給付(定められた範囲内で実費、高校就学費の一部は基準額)
葬祭扶助 葬祭費用 金銭給付(定められた範囲内で実費)

現金で渡るものと、現物で渡るもの

表のうち、医療扶助と介護扶助だけ渡され方が違います。生活保護法第34条第1項は「医療扶助は、現物給付によつて行うものとする」と定めていて、第34条の2も介護扶助について同じ立て方をしています。

実際にどうなるかというと、費用が直接医療機関や介護事業者へ支払われ、本人が窓口で払う自己負担がありません。通院や入院の費用が現金で手元に振り込まれて、そこから払うのではありません。医療費の分だけ生活費が減る、ということも起きない仕組みになっています。

精神科への通院を続けている方にとっては、ここが実務上いちばん大きい部分だと思います。なお、生活保護を受けていない段階で通院費の負担を軽くする制度としては自立支援医療(精神通院医療)があります。

いっぽう生活扶助は金銭給付です。生活保護法第31条第1項は生活扶助を金銭給付によって行うと定め、第2項では保護金品を「一月分以内を限度として前渡する」としています。原則として月ごとに、先に渡される形です。

級地で金額が変わります

金額が一律にならない二つ目の理由が、級地制度です。ここは検索してもあまり詳しく説明されていないところなので、しっかり書きます。

生活保護法第8条第2項は、基準について「要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない」と定めています。厚生労働省は級地制度を、地域における生活様式や物価差による生活水準の差がみられる実態を踏まえ、最低限度の生活を保障する観点から生活保護基準に地域差を設けているもの、と説明しています。

級地は6区分あります

厚生労働省の資料には「現行の級地は、『1級地-1』から『3級地-2』までの6区分」と明記されています。1級地・2級地・3級地という3つの区分が、それぞれ2つに分かれている形です。指定は市町村ごとに行われ、各市町村の1人当たり消費支出(回帰分析による理論値)等を勘案して定められています。

厚生労働省が示している市町村の例と、市町村数の内訳(令和3年4月1日現在、全1,719市町村。東京都区部は1市として計上)は次のとおりです。

級地 市町村の例 市町村数(割合)
1級地-1 東京都23区、横浜市、大阪市 58(3.4%)
1級地-2 札幌市、千葉市、福岡市 49(2.9%)
2級地-1 長岡市、三島市、佐世保市 121(7.0%)
2級地-2 秋田市、静岡市、高知市 79(4.6%)
3級地-1 弘前市、福知山市、今治市 557(32.4%)
3級地-2 結城市、丹波篠山市、宇和島市 855(49.7%)

数を見るとわかるとおり、市町村の数でいえば3級地が8割を占めています。ネット上で見かける金額の多くは1級地-1(東京都区部など)の数字なので、そのまま自分に当てはめると実際とずれることがあります。

自分の市町村の級地を調べる

厚生労働省は「お住まいの地域の級地を確認」というPDFを公開していて、全国の市町村がどの級地に指定されているかの一覧が載っています。このリストは記事末尾の出典からも開けます。なお厚生労働省は、令和3・4年度に級地区分の検証と国と地方の実務者協議における検討を行ったものの、級地区分の指定を変更すべき積極的な根拠が得られなかったことから指定の見直しは行っていない、と説明しています。

級地が生活扶助のどの部分に効くかについても、変化がありました。厚生労働省の資料によると、令和5年10月の見直しにおいて、第2類費(世帯共通経費に相当する部分)には級地間の較差を設けないこととされています。現在、級地によって差がつくのは第1類費(個人的経費に相当する部分)と、住宅扶助や各種加算の側です。

厚生労働省が示している金額の例

ここからが具体的な数字です。必ず条件とセットで読んでください。条件が違えば額も違います。

生活扶助基準額の例(令和8年4月1日現在)

厚生労働省の「生活保護制度に関するQ&A」に、次の表が載っています。

世帯の条件 東京都区部等 地方郡部等
3人世帯(33歳、29歳、4歳) 165,360円 147,370円
高齢者単身世帯(68歳) 77,980円 68,950円
高齢者夫婦世帯(68歳、65歳) 123,460円 109,720円
母子世帯(30歳、4歳、2歳) 197,220円 176,300円

※厚生労働省「生活保護制度に関するQ&A」より。令和8年4月1日現在の額。児童養育加算等を含みます。

この表を読むときに、外してはいけない前提が3つあります。

1つ目。これは生活扶助だけの額です。厚生労働省も同じページで、生活扶助のほか必要に応じて住宅扶助、医療扶助等が支給されると注記しています。家賃はこの額に含まれていません。

2つ目。年齢が書いてあるのは飾りではありません。生活扶助の第1類費は年齢別に設定されているため、68歳と40歳では額が違います。表の「高齢者単身世帯」は68歳という条件での例です。

3つ目。「東京都区部等」は1級地-1、「地方郡部等」は3級地-2にあたる例です。その間には1級地-2、2級地-1、2級地-2、3級地-1という4つの級地があります。

級地ごとにどれくらい変わるか

同じ68歳の単身世帯でも、級地でここまで変わります

1級地-1(生活扶助+住宅扶助の上限額)131,680円
3級地-2(生活扶助+住宅扶助の上限額)100,450円
厚生労働省が生活保護基準部会に示した高齢者単身世帯【68歳】の事例で、令和7年4月現在の基準によるものです。住宅扶助は上限額なので、実際に出るのは家賃の実費です。6つの級地すべての額は、この下の表に載せています。

級地でどのくらい変わるのかを見るには、厚生労働省が生活保護基準部会に出している「最低生活保障水準の具体的事例」がわかりやすいので引用します。こちらは令和7年4月時点の基準による数字である点にご注意ください。高齢者単身世帯【68歳】の例です。

級地 生活扶助 住宅扶助(上限額) 合計
1級地-1 77,980円 53,700円 131,680円
1級地-2 74,950円 41,000円 115,950円
2級地-1 73,090円 36,000円 109,090円
2級地-2 71,240円 35,000円 106,240円
3級地-1 70,770円 33,000円 103,770円
3級地-2 68,450円 32,000円 100,450円

※厚生労働省「生活保護制度の概要等について」(第52回社会保障審議会生活保護基準部会 参考資料)より。令和7年4月現在の生活保護基準により計算されたもの。住宅扶助の額は、1級地-1を東京都区部、1級地-2を千葉市、2級地-1を長崎市、2級地-2を尾道市、3級地-1を天理市、3級地-2をさぬき市とした場合の上限額の例です。生活扶助の額には冬季加算(Ⅵ区の5/12)を含みます。

同じ68歳の単身世帯でも、住む場所によって3万円あまりの幅があります。しかもこの差の多くは住宅扶助の上限額から来ています。金額を知りたいときに市町村名が必要になるのは、このためです。

生活扶助の計算に使われる基準額

自分で概算したい方のために、厚生労働省が公表している令和8年4月の基準額のうち、生活扶助の骨格になる部分を載せておきます。

第2類基準額(世帯共通経費。令和5年10月の見直しにより全級地で同額)と、世帯人員に応じた逓減率です。

世帯人員 第2類基準額 逓減率
1人 27,790円 1.0000
2人 38,060円 0.8700
3人 44,730円 0.7500
4人 48,900円 0.6600
5人 49,180円 0.5900
6人 0.5800

生活扶助基準(A)は、各世帯員の第1類基準額(年齢別・級地別に設定)を合計して世帯人員に応じた逓減率を掛け、そこに世帯人員に応じた第2類基準額を加え、さらに特例加算(1人当たり月額1,500円)と生活扶助本体における経過的加算を足して求められます。冬季には地区別の冬季加算が別途計上されます(厚生労働省が挙げている例では、札幌市の4人世帯で月額22,270円が10月から翌4月まで)。

ただし、この計算を自分で正確にやりきるのは現実的ではありません。経過的加算は年齢・世帯人員・級地の組み合わせごとに細かく分かれていますし、入院患者や施設入所者では額が変わります。厚生労働省自身、最低生活費はお住まいの地域や世帯の構成等により異なるので詳しくは福祉事務所に相談してほしい、と案内しています。概算はあくまで目安にとどめ、正確な額は窓口で出してもらうのが確実です。

令和8年10月からの見直しが示されています

金額を調べるうえで知っておいたほうがよいことがもう一つあります。厚生労働省は令和8年2月の生活保護基準部会に「令和8年度生活扶助基準の見直しについて」という資料を出していて、令和8年10月から1年間、特例加算の額を1,000円引き上げて1人当たり月額2,500円とするという見直し内容を示しています(入院患者・介護施設入所者の加算額は1人当たり月額1,000円を維持)。従前の基準額を保障する取り扱いも継続するとされています。

この記事に載せた令和8年4月時点の基準額は、令和8年9月までに適用されるものです。生活扶助基準は年度で改定されます。金額を確認するときは、いつ時点の基準かを必ず見るようにしてください。

住宅扶助の上限額

住宅扶助は、借家・借間に居住する方に対して家賃等や転居時の敷金、契約更新料などを補填するものとして支給されます。渡され方は実費で、地域に応じて上限額が設定されています。

厚生労働省が挙げている例は次のとおりです。

  • 東京23区の場合:単身世帯は53,700円以内、3人世帯は69,800円以内(令和7年4月時点)
  • 東京都内で単身の場合:1級地53,700円、2級地45,000円、3級地40,900円(令和8年4月時点)

上限額は地域ごとに、そして世帯人数ごとに決まっています。同じ都道府県のなかでも級地が違えば額が違いますし、都道府県が違えば同じ級地でも額が違います。全国共通の住宅扶助の額というものは存在しません。

したがって、家賃について知りたいときに確認できるのはお住まいの市町村の上限額だけです。福祉事務所で「この地域だと住宅扶助の上限はいくらですか」と聞けば教えてもらえます。今住んでいる部屋の家賃が上限を超えている場合の取り扱いも、そこで説明を受けられます。

このほか、居住する家屋の補修や畳・建具等の修理、豪雪地帯における雪囲いや雪下ろし等に必要な経費を補填する住宅維持費もあり、必要と認定された場合にのみ支給されます(年額13万6,000円以内)。

世帯の状況に応じた加算

最低生活費の式のBにあたる部分です。該当する人がいるときだけ、その分が加わります。

障害者加算

この記事を読んでいる方にとって関わりが大きいところなので、要件から正確に書きます。

厚生労働省の告示「生活保護法による保護の基準」では、障害者加算の対象を次のように定めています。

  • 高いほうの区分:身体障害者福祉法施行規則別表第5号の身体障害者障害程度等級表の1級もしくは2級、または国民年金法施行令別表に定める1級のいずれかに該当する障害のある方
  • 低いほうの区分:障害等級表の3級、または国民年金法施行令別表に定める2級のいずれかに該当する障害のある方(高いほうの区分に該当する方は除かれます)

どちらの区分も、症状が固定している方、または症状が固定してはいないものの、障害の原因となった傷病について初めて医師または歯科医師の診療を受けた後1年6月を経過した方に限られます。

ここで押さえておきたいのは、身体障害者手帳の等級だけが基準ではないということです。国民年金法施行令別表というのは、障害基礎年金の障害等級を定めている表です。精神疾患による障害の場合は、この表に定める1級・2級に該当するかどうかで判断されることになります。

令和8年4月時点の加算額は次のとおりです。

区分 1級地 2級地 3級地
身体障害者障害程度等級表1・2級に該当する者等 27,460円 25,540円 23,620円
身体障害者障害程度等級表3級に該当する者等 18,300円 17,020円 15,750円

厚生労働省は障害者加算の趣旨を、障害者である被保護者に対し、追加的に必要となる居住環境の改善のための費用や点字新聞などの雑費等の経費を補填するものとして支給する、と説明しています。

自分が該当するかどうかの判断は、福祉事務所が行います。障害年金の等級や手帳の等級については精神疾患での障害年金も参考にしてください。

母子加算・児童養育加算

母子加算は、ひとり親世帯がふたり親世帯と同等の生活水準を保つために必要となる費用を補填するものとして、ひとり親(母子世帯・父子世帯等)に支給されます。令和8年4月時点で、児童1人の場合は1級地18,800円、2級地17,400円、3級地16,100円。児童2人の場合は順に23,600円、21,800円、20,200円で、3人以上は児童1人につき2,900円、2,700円、2,500円が加わります。

児童養育加算は、子どもの健全育成費用(学校外活動費用)を補填するものとして、18歳になる日以後の最初の3月31日までの児童1人につき10,190円が支給されます(令和8年4月時点)。

なお、障害者加算と母子加算は原則として併給できません。厚生労働省の資料に明記されています。一定の要件を満たす場合には別途経過的加算が加わる仕組みもあり、ここも自分で計算しきるのは難しい部分です。

このほか、妊産婦加算、在宅患者加算、介護施設入所者加算、放射線障害者加算、介護保険料加算、期末一時扶助などが定められています。

教育扶助の基準額

義務教育にかかる費用として、令和8年4月時点で小学生3,400円、中学生5,300円が支給されます。高等学校等就学費の基本額は7,300円です。いずれも基準額で、このほか必要に応じて教材費、クラブ活動費、入学金(高校生の場合)などの実費が計上されます。

働いて収入があるとき(勤労控除)

「働いたら働いた分だけ引かれるから意味がない」と説明されることがありますが、そうはなっていません。勤労控除という仕組みがあるためです。

厚生労働省は勤労控除を「就労収入のうち一定額を控除する仕組み。就労収入額に比例して控除額が増加」と説明しています。控除された分は収入として認定されないため、その分は手元に残ります。

主な控除は3つです。新規就労控除と20歳未満控除の額は令和8年4月時点、基礎控除の全額控除額は令和7年4月時点の資料による額です。

控除の種類 趣旨
基礎控除 就労に伴い経常的に生じる就労関連経費を補填するとともに、就労意欲の助長を促進するため、就労収入の一部を手元に残すもの 就労収入額に応じて設定(全額控除額15,000円。令和7年4月時点)
新規就労控除 新たに継続性のある職業に従事した方に対し、新たに就労に就いたことに伴う就労関連経費を補填するもの 月額12,900円
20歳未満控除 就労している20歳未満の方に対し、就労意欲を促し世帯の自立助長を図るため、就労収入の一部を手元に残すもの 月額11,900円

基礎控除は、その月の就労に伴う収入金額に対応する区分にもとづいて認定されます。世帯員が2人以上就労している場合は、収入額の最も多い方に1人目の欄が、その他の方にそれぞれ2人目以降の欄が適用されます。

短時間から働き始めるときにこの仕組みがどう効くかは、収入の額によって変わります。実際にいくら手元に残るかは、就労を始める前に担当のケースワーカーに確認しておくと計算が立てやすくなります。

年金・傷病手当金・障害年金があるとき

生活保護法第4条は保護の補足性を定めていて、第2項では扶養義務者の扶養および他の法律による扶助が生活保護に優先するとされています。他の制度で受け取れるものは先に受け取る、という考え方です。

受け取った年金や手当は収入として認定され、最低生活費との差額が保護費として支給されます。年金や手当があるから対象外になる、ということではありません。額が最低生活費に届かなければ、その差が埋められます。

該当する可能性がある制度としては、次のようなものがあります。

厚生労働省も、保護の開始時に年金・手当等の受給の有無や可否を調査すると説明しています。使える制度があれば、そちらの手続きを案内されることになります。

自分の世帯の金額を知る方法

ここまで読んでいただいたとおり、この記事だけで自分の金額を出すことはできません。級地、世帯人数、年齢、世帯の状況、家賃、収入という条件がそろって、はじめて計算できるものだからです。

計算してもらえる場所は2つあります。

お住まいの地域を担当する福祉事務所

厚生労働省は、生活保護の相談・申請はお住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当に行くよう案内しています。福祉事務所を設置していない町村にお住まいの方は、町村役場でも手続きができます(申請は所管の福祉事務所に送付されます)。

伝えることは、住んでいる市町村と世帯の構成です。世帯に誰と誰がいて、それぞれ何歳で、家賃はいくらで、今どんな収入があるか。これを伝えれば、その世帯の最低生活費を計算してもらえます。厚生労働省も、最低生活費はお住まいの地域や世帯の構成等により異なるので詳しくは福祉事務所の生活保護担当に相談してほしい、と案内しています。

そして大事なのは、相談だけでもかまわないということです。厚生労働省は「生活保護制度の仕組みや各種社会保障施策等の活用について十分な説明を受けるためにも、生活保護担当窓口での事前の相談が大切です」と書いています。申請するかどうかを決めてから行かなければならない場所ではありません。金額を聞いてから考えても遅くはありません。

なお厚生労働省は、生活保護制度を案内するリーフレットのなかで「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずに自治体までご相談ください」と書いています。

生活困窮者自立支援制度の自立相談支援機関

福祉事務所にいきなり行くのは気が重い、という場合は、生活困窮者自立支援制度の窓口という選択肢もあります。厚生労働省は自立相談支援事業について、支援員が相談を受けて、どのような支援が必要かを相談者と一緒に考え、具体的な支援プランを作成し、寄り添いながら自立に向けた支援を行う事業だと説明しています。

仕事が見つからない、働きたくても働けない、家賃を払えない、住むところがない、社会に出るのに不安がある。こうした状態が対象として挙げられています。生活保護の申請が必要だと判断されれば、そちらにつないでもらえます。

お住まいの地域の窓口は、厚生労働省の委託事業として運営されている「生活困窮者自立支援情報共有サイト(みんなつながるネットワーク)」の窓口一覧から探せます。連絡先が見つからない場合は、都道府県や市町村に問い合わせるよう案内されています。

電話で聞くこともできます

いきなり窓口に行くのが難しければ、電話でも聞けます。「自分の市町村で、この世帯構成だと最低生活費はいくらになりますか」という質問の仕方なら、名前を伝えずに一般的な相談として聞くこともできます。

数字を確かめてから考えるために

生活保護の金額は、条件がそろわないと出せません。だからこの記事は、はっきりした一つの数字をお渡しすることができませんでした。そのかわり、何を持っていけば数字が出るのかは書いたつもりです。市町村名、世帯の構成と年齢、家賃、今ある収入。この4つがあれば、窓口で計算してもらえます。

受給の要件や申請の流れ、扶養照会がどう扱われるのかについては生活保護を受けられる条件で、受給中に求められることについては生活保護のデメリットと、受給中に求められることで、それぞれ別に扱っています。金額のあとに気になってくるのは、たいていこの2つだと思います。

参考までに、厚生労働省の集計では2025年3月時点(速報値)の被保護人員は2,000,090人、被保護世帯数は1,647,346世帯、保護率は1.62%とされています。

今日できることは、お住まいの市町村の福祉事務所の電話番号を調べておくことだけでも十分です。金額を聞くだけなら、それだけで済みます。

わたしたちは就労支援の現場で、生活保護と工賃や賃金を組み合わせて暮らしている方に会います。金額の話でつまずきやすいのは、自分の地域の基準額を知らないまま、たぶん足りないだろうと見積もってしまうところです。級地によって額は変わりますし、加算がつくかどうかでも変わります。窓口で聞けば分かる数字なので、想像で決めてしまわないほうが確実です。