傷病手当金は、病気やケガで働けないあいだの生活を支えるための健康保険の給付です。「自分はもらえないかもしれない」と不安になっている方が多いのですが、実際にもらえない理由は、いくつかの決まったパターンに当てはまります。
ここでは7つのケースに分けて整理しました。上から順に、自分に当てはまるかどうかだけ見ていってください。ひとつも当てはまらなければ、申請して問題ない状態です。
もらえないケース7つ
1. 国民健康保険に加入している
傷病手当金は健康保険の給付です。自営業やフリーランスの方などが加入する市区町村の国民健康保険には、原則としてこの給付がありません。
保険証の発行元が市区町村になっている場合は対象外と考えてください。会社を辞めたあとに国民健康保険へ切り替えた方も、切り替えたあとに発病した病気については対象になりません。
| 加入している保険 | 傷病手当金 |
|---|---|
| 会社の健康保険(全国健康保険協会・健康保険組合) | 対象になります |
| 市区町村の国民健康保険 | 原則として対象外です |
保険証(またはマイナポータルの資格情報)に「全国健康保険協会」や「〇〇健康保険組合」と書かれていれば、前者です。
2. 休んだ日に給与が支払われている
傷病手当金は、給与が受けられないあいだの生活を支えるための給付です。そのため、給与が支払われている日は支給されません。有給休暇を使った日がこれに当たります。
ただし、給与が支払われていても、その額が傷病手当金より少ない場合は、その差額が支給されます。「少しでも給与が出ていたら一切もらえない」わけではありません。
3. 連続する3日間の休みができていない
仕事を休んだ日が連続して3日間あり、4日目以降も休んだ場合に支給が始まります。この最初の3日間を待期といい、待期の3日間は支給されません。
待期の3日間には、土日や祝日などの公休日、有給休暇の日も含めて数えます。給与が支払われたかどうかも関係ありません。連続していることだけが条件です。
出勤と欠勤を繰り返している時期は、この「連続3日」が完成しないため、いつまでも支給が始まらないことがあります。ここでつまずく方が多いところです。
4. 仕事が原因の病気やケガである
業務が原因の病気やケガは労災保険の給付対象になり、傷病手当金は支給されません。通勤中の災害も同じです。
長時間労働やハラスメントが原因で体調を崩した場合、労災として認められることがあります。どちらで申請するか迷うときは、労働基準監督署に相談する方法があります。
5. 医師が「働けない状態」と認めていない
申請書には医師が記入する欄があり、そこに療養のため働けなかったと認められる期間が書かれます。診察を受けていない期間や、医師が就労可能と判断した期間は対象になりません。
通院を続けて、そのときの状態を医師に伝えておくことが、結果的に手続きの面でも大切になります。
6. 退職後の継続給付の条件を満たしていない
退職したあとも引き続き受け取るには、次の2つが必要です。
- 退職日までに、健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
- 資格を失う日の前日(退職日)に、傷病手当金を受けているか、受けられる状態であること
ここで見落とされやすいのが2つ目です。あいさつのために退職日に出勤してしまうと、その日は働ける状態だったと扱われ、退職後の継続給付を受けられなくなることがあります。退職日を決める前に確認しておいてください。
7. 支給期間を使い切っている
同じ病気やケガについて、支給期間は支給を開始した日から通算して1年6か月です。
通算なので、途中で復職して給与を受けていた期間は日数に数えません。その分だけ、受け取れる期間は後ろに延びます。
傷病手当金はいくらもらえるのか
1日あたりの額は、標準報酬月額の30分の1にあたる額の3分の2が目安です。おおよそ給与の3分の2と考えると、生活費の見通しを立てやすいと思います。
正確な額は加入している健康保険が計算します。おおよその目安を知りたいときは、窓口に問い合わせれば教えてもらえます。
それでも判断がつかないときは
加入している健康保険の窓口に電話で聞くのが確実です。全国健康保険協会であれば都道府県支部、健康保険組合であれば組合の事務局が窓口になります。
名前を伝えずに、一般的な質問として聞くこともできます。会社に知られたくない事情があるときも、保険者に相談すること自体は本人の権利です。手続きの途中でどうしても会社の記入が必要な欄はありますが、その前の段階の確認は自分だけで進められます。