障害年金の手続きは、書類の名前がどれも長くて、しかも似ています。受診状況等証明書、病歴・就労状況等申立書、年金請求書。どれが医師に頼むもので、どれが自分で書くもので、どこに出すのかが分かるだけでも、動き出しやすくなります。
先に全体像だけ言っておきます。この制度は、自分から請求しないと始まりません。国民年金法16条は「給付を受ける権利は、その受給権者の請求に基いて、厚生労働大臣が裁定する」と定めています。状態が重くなったから自動的に支給される、という仕組みではないということです。だから最初の一歩は、書類集めではなく相談です。
ここでは日本年金機構が公開している案内と様式そのものを使って、何を、どの順番で、誰に頼むのかを整理しました。もらえる条件そのもの(初診日・保険料の納付・障害の状態の3つ)や、精神疾患での等級の考え方、金額については、精神疾患での障害年金。もらえる条件と、申請の現実にまとめてあります。この記事は手続きの側だけを扱います。
申請の全体の流れ
日本年金機構の「障害年金ガイド 令和8年度版」では、手続きの流れが4つの段階で示されています。実際に用意する書類を挟むと、次のような順番になります。
| 順番 | やること | 動く人 | 期間の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 初診日を確認して、年金事務所や市区町村役場に相談する | 本人 | 予約相談は事前予約制 |
| 2 | 受診状況等証明書を、初診の医療機関に依頼する(必要な場合) | 医師 | 公表された目安なし |
| 3 | 診断書を、いま通っている医療機関に依頼する | 医師 | 公表された目安なし |
| 4 | 病歴・就労状況等申立書を書く | 本人(代筆可) | 公表された目安なし |
| 5 | 年金請求書に記入して、添付書類とあわせて提出する | 本人 | ― |
| 6 | 日本年金機構で障害の状態の認定と決定に関する事務が行われる | 日本年金機構 | 提出から3か月程度 |
| 7 | 年金証書・年金決定通知書が自宅に届く。その後に初回振込 | ― | 証書到着から約1〜2か月 |
正直に書いておくと、公的に期間の目安が示されているのは6と7だけです。診断書や受診状況等証明書を医師に書いてもらうまでにかかる時間は医療機関によって差があり、日本年金機構が目安を示しているものではありません。ここを「何日で終わる」と書いている情報は根拠がないので、そのつもりで読んでください。
2から4は並行して進められます。ただし2と3は相手のある作業なので、依頼してから受け取るまでの待ち時間が読めません。先に頼んでおいて、待っているあいだに4の申立書を書く、という進め方が現実的です。
最初にやるのは相談です。診断書を頼む前に行ってください
順番でいちばん間違えやすいのがここです。体調が悪いなかで病院に行く回数を減らしたいので、「次の診察のときに診断書もお願いしてしまおう」と考えたくなります。ところが日本年金機構は、診断書のページにはっきりこう書いています。
「障害年金の要件や使用する診断書の種類、診断書に記入する症状の日付を確認する必要があるため、診断書を作成する前に、必ず、年金事務所等にご相談ください」
理由は3つあります。診断書の様式が8種類あって、どれを使うかが人によって違うこと。診断書に書いてもらう症状の日付(現症日)が、請求のしかたによって変わること。そもそも保険料の納付要件を満たしていなければ、診断書を作っても請求できないことです。
診断書は医師に書いてもらう文書なので、日付や様式を間違えると書き直しをお願いすることになります。相手にも負担がかかりますし、費用も改めてかかります。相談を先に置くのは、そのための順番です。
相談先は次のとおりです。
- 年金事務所と街角の年金相談センター。対面の相談は予約相談が使えます。インターネット予約は土日祝日も含めて毎日8時から23時30分まで受け付けています
- 障害基礎年金にあたりそうな場合は、お住まいの市区町村役場の国民年金の窓口でも相談できます
- 一般的な問い合わせはねんきんダイヤル 0570-05-1165(050から始まる電話からは 03-6700-1165)。月曜は8時30分〜19時、火曜から金曜は8時30分〜17時15分、第2土曜は9時30分〜16時です
- 耳や発声が不自由で電話が難しい方には、ファクシミリによる年金相談も用意されています
窓口に行くときは、基礎年金番号か照会番号、またはマイナンバーが分かるものを持っていってください。あわせて、初診日にあたりそうな時期と、その当時の勤務先や加入していた制度をメモしておくと話が早く進みます。
どこに出すのか
提出先は、初診日にどの制度に入っていたかで決まります。ここは読者がいちばん迷うところなので、条件から先に書きます。
| 初診日にどこに入っていたか | 請求するもの | 提出先 |
|---|---|---|
| 厚生年金保険の被保険者だった(会社員・公務員など) | 障害厚生年金・障害手当金 | お近くの年金事務所または街角の年金相談センター |
| 初診日の時点で共済組合等に加入していた | 障害厚生年金 | 初診日の時点で加入していた共済組合等 |
| 国民年金第1号被保険者だった(自営業・無職など) | 障害基礎年金 | 住所地の市区町村役場の窓口 |
| 国民年金第3号被保険者だった(配偶者の扶養に入っていた) | 障害基礎年金 | お近くの年金事務所または街角の年金相談センター |
| 20歳前で年金制度に加入していなかった | 障害基礎年金 | 住所地の市区町村役場の窓口 |
障害基礎年金の行き先が2つに分かれるのがややこしいところです。日本年金機構の「障害基礎年金を受けられるとき」には、「提出先は住所地の市区町村役場の窓口になります。なお、初診日が国民年金第3号被保険者期間中の場合は、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターになります」と書かれています。
いっぽう「障害年金ガイド」のほうは、障害基礎年金の提出先として年金事務所・街角の年金相談センターと市区町村役場の両方を並べて挙げています。ガイドと個別ページで書き方が違うので、どちらでもいったんは受け付けてもらえる可能性が高いと読めますが、確実なのは相談の段階で「うちの場合はどちらに出しますか」と聞いておくことです。
なお、障害厚生年金については、e-Govを使った電子申請でも提出できます。PDFまたはJPEG形式で保存した年金請求書を電子添付する方式です。
必要書類の一覧と、それぞれを誰に頼むのか
書類を「誰が用意するもの」で並べ直すと、手が届く順番が見えてきます。
医師に頼むもの
| 書類 | どんな書類か | 頼む先 |
|---|---|---|
| 診断書 | 障害の状態を医師が証明する所定の様式。8種類あり、精神疾患では「精神の障害用」を使います | いま通っている医療機関 |
| 受診状況等証明書 | 初診日を証明するための様式。初診時の医療機関と診断書を作成した医療機関が異なる場合に必要です | 初診を受けた医療機関 |
診断書は請求のしかたによって必要な枚数が変わります。障害認定日による請求では、障害認定日より3か月以内の現症のものが必要です。障害認定日と年金請求日が1年以上離れている場合は、直近の診断書(年金請求日前3か月以内の現症のもの)も併せて必要になります。事後重症による請求では、請求手続き以前3か月以内の症状が分かるものが必要です。
受診状況等証明書は、いまの病院が初診の病院でもある場合は不要です。診断書のなかで初診日が確認できるからです。転院している方だけが用意する書類だと考えてください。
この用紙は初診の医療機関に書いてもらうものなので、記入する項目も医療機関側のものです。傷病名、発病年月日、傷病の原因または誘因、発病から初診までの経過、初診年月日、終診年月日、初診から終診までの治療内容および経過の概要が並びます。最後に、その記載が診療録によるものか、受診受付簿・入院記録によるものか、その他の資料によるものか、本人の申し立てによるものかを、番号に○をつけて示す欄があります。
ここに実務上の注意があります。用紙の裏面には、「4 本人の申し立てによるものです」のみに○を付けた場合は初診日の証明にならない、と明記されています。カルテが残っていない医療機関に依頼すると、この状態になることがあります。証明書を受け取ったら、どの番号に○がついているかだけは確認してください。
自分で書くもの
| 書類 | どんな書類か |
|---|---|
| 年金請求書 | 障害基礎年金は様式第107号、障害厚生年金・障害手当金は様式第104号。窓口に備え付けてあり、日本年金機構のサイトからも印刷できます |
| 病歴・就労状況等申立書 | 発病から現在までの経過と、就労・日常生活の状況を本人の側から書く書類 |
| 受診状況等証明書が添付できない申立書 | 初診の医療機関から証明が取れないときに使う様式 |
役所・金融機関などから取るもの
| 書類 | 何のために |
|---|---|
| 戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書のいずれか | 本人の生年月日を明らかにするため |
| 受取先金融機関の通帳等(本人名義) | 年金の振込先の確認のため。カナ氏名・金融機関名・支店番号・口座番号が載っている部分のコピーでも可 |
| 世帯全員の住民票の写し、配偶者や子の収入が確認できる書類 | 加給年金額や子の加算額の対象になる方がいる場合、生計維持関係の確認のため |
| 請求者本人の所得証明書 | 20歳前に初診日がある場合に、本人の収入を確認するため |
| 年金加入期間確認通知書 | 共済組合に加入していた期間がある場合 |
戸籍や住民票、所得証明書は、年金請求書にマイナンバーを記入することで添付を省略できる場合があります。単身の方で日本年金機構にマイナンバーが登録されている場合は、記入しなくても原則不要です。登録されているかどうかは「ねんきんネット」で確認できます。取り寄せに費用と外出が必要な書類なので、省略できるかどうかは相談の段階で聞いておく価値があります。
障害の原因が交通事故など第三者の行為による場合は、第三者行為事故状況届、交通事故証明または事故が確認できる書類、確認書、損害賠償金の算定書、損害保険会社等への照会に係る同意書が追加で必要になります。様式が決まっているものがあるので、窓口で申し出てください。
年金請求書には何を書くのか
年金請求書は枚数のわりに、書く内容そのものは事務的です。障害基礎年金の様式第107号は、次のブロックで構成されています。障害厚生年金の様式第104号もほぼ同じ作りで、配偶者に関する欄が加わります。
- 請求者(年金を受ける方)について。氏名、生年月日、住所、電話番号、基礎年金番号、マイナンバー
- 年金の受取口座
- 障害給付の請求事由と、障害の原因である傷病について
- 子について(障害厚生年金では配偶者および子)
- 生計維持関係に関する申立書
- これまでの年金の加入状況等(履歴欄)
- 過去の年金手帳の記号番号、旧姓名
3が実質的な中心です。ここで請求のしかたを選びます。選択肢は「1. 障害認定日による請求」「2. 事後重症による請求」「3. 初めて障害等級の1級または2級に該当したことによる請求」の3つです。1を選んだ場合は、認定日による請求で受給権が発生しなかったときに事後重症として請求するかどうかを、あわせて○で示す欄があります。ここを空欄にすると、認定日請求が通らなかったときにもう一度出し直しになります。
同じブロックには、傷病名、初診日、傷病の発生した日、初診日において加入していた年金制度(国年・厚年・共済・未加入から選ぶ)、現在傷病が治っているか、原因が業務上かどうかを書く欄があります。傷病名の欄には、請求する傷病名だけを書きます。診断書の「①障害の原因となった傷病名」欄と合わせるよう案内されています。
6の履歴欄は、これまで加入していた年金制度と勤務先を時系列で書く欄で、記入量が多いところです。ただし、年金事務所で加入期間の照会をして「被保険者記録照会回答票」を受け取っていれば、それを添付してチェックを入れることで履歴欄の記入を省略できます。相談の段階で照会をかけておくと、後の作業がまるごと1ブロック減ります。
細かいことですが、記入は黒インクのボールペンで、と指定されています。鉛筆や、こすると消えるインクのペンは使えません。
日本年金機構は、書き方のポイントを解説した記入案内動画も公開しています。文字だけの記入例が読みづらいときは、そちらのほうが早いことがあります。
病歴・就労状況等申立書は、自分が書く書類です
この書類だけは性格が違います。医師ではなく本人(または代筆者)が書きます。診断書では拾いきれない、本人の側から見た経過と生活の実態を伝えるための書類です。
書き方のコツを断言することはできません。ここでは様式そのものと記載要領から読み取れることだけを書きます。
表面は、発病から現在までの時系列です
用紙の上部に、傷病名、発病日、初診日を書きます。記載要領によれば、発病日は自覚症状が現れた日です。先天性疾患の場合は症状を自覚したときまたは検査で異常が発見された日、生来性の知的障害の場合は出生日を書きます。
その下に、1から5までの番号がついた欄が縦に並んでいます。それぞれの欄に、期間(いつからいつまで)、その期間に受診した/受診していないのどちらか、受診していたなら医療機関名、そして「左の期間の状況」を書きます。1番目の欄だけは「発病したときの状態と発病から初診までの間の状況」という見出しになっています。
区切り方のルールは、様式の注意書きに書かれています。
- 障害の原因となった病気やけがについて、発病したときから現在までの経過を年月順に、期間をあけずに記入する
- 同一の医療機関を長期間受診していた場合、医療機関を長期間受診していなかった場合、発病から初診までが長期間の場合は、その期間を3年から5年ごとに区切って記入する
- 欄が足りないときは「病歴・就労状況等申立書(続紙)」に記入する
何を書く欄なのかも、様式に指定があります。受診していた期間は、通院期間、受診回数、入院期間、治療経過、医師から指示された事項、転医・受診中止の理由、日常生活状況、就労状況など。受診していなかった期間は、その理由、自覚症状の程度、日常生活状況、就労状況などを具体的に。健康診断などで指摘されたことも記入するよう書かれています。
通院していなかった時期を空白にしないことが、この様式の設計上いちばん重要な点です。「期間をあけずに」と指定されているうえに、受診していない期間についても書く内容が具体的に列挙されています。行けなかった時期があるなら、行けなかったこととその理由を書く欄がある、ということです。
なお、請求する病気やけがが複数ある場合は、それぞれ用紙を分けて記入します。複数枚になったときは、上部の「No. ― 枚中」の欄に順番と枚数を書きます。
裏面は、障害認定日の頃と現在の状況です
裏面は上下2つのブロックに分かれていて、上が「1. 障害認定日の頃の状況」、下が「2. 現在(請求日頃)の状況」です。記載要領によれば、障害認定日による請求を希望する場合は1を、事後重症による請求を希望する場合は2を記入します。障害認定日による請求で、障害認定日と請求日が1年以上離れている場合は両方を記入します。
それぞれのブロックに、次の欄があります。
- 就労状況(就労していた場合)。職種(仕事の内容)、通勤方法と片道の通勤時間、前月と前々月の出勤日数、仕事中や仕事が終わった時の身体の調子
- 就労状況(就労していなかった場合)。仕事をしていなかった(休職していた)理由を、ア 体力に自信がなかったから/イ 医師から働くことを止められていたから/ウ 働く意欲がなかったから/エ 働きたかったが適切な職場がなかったから/オ その他、から当てはまるものすべてに○
- 日常生活状況。着替え、洗面、トイレ、入浴、食事、散歩、炊事、洗濯、掃除、買物の10項目について、1(自発的にできた)/2(自発的にできたが援助が必要だった)/3(自発的にできないが援助があればできた)/4(できなかった)の4段階で○をつける
- その他日常生活で不便に感じたことの記入欄
職種の欄について、記載要領は「仕事の内容を具体的に記入してください」として、「飲食店で接客業務」「工事現場で交通誘導員」「派遣先でデータ入力業務」を例に挙げています。就労していなかった場合は、休職中だった場合も含めて理由を書くよう指示があります。
裏面の下部には、障害者手帳の交付を受けているかどうか(受けている/受けていない/申請中)と、交付年月日・等級・障害名を書く欄があります。手帳の種類は身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳、その他から選びます。手帳の等級と障害年金の等級は別々に判定されるものですが、様式上は補足資料として記入する欄が用意されています。手帳そのものについては障害者手帳のメリットとデメリットにまとめています。
最後に、申立日、請求者の現住所・氏名・電話番号を書きます。代筆者が作成した場合は、代筆者の氏名、電話番号、請求者からみた続柄を記入する欄があります。家族や支援者に手伝ってもらう前提の書類でもあるということです。
そして記載要領には、日常生活について書く欄についてこう書かれています。「日常生活において本人がどのくらいの不自由さを感じているかを記入してください。主治医に確認する必要はありません」。うまく書こうとしなくていい欄だ、と読める一文です。
書く量は多いです。一気に仕上げようとせず、思い出せたところから埋めていって構いません。エクセル版の様式も配布されているので、パソコンで打ち込むほうが楽なら、そちらを使う手もあります(表面と裏面でシートが分かれているので、両面を入力して印刷します)。
審査にかかる期間と、決定が出たあとの流れ
書類を出したあとは待つ時間です。日本年金機構が案内している目安は次のとおりです。
| 段階 | 目安 |
|---|---|
| 年金請求書の提出から「年金証書」「年金決定通知書」が自宅に届くまで | 3か月程度 |
| 年金証書が届いてから初回の振り込みまで | 約1〜2か月 |
| その後の振り込み | 偶数月に2か月分ずつ |
「障害年金ガイド」には、請求者の詳細な障害の状態を確認する必要がある場合等には、通常より審査に時間を要することがある、という注記もついています。3か月を過ぎたからといって、それだけで不支給が決まったわけではありません。
支給が決まると、「年金証書」「年金決定通知書」「年金証書・年金決定通知書の見方 今後の手続きのご案内(リーフレット)」の3点が届きます。年金証書には次に診断書を提出する年月が書かれているので、リーフレットと一緒に保管しておいてください。受け取れない場合は、日本年金機構から不支給決定通知書が送られてきます。
年金がいつの分から受け取れるかは、請求のしかたで変わります。障害認定日による請求なら障害認定日の翌月分から、事後重症による請求なら請求日の翌月分からです。ガイドが挙げている障害認定日による請求の例では、令和7年10月25日に請求して令和8年1月頃に決定のお知らせが届き、令和8年2月の初回振込で令和7年10月分から令和8年1月分までの4か月分がまとめて振り込まれる、という流れになっています。決定を待っているあいだの分がなくなるわけではなく、あとからまとめて入るということです。
年金ではなく「障害手当金」になることがあります
決定のしかたは、支給か不支給かの二択とは限りません。初診日に厚生年金保険に入っていた方には、障害手当金という一時金の制度があります。3級に届かない、それより軽い状態が残ったときの給付で、年金のように毎月ではなく一度だけまとめて支払われます。
「障害年金ガイド」によれば、障害手当金の対象になるのは、厚生年金保険の被保険者である間に初診日があり、保険料の納付要件を満たしたうえで、障害の状態が次の3つすべてに当てはまる場合です。初診日から5年以内に治っていること(症状が固定していること)、治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと、障害等級表に定める障害の状態であること。ただし、国民年金・厚生年金・共済年金を受け取っている方や、労働基準法・労働者災害補償保険法等による障害補償を受け取っている方は対象になりません。老齢厚生年金を受け取っている方も受け取れません。
手続きのうえで知っておきたいのは、障害手当金を受け取るために別の請求書を出すわけではないという点です。障害厚生年金と同じ年金請求書(様式第104号)で請求します。つまり、厚生年金のルートで請求した結果として、1級から3級のいずれか、障害手当金、不支給、のどれかが返ってくることになります。
一方、初診日が国民年金だった方には障害手当金の制度がありません。障害基礎年金は1級と2級だけで、その下に受け皿がないという意味です。金額や等級ごとの考え方は精神疾患での障害年金。もらえる条件と、申請の現実にまとめています。
決定に納得できないとき
決定に不服があるときは、決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、文書または口頭で、地方厚生局内に設置された社会保険審査官に審査請求ができます。その決定にさらに不服があるときは、決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月以内に、厚生労働省内の社会保険審査会へ再審査請求ができます。
期限が短いので、不支給決定通知書が届いたら、封を開けた日を控えておいてください。
年金生活者支援給付金の請求は同時に
障害基礎年金を新規に請求する方は、年金の請求手続きをするときに年金生活者支援給付金の請求手続きもあわせて行うよう案内されています。別の日に出し直す必要はありませんが、忘れると請求されないままになります。窓口で「給付金の請求書も一緒に出しますか」と確認しておくと確実です。支給要件に当てはまらない場合は支給されません。
つまずきやすいところ
最後に、順番や日付でつまずきやすい箇所をまとめます。どれも、事前に知っていれば避けられるものです。
診断書には有効な期間があります
診断書は「いつの時点の症状を書いたものか」(現症日)が決まっています。事後重症による請求では、請求手続き以前3か月以内の症状が分かるものが必要です。診断書を書いてもらってから請求書の提出まで日が空きすぎると、その診断書が使えなくなります。ほかの書類がそろうめどが立ってから診断書を依頼するほうが、結果的に無駄がありません。
障害認定日による請求では、障害認定日より3か月以内の現症のものが必要です。障害認定日と請求日が1年以上離れている場合は、認定日の頃の診断書と直近の診断書の2枚が要ります。どちらの請求で進めるかによって必要な診断書が変わるので、これも相談を先に置く理由のひとつです。
初診日の証明が取れないとき
初診の医療機関がすでに廃業していたり、カルテの保存期間を過ぎていたりして、受診状況等証明書が取れないことがあります。この場合に使うのが「受診状況等証明書が添付できない申立書」です。日本年金機構が様式を公開しています。
この様式には、証明書が添付できない理由(カルテ等の診療録が残っていないため/廃業しているため/その他)と、それをどうやって確認したか(電話/訪問/その他)、確認した年月日を書く欄があります。そのうえで、受診状況が確認できる参考資料として、身体障害者手帳等の申請時の診断書、生命保険・損害保険・労災保険の給付申請時の診断書、事業所等の健康診断の記録、母子健康手帳、健康保険の給付記録(レセプトを含む)、お薬手帳・診察券・領収書、小学校・中学校等の健康診断の記録、第三者証明などから、持っているものにチェックを入れてコピーを添付します。
裏面には、それぞれの参考資料をどこに問い合わせれば手に入るかという一覧も載っています。健康保険の給付記録は当時加入していた健康保険組合や協会けんぽ、労災保険の給付申請時の診断書は労働基準監督署、といった具合です。
初診の証明が取れないケースの詳しい扱いは、精神疾患での障害年金の後半で触れています。ここで言いたいのは、証明が取れないこと自体は想定されていて、そのための様式が用意されているという一点です。あきらめる前に年金事務所で相談してください。
書類のあいだで日付が食い違わないように
同じ日付が、複数の書類に出てきます。初診日は受診状況等証明書、診断書、年金請求書、病歴・就労状況等申立書のすべてに登場します。発病日は診断書と病歴・就労状況等申立書に出てきます。傷病名も、年金請求書と診断書と申立書に書きます。
書類を作った時期がばらばらだと、記憶で書いた日付と証明書の日付がずれることがあります。受診状況等証明書と診断書を受け取ったら、そこに書かれている初診年月日と傷病名を控えておいて、年金請求書と申立書はそれを見ながら書くようにすると食い違いません。年金請求書の記入案内にも、傷病名は診断書の「①障害の原因となった傷病名」欄を確認するよう書かれています。
事後重症の請求は、遅れた分だけ受け取りが後ろにずれます
事後重症による請求では、受け取れるのは請求日の翌月分からです。「もう少し様子を見てから」と迷っているうちに月をまたぐと、その月分は戻ってきません。「障害年金ガイド」も、請求が遅くなると受け取りの開始時期が遅くなるので速やかに請求するよう案内しています。
また、事後重症による請求の請求書は、65歳の誕生日の前々日までに提出する必要があります。
さかのぼれるのは5年までです
障害認定日にさかのぼって認められた場合でも、実際に受け取れるのは直近5年分までです。国民年金法102条が、年金給付を受ける権利は支給すべき事由が生じた日から5年で時効によって消滅すると定めています。何年も前の認定日で請求する場合は、この上限があることを知ったうえで進めてください。
添付書類の原本は返してもらえることがあります
戸籍謄本や住民票などの原本は、提出した本人から申し出があれば、職員がコピーを取ったうえで返却されると案内されています。ほかの手続きにも使いたい書類があるなら、窓口でその場で申し出てください。ただし第三者証明や診断書など、原本を返却できない書類もあります。
今日できるのは、ここまでで十分です
書類の数を見ると、全部そろえてから動き出さなければいけないように感じます。でも実際の順番は逆で、そろえる前に相談するのがこの手続きの設計です。相談の場で、自分がどの請求(障害認定日による請求か、事後重症による請求か)に当たるのか、どの様式の診断書が要るのか、診断書に書いてもらう日付はいつなのか、納付要件は満たしているのかが分かります。そこが決まってはじめて、医師に依頼する内容が固まります。
年金事務所の予約相談は、インターネットから土日祝日も含めて毎日8時から23時30分まで申し込めます。窓口に出向くのがつらい日は、ねんきんダイヤルへの電話でも一般的なことは聞けます。
障害年金は本人が請求できる制度です。手続きは確かに重いのですが、一日で終わらせなければならないものではありません。今日は初診日にあたりそうな時期を思い出して、メモに書き出すところまで。それで十分です。
わたしたちは就労支援の現場で、障害年金の請求を進めている方に会います。書類の多さで止まるというより、誰に何を頼めばいいのかが分からなくて止まっていることのほうが多いように見えます。医師に頼むもの、役所が出すもの、自分で書くものが混ざっているからだと思います。全部を一日で揃えようとせず、今日は年金事務所に相談の予約を入れるところまで、という進め方で構いません。
