障害年金の請求がやっと通って、ほっとしたのもつかの間、「これ、いつまでもらえるんだろう」という不安が残ることがあります。更新で止められるのではないか、そのときは働けるようになっていないと困るのではないか、と先の心配が始まってしまう方もいます。

先に結論を書きます。障害年金は「一度決まったら一生」と決まっているわけではありません。多くの方は、決められた年に診断書を出して、引き続き等級に当たるかどうかを確認されます。そのかわり、更新で支給が止まっても、それは受け取る権利がなくなることとは違います。制度は、状態が戻ったときに再開を求める道をきちんと用意しています。

ここでは日本年金機構の案内と法令の条文だけを使って、更新の実務を順番に整理します。

全員に、同じ間隔で来るものではありません

制度の決まりはこうなっています。障害基礎年金や障害厚生年金を受けている方のうち、その障害の程度の審査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定した方は、指定された年に、指定日前3か月以内に作成された診断書を提出しなければなりません(国民年金法施行規則36条の4、厚生年金保険法施行規則51条の4)。全員に一律で来るものではなく、指定された方が、指定された年に出す、という作りです。日本年金機構の障害年金ガイドも「障害の状態に応じて提出が必要となる年に」という書き方をしています。

では精神疾患の場合はどうかというと、認定の枠組み自体が、状態は動きうるものとして作られています。障害認定基準の第8節は、統合失調症について「罹病後数年ないし十数年の経過中に症状の好転を見ることもあり、また、その反面急激に増悪し、その状態を持続することもある」と書き、気分(感情)障害については「本来、症状の著明な時期と症状の消失する時期を繰り返すもの」であるから「現症のみによって認定することは不十分」だとしています。経過を見ながら判断する前提になっている、ということです。

とはいえ、誰にいつ提出を求めるかの基準そのものは公表されていません。ご自身に提出が必要なのか、必要ならいつなのかは、次に説明する年金証書の欄を見るのが確実です。

次にいつ出すのかは、年金証書に書いてあります

障害年金が決定すると、「年金証書」「年金決定通知書」と、見方を説明したリーフレットが自宅に届きます。この年金証書の「次回診断書提出年月」の欄が、次に診断書を出す時期です。日本年金機構は、初回の更新についてはこの欄で、2回目以降は「次回の診断書の提出について(お知らせ)」等で確認するよう案内しています。

もし年金証書が見当たらない、欄の意味が分からないというときは、ねんきんダイヤルか最寄りの年金事務所に問い合わせれば教えてもらえます。日本年金機構自身が「提出期限が不明な場合は」と、その問い合わせ先を案内しています。調べても分からないまま不安を抱えておくよりも、電話一本で確認できる種類のことです。

届いてから出すまでの流れ

提出が必要な年になると、日本年金機構から「障害状態確認届(診断書)」が送られてきます。届く時期と期限は決まっています。

いつ 何が起きるか
誕生月の3か月前の月末 障害状態確認届(診断書)の用紙が日本年金機構から届く
用紙が届いてから提出期限まで 医療機関を受診し、「診断書」欄を医師に記載してもらう
誕生月の末日 提出期限。この日までに到着するように提出する

書いてもらう診断書には、提出期限前3か月以内の障害の状態が記入されている必要があります。用紙が3か月前に届くのは、この期間に受診して書いてもらうためです。日本年金機構は、診断書の作成期間を確保するために、令和元年5月から送付時期を1か月前から3か月前に変更したと説明しています。

ですから、用紙が届いたらまず受診の予約を取ってください。日本年金機構も「提出期限前3か月以内に受診ができるよう、必要に応じてあらかじめ医療機関等にご相談ください」と案内しています。混みあう時期にぶつかると予約が取りにくいので、封筒を開けた日に病院へ電話するくらいでちょうどよいです。

提出先は、同封の返信用封筒で日本年金機構へ郵送するか、年金事務所または街角の年金相談センターです。障害基礎年金だけを受けている方は、お住まいの市区町村役場の窓口でも出せます。

通院がオンライン診療になっている場合について、日本年金機構は、必要事項が記入可能であれば提出できるとしています。ただし障害状態確認届は障害の状態を正確に確認するためにできる限り詳細かつ具体的に記載されている必要があるので、オンライン診療の診療録をもとに作成してもらう場合は、記載要領を参考に必要事項が記入できるかどうかを主治医に相談してください、という案内になっています。対面での受診が必要になることもあるので、ここも早めに確認しておくところです。

出さなかったら、どうなるか

ここがいちばん怖いところだと思うので、はっきり書きます。提出が遅れると、年金の支払いが一時止まります。法律の言葉でも「支払を一時差し止めることができる」という書き方になっています(国民年金法73条、厚生年金保険法78条1項)。

ただし、止まるのは支払いであって、権利ではありません。日本年金機構は、期日までに提出できなかった場合について、速やかに提出するよう求めたうえで「年金の支払いが一時止まった場合は、障害状態の確認が終了してから、障害の程度に応じて、さかのぼって年金をお支払いします」と明記しています。出せば戻ります

体調が悪くて受診できなかった、医師の予約が取れなかった、用紙をなくした、といったことは起こります。用紙をなくしたときは年金事務所に相談すれば対応してもらえますし、書式は日本年金機構のホームページからも取得できます。間に合わないと分かった時点で、放置せずに連絡してください。

更新の結果は、3つのどれかになります

提出した診断書は審査され、結果は次のいずれかになります。日本年金機構は、変わる場合の時期まで示しています。

結果 いつから変わるか
前回と同じ等級のまま 変わりません
前回より重くなり、上位等級に該当 提出期限の翌月分から増額改定
前回より軽くなり、下位等級に該当 提出期限の4か月後の年金額から減額改定または支給停止

下がる場合にすぐ止まらず、4か月後からになっているのは、生活が急に途切れないようにするためです。とはいえ、その4か月のあいだに準備ができるかというと、実際には難しいこともあります。結果に納得できないときの道は後で書きます。

なお、厚生労働省の「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」には、再認定にあたっての留意事項が書かれています。下位等級への変更や2級(または3級)非該当への変更を検討する場合は、前回認定時の障害状態確認届や照会書類等から認定内容を確認するとともに、受給者や家族、診断書を作成した医師への照会を行うなど、認定に必要な情報収集を適宜行い、慎重に診査するよう留意する、という内容です。書類1枚を機械的に見て決める建て付けにはなっていません。

障害認定基準のほうにも同じ考え方があります。障害の程度の認定は診断書などの添付資料によって行うけれども、提出された診断書等のみでは認定が困難な場合や、傷病名と現症あるいは日常生活状況等との間に医学的知識を超えた不一致があって整合性を欠く場合には、再診断を求めたり、療養の経過や日常生活状況等の調査、検診などを実施したりして、具体的かつ客観的な情報を集めたうえで認定を行う、と定められています。追加で照会が来ることは、悪い知らせとは限りません。

もうひとつ、このガイドラインが動き出した平成28年9月の時点ですでに障害給付を受けていた方(ガイドラインでは「既認定者」と呼んでいます)については、経過的な扱いが定められています。ガイドライン施行前の認定も障害認定基準と認定医の医学的知見にもとづいて行われたものであることなどを踏まえ、既認定者の障害の状態が従前と変わらない場合は、当分の間、等級非該当への変更は行わないことを基本とする、という書き方です。ご自身がこれに当たるかどうかは、いつから受け取っているかで決まります。

支給停止は「取り消し」ではありません

障害の程度が軽くなり、等級に当たる状態でなくなったときは、年金が支給停止になります。このとき「障害給付受給権者 障害不該当届」の提出が必要です。

ここで押さえておきたいのは、支給停止の意味です。法律は「受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなつたときは、その障害の状態に該当しない間、その支給を停止する」と書いています(国民年金法36条2項、厚生年金保険法54条2項)。止めるのはあくまで「該当しない間」であって、受け取る権利そのものは残っています。

ですから、そのあとに障害の程度が重くなったときは、「老齢・障害給付 受給権者支給停止事由消滅届」に医師が作成した診断書を添えて提出することで、ふたたび受け取れるようになります。日本年金機構は、この届出について「65歳に達するまでに障害の程度が重くなり、障害年金を受けられる程度になったときは、ふたたび年金を受けられるようになります」と案内しています。

権利そのものが消えるのは、別の場面です。法律は、等級に当たる状態でないまま3年が経過し、かつ65歳に達したときに受給権が消滅すると定めています(国民年金法35条、厚生年金保険法53条)。逆に言えば、60代で支給停止になった方の場合は、65歳を過ぎても3年が経つまでは権利が残っているということです。自分がどの段階にいるのかは年金事務所で確認できます。

逆に、重くなったときの額改定請求

更新の年を待たずに、こちらから年金額の改定を求めることもできます。「障害給付 額改定請求書」に医師の診断書を添えて、年金事務所や街角の年金相談センターに提出します(障害基礎年金だけを受けている方は市区町村役場でも出せます)。根拠は国民年金法34条2項と厚生年金保険法52条2項です。

ただし、時期の制限があります。次の2つの日をどちらも過ぎていないと請求できません。

  1. 年金を受ける権利が発生した日から1年を経過した日
  2. 障害の程度の診査を受けた日から1年を経過した日

この1年の制限は、国民年金法34条3項と厚生年金保険法52条3項に書かれています。条文には「障害の程度が増進したことが明らかである場合として厚生労働省令で定める場合を除き」という例外もあり、その中身は国民年金法施行規則33条の2の2と厚生年金保険法施行規則47条の2の2で定められています。

ここは正確に書きます。日本年金機構の「障害年金の額改定請求のご案内」には、1年を経過しなくても請求できる状態が27項目並んでいますが、その中身は両眼の視力や視野、両耳の聴力レベル、四肢や手指足指の状態、心臓移植や人工心臓、人工透析、人工肛門、人工呼吸器といったものです。精神の障害は、この一覧に含まれていません。ですから精神疾患で額改定請求をする場合は、原則どおり1年の経過を待つことになります。

年齢についても違いがあります。障害基礎年金の額改定請求に年齢の上限はありませんが、障害厚生年金3級を受けている方で、過去に同じ支給事由の障害基礎年金の受給権を持っていなかった方は、65歳以上になると額改定の請求ができません(厚生年金保険法52条7項)。

更新の診断書は、最初の診断書と少し違います

障害状態確認届に付いている診断書は、請求のときに書いてもらったものと同じ様式ではありません。日本年金機構が医師向けに出している記載要領を読むと、初診日や発病年月日を書く欄などが省かれ、いまの状態と、直近の経過を書く欄が中心になっていることが分かります。

記載要領は、更新の診断書について「再認定の際に使う診断書(障害状態確認届)では、最近一年間の症状の変動状況や治療の経過等を記載してください」と書いています。1年をひとまとまりとして見る書類だ、ということです。

その1年の見方についても、記載要領は医師に対してはっきり指示しています。日常生活能力の判定と程度については、「診察時(来院時)の一時的な状態ではなく、現症日以前1年程度での障害状態の変動について、症状の好転と増悪の両方を勘案した上で」判断するように、と書かれています。さらに、入所施設やグループホーム、援助を行える家族との同居などで支援が常態化した環境下で生活が安定している場合であっても、単身でかつ支援がない状況で生活した場合を想定して記載するよう求めています。診断書の様式そのものにも「判断にあたっては、単身で生活するとしたら可能かどうかで判断してください」と印刷されています。

就労している場合の扱いも、記載要領に書かれています。就労状況の欄は、どの程度の援助を受けて就労ができているかを確認するために設けたものであり、「就労している事実だけで、障害年金の支給決定が判断されることはありません」と明記されています。あわせて、仕事場の内外を問わず就労を続けるために受けている援助や配慮の状況、現症日以前1年間に病気休暇や休職の期間があればその時期と復帰後の状況も記入するよう求めています。

診断書を書いてもらうときに、伝えておくとよいこと

ここは誤解されやすいところなので、先にはっきりさせておきます。診断書は医師が医学的に判断して書くものです。「こう書いてください」と内容を頼むものではありません

そのうえで、書けることはあります。前の章で見たとおり、制度が医師に求めているのは、診察室で見えている一瞬の様子ではなく、この1年の実際の生活です。ところが医師が知ることができるのは、基本的には診察の時間に本人が話したことだけです。調子のよい日に受診が重なれば、悪いときの様子は伝わりません。

だから大事なのは、こう書いてほしいと頼むことではなく、実際にどうだったかを正確に伝えることです。制度が見ようとしている項目に沿うと、たとえば次のようなことが該当します。

  • この1年のあいだ、調子が悪かった時期はいつごろで、そのときはどうなっていたか
  • 食事、入浴や着替え、掃除、買い物、金銭の管理、通院と服薬が、実際にどこまで自分でできているか
  • そのうち、家族や支援者に助けてもらってできていることはどれか
  • 働いている場合、勤務の頻度、遅刻や欠勤の状況、職場で受けている配慮や援助の内容
  • 病気休暇や休職があった場合は、その時期と、復帰したあとの様子

診察の場でうまく話せる自信がないときは、メモにして渡してもかまいませんし、家族や支援者に付き添ってもらって補ってもらう方法もあります。よく見せようとする必要も、悪く言う必要もありません。困っていることを困っていると伝えるだけで、書類の側は足ります。

結果に納得できないときは

減額改定や支給停止の決定に納得できないときは、審査請求という手続きがあります。社会保険審査官に対して行うもので、処分があったことを知った日の翌日から3か月以内にしなければならないと定められています(社会保険審査官及び社会保険審査会法4条1項)。文書でも口頭でもよく、年金事務所を経由して行うこともできます(同5条)。

期限が短いので、決定の通知が届いたら日付を確認してください。手続きの進め方は年金事務所で聞けます。

なお、額改定請求は不支給の結果になっても何度でも行えるものですし、支給停止になった場合の支給停止事由消滅届も、状態が重くなればそのときに出せます。道はひとつではありません。

そのほか、混同しやすいこと

20歳前の傷病による障害基礎年金を受けている方には、診断書の提出とは別に、前年の所得による支給停止のしくみがあります。障害年金ガイドによると、前年所得額が4,794,000円を超える場合は全額が、3,761,000円を超える場合は2分の1が支給停止になります(いずれも令和8年4月時点で扶養親族等がいない場合の額です)。対象となる期間は、その年の10月分から翌年9月分までです。これは障害の状態の確認とは別の話なので、切り分けて考えてください。

精神疾患での障害年金そのもののしくみ、等級の目安、令和8年度の金額については、精神疾患での障害年金。もらえる条件と、申請の現実にまとめています。通院費の負担を軽くする自立支援医療制度や、精神障害者保健福祉手帳3級の意味は、障害年金とは別の制度です。手帳の等級と年金の等級に対応関係はありません。

今日できること

更新について不安になったときに、すぐ確認できることを最後にまとめます。

  1. 年金証書を出して、「次回診断書提出年月」の欄を見る
  2. その時期が近いなら、通院先に受診の予約を入れておく
  3. この1年で調子が悪かった時期と、そのときの生活の様子をメモに書き足していく
  4. 分からないことは、ねんきんダイヤルか年金事務所に電話して聞く

全部を今日やる必要はありません。1つ目だけでも十分です。次がいつなのかが分かるだけで、先の見通しはかなり違ってきます。

わたしたちは就労支援の現場で、更新の時期になると不安そうにされる方に会います。働きはじめたことで等級が下がるのではないか、という心配をよく聞きます。診断書を書くのは主治医なので、こちらでできるのは、日常生活で実際に困っていることを普段から伝えておくことくらいです。よく見せようとする必要も、悪く見せる必要もありません。届いた封筒をそのままにしないこと、それがいちばん大事だと思います。