「休職期間はどのくらいですか」という問いに、全国共通の答えはありません。3か月と言われた人も、1年6か月と言われた人もいて、どちらも間違いではないからです。

理由ははっきりしています。休職できる期間を決めているのは法律ではなく、それぞれの会社の就業規則だからです。だから相場を調べ続けても自分の答えは出てきません。そのかわり、自分の会社の規則を一度読めば、そこに書いてあります

この記事では、期間がどう決まるのか、延ばせるのか、満了が近づいたときに何を確認すればよいのかを、厚生労働省のモデル就業規則と中央労働委員会の資料で確認できる範囲だけ整理します。

休職できる期間に、法律の上限はありません

厚生労働省が公開しているモデル就業規則(令和7年12月版)の解説に、そのまま書かれています。

休職の定義、休職期間の制限、復職等については、労基法に定めはありません。

法律が決めていないので、会社ごとに違います。これは制度の不備というより、休職がもともと法律に義務づけられた制度ではなく、会社が任意で設けているものだからです。

モデル就業規則の規程例を見ると、そのことがよく分かります。第9条は次のようになっています。

第9条 労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。

① 業務外の傷病による欠勤が[空欄]か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき(休職期間は[空欄]年以内)

② 前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき(休職期間は必要な期間)

原文は表の形で示されていて、ここでは読みやすいように文章の形に組み替えています。[空欄]と書いた部分には、原文では下線の空白が置かれています。数字が入るはずのところが、埋まっていません。国が示している見本の段階では、何か月欠勤したら休職に入るのかも、休職できるのが何年以内なのかも、書かれていないということです。ここを埋めるのは会社です。

つまり「一般的には何か月ですか」という問いは、答えの出ない問いです。かわりに「うちの会社は何年以内と書いてあるか」を見れば、それが自分にとっての答えになります。

期間の長さは、勤続年数で変わることがあります

とはいえ、まったく手がかりがないわけでもありません。中央労働委員会が公開しているメンタルヘルス不調による傷病休職後の復職の可否(個別労働紛争のあっせん事例)の解説には、実務上の傾向がこう書かれています。

「傷病休職」は、一般的には、業務外の傷病による長期欠勤が一定期間(3か月~6か月が普通)に及んだときに行われるもので、休職期間の長さは通常勤続年数や傷病の性質に応じて異なって定められる。

ここで押さえておきたいのは後半です。休職期間の長さは、勤続年数によって変えて定められるのが通常だとされています。たとえば次のような形の規定を置いている会社があります。

勤続年数 休職できる期間の例
勤続1年未満 休職の対象にしない、または3か月
勤続1年以上3年未満 6か月
勤続3年以上 1年、または1年6か月

これはあくまで形の例で、実際の区切り方も長さも会社によって違います。ここで伝えたいのは、同じ会社の同僚から聞いた期間が、自分にそのまま当てはまるとは限らないということです。先に休職した人が「1年休めるよ」と言っていても、その人と自分で勤続年数が違えば、適用される行が違います。表そのものを自分の目で見てください。

同じ引用の前半にも、知っておくと役に立つことがあります。傷病休職は、欠勤が一定期間続いたあとに始まるものとして設計されているのが一般的だ、という点です。モデル就業規則の第9条第1号も、欠勤が[空欄]か月を超えたとき、という書き方でした。

これは実務では大きな違いになります。診断書を出した日が、そのまま休職の開始日になるとは限りません。先に欠勤の期間があり、それを超えてから休職が始まる会社では、満了日も後ろにずれます。満了日を数えるときは、まず起算日がいつなのかを確認してください。

診断書に書かれた期間と、休職期間は別のものです

ここを混同すると、必要のない焦りが生まれます。

厚生労働省の職場復帰支援の手引きでは、休業を始めるときの診断書について、病気休業を必要とする旨のほかに、必要な療養期間の見込みを明記してもらうことが望ましいとされています。「見込み」という言葉のとおりで、これはその時点での見立てです。

一方、就業規則の休職期間は、在籍したまま休んでいられる枠の長さです。役割がまったく違います。

比べるもの 何を示しているか 決めるのは
診断書の療養期間 現時点で見込まれる療養の長さ。状態に応じて更新される 医師
就業規則の休職期間 在籍を保ったまま休める枠の長さ 会社(就業規則)

だから「1か月の診断書が出たので、1か月で戻らないといけない」ということにはなりません。療養が続いていれば、次の診察で改めて診断書を書いてもらい、その分だけ休みが続きます。逆に、休職期間が1年あるからといって1年休むことが決まるわけでもありません。

診断書の更新をどのくらいの間隔で出すのかは、休職に入るときに会社と決めておくと、あとの連絡が楽になります。多くの会社では、診断書に書かれた期間が切れる前に次を出す形になっています。

就業規則で見るのは、この5か所です

期間について確認したいのは、次の5つです。全部を今日読む必要はありません。上から2つだけでも、見通しはかなり変わります。

確認すること 何が分かるか
休職できる期間の長さ 自分の勤続年数の行を見る。ここが本題
休職の起算日 欠勤何か月を超えてから休職に入るのか。満了日の計算に効く
延長の定めがあるか あれば、誰にいつまでに何を出すのかも書かれている
満了しても復職できないときの扱い 退職とするのか解雇とするのか。会社ごとに違う
同じ理由で再び休むときの通算 定めがある会社とない会社があります

4つ目は読むのがつらい項目かもしれません。ただ、この項目については確実なことが一つあります。退職に関する事項は、就業規則に必ず書かなければならない事項です労働基準法第89条第3号がそう定めていて、モデル就業規則の解説でも、任意退職、解雇、契約期間の満了による退職など、労働者が身分を失うすべての場合が含まれると説明されています。

つまり、探せば必ず見つかります。書いていないから分からない、という状態にはなりません。

就業規則そのものについても、会社には周知の義務があります。モデル就業規則の解説では、労働者一人ひとりへの配付、いつでも見られる場所への掲示や備付け、電子媒体に記録して常時モニター画面などで確認できるようにするといった方法で周知しなければならない(労働基準法第106条第1項)とされています。社内システムで見つからなければ、人事や総務に「休職に関する規定を確認したい」と伝えて大丈夫です。理由を説明する必要はありません。

もう一つ、期間そのものとは別に知っておくと後で驚かずに済むことがあります。休職していた期間が、勤続年数に数えられないことがあります。モデル就業規則の退職金の規程例には、休職する期間については会社の都合による場合を除き勤続年数に算入しない、という条文が置かれています。中央労働委員会の解説でも、休職期間中の賃金や勤続年数の算定の扱いは企業ごと、制度ごとにさまざまだと説明されています。

これは休職の可否や長さを左右する話ではありませんが、退職金や、勤続年数で決まる休職期間そのものの区分に影響することがあります。就業規則の休職の条文を開くときに、退職金の条文もあわせて見ておくと確認が一度で済みます。

なお5つ目の通算は、一度復職してから一定期間内に同じ理由で再び休むと前回の休職期間を合算する、というクーリング期間の定めのことです。これは復職したあと、また休みがちになったときで厚生労働省の手引きの記載に沿って扱っているので、そちらを見てください。

期間を延ばしてもらえるか

法律に定めがないということは、延長についても全国共通のルールがないということです。就業規則に延長の条文を置いている会社もあれば、置いていない会社もあります。

まず見るのは条文の有無です。延長の定めがあれば、そこに手続きも書かれています。多くは、満了の何日前までに、診断書を添えて、誰に申し出るという形です。この期限を過ぎると同じ内容でも扱いが変わってしまうので、日付だけは早めに押さえておいてください。

定めがない場合でも、相談してはいけないわけではありません。ただ、認められる保証はありません。会社の裁量になるので、「前例がないので難しい」と言われることもあります。そこで無理に押し返す必要はなく、その回答自体が、次の見通しを立てるための情報になります。

頼むときに用意しておくと話が早いのは、次の3つです。

  • 主治医の診断書。あとどのくらいの療養が見込まれるのか、その先に就業が可能になる見通しがあるのかを書いてもらえると、会社が判断しやすくなります
  • 現在の満了日と、何か月の延長を希望するのか。期間を区切って伝えるほうが通りやすくなります
  • 復職に向けて今どこまで進んでいるか。通院の状況や生活リズムの回復など、事実だけで足ります

言い方に迷ったら、事実と希望を分けて並べるだけで十分です。「主治医からあと2か月ほど療養が必要だと言われています。就業規則では○月○日が満了と伺っていますので、2か月の延長をお願いできないか相談させてください」というくらいの短さで構いません。事情を詳しく説明する義務はありませんし、体調のつらさを訴えて説得する必要もありません。判断に使われるのは、診断書に書かれた見通しと規定の内容です。

会社から回答が来たら、口頭で終わらせずにメールなどの文字に残しておいてください。延長できるかどうかにかかわらず、あとで日付を確かめ直すときに役立ちます。

もう一つ、混同されやすい点を書いておきます。休職期間の長さと、傷病手当金を受け取れる期間は別の時計です。傷病手当金の期間は健康保険法第99条第4項で、同一の疾病または負傷について支給を始めた日から通算して1年6か月と定められています。休職期間が1年の会社もあれば1年6か月の会社もありますが、それとこの1年6か月は連動していません。どちらが先に来るかは人によって違うので、両方の日付を並べて確認してください。数え方は傷病手当金の期間にまとめてあります。

期間が満了したら、どうなるのか

ここが一番不安な部分だと思うので、順番に整理します。

まずモデル就業規則の規程例では、第9条第3項に「休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする」とあり、退職の条文である第52条にも「第9条に定める休職期間が満了し、なお休職事由が消滅しないとき」が退職事由として並んでいます。実際にこれに近い定めを置いている会社は多くあります。

ただし、法律上、期間が満了したら当然に退職になると決まっているわけではありません。そうなるのは、就業規則にそう書いてあるからです。書き方は会社によって違い、退職とする会社もあれば、解雇の手続きを取る会社もあります。

そのうえで、知っておいてほしい枠組みがあります。中央労働委員会の解説は、休職制度そのものの趣旨をこう説明しています。裁判例では、使用者が解雇を猶予して傷病の回復を待つことによって労働者を失職から保護することにその趣旨があると解されてきた、という説明です。休職期間は、追い出すための時計ではなく、待つための期間として位置づけられてきたということです。

さらに、満了時の扱いについて、同じ解説にこう書かれています。

傷病休職期間の満了時において、従前の業務に復帰できる状態ではないが、より軽易な業務に就くことができ、そのような業務での復職を希望する者に対しては、使用者は現実に配置可能な業務の有無を検討する義務がある

そして、この検討をせずに軽減した業務を示さないまま退職扱いや解雇を行った場合には、就業規則上の要件に当たらない、あるいは解雇権の濫用として無効とされた裁判例があると説明されています。解雇権の濫用というのは、労働契約法第16条の「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という条文のことです。

一方で、同じ解説には、休職前からすでに業務を軽減されていた人について解雇を認めた例も挙げられています。結論が一律に決まるわけではありません。だからこの記事でも、あなたの場合に退職になるかどうかは書けません。就業規則の書き方と個別の事情によります。

それでも一つだけ、行動として意味を持つことがあります。上に引用した枠組みは、「より軽易な業務での復職を希望している」ことが出発点になっています。もとの仕事は無理そうだと自分で結論を出して黙っていると、検討義務の話にそもそも入っていきません。できる範囲の業務でなら戻りたいと考えているなら、それは伝えておく意味のある希望です。

満了が近づいたときに確認すること

満了日が視野に入ってくると、日にちだけが頭を占めるようになります。そこで、確認できる事実を4つに分けておきます。今日は読むだけで大丈夫です。

満了が近づいたときに確認する4つ

  1. 1満了日そのもの起算日がいつで、就業規則上は何年何月何日が満了日になるのか。会社に聞いて構わない
  2. 2復職の判断が動き出す時期満了日の当日に手続きは始められない。満了日から逆算していつ動き出す必要があるかを確認する
  3. 3傷病手当金の残り支給開始日から通算1年6か月のうち、あと何か月分残っているか。加入している健康保険に聞けば分かる
  4. 4満了時の扱いと延長の可否就業規則の条文を読む。延長の定めがあれば申し出の期限も書かれている
休職期間の満了と傷病手当金の満了はずれることが多いので、両方の日付を書き出しておくと全体像が見えます。

1つ目は、満了日そのものです。 起算日がいつで、就業規則上は何年何月何日が満了日になるのか。会社に「休職期間の満了日を教えてください」と聞いて構いません。日付が分かるだけで、考える対象が「いつか終わる」から「この日まで」に変わります。

2つ目は、復職の判断がいつ動き出すのかです。 職場復帰支援の手引きでは、職場復帰の準備にはある程度の時間を要することが多いため、職場復帰前の面談などは、実際の職場復帰までに十分な準備期間を設定したうえで計画・実施することが望ましいとされています。手引きが示す手順では、主治医の復職可能の診断書を出し、会社が情報を集めて可否を判断し、復帰後の働き方を決めて、最終的に会社が決定する、という段取りを踏みます。制度として試し出勤を置いている会社では、その期間も必要になります。

つまり、満了日の当日に手続きを始めることはできません。満了日から逆算して、いつ動き出す必要があるのかを会社に確認しておいてください。手順の中身は復職はどう進むのかにまとめてあります。

3つ目は、傷病手当金の残りです。 支給開始日から通算して1年6か月のうち、あと何か月分残っているのかを確認します。加入している健康保険(協会けんぽなら都道府県支部、健康保険組合なら組合の事務局)に聞けば教えてもらえます。休職期間の満了と傷病手当金の満了はずれることが多いので、両方の日付を書き出しておくと全体像が見えます。

4つ目は、満了時の扱いと延長の可否です。 就業規則の該当条文を読み、延長の定めがあるなら申し出の期限を確認します。定めがない場合でも、相談できるかどうかを聞いておくと、選べる範囲がはっきりします。

話し合いがうまく進まないときは、都道府県労働局の総合労働相談コーナー、労働組合、社会保険労務士といった相談先があります。この記事で引用した中央労働委員会の資料も、労使のあっせんという仕組みの記録です。外の力を借りることは、想定された手段のひとつです。

期間を数えることと、回復することは別です

最後に、手引きの中の一文を紹介させてください。管理監督者に向けて書かれた部分です。

特に管理監督者は、労働者の焦りや不安に対して耳を傾け、健康の回復を優先するよう努め、何らかの問題が生じた場合には早めに相談するよう労働者に伝え、事業場内産業保健スタッフ等と相談しながら適切な支援を行っていく必要がある。

期間の話を調べていると、どうしても「間に合うかどうか」が中心になります。ただ、国が事業者向けに示した手引きでも、焦りに耳を傾け、健康の回復を優先することが求められています。日付を把握しておくのは選択肢を残すためであって、日付に合わせて回復を早めるためではありません。

整理します

  • 休職できる期間の長さに、法律の上限はありません。モデル就業規則でも期間の欄は空欄で、会社が記入する形になっています
  • 期間の長さは、勤続年数によって変えて定められるのが通常だとされています。同僚から聞いた期間が自分に当てはまるとは限りません
  • 休職の起算日は、欠勤が一定期間続いたあとに置かれていることがあります。満了日はそこから数えます
  • 診断書の療養期間と、就業規則の休職期間は別のものです。診断書は更新されていきます
  • 延長できるかどうかも就業規則によります。定めがあれば申し出の期限も書かれています
  • 満了時に退職となる規定を置く会社は多いのですが、法律上、当然にそうなるわけではありません。軽い業務での復職を希望している場合には、会社に配置可能な業務を検討する義務があるとした裁判例があります
  • 満了が近いときに確認するのは、満了日、復職の判断が動き出す時期、傷病手当金の残り、満了時の扱いと延長の可否の4つです

今日できることは、就業規則を開いて自分の勤続年数の行を見ることだけです。期間の長さは自分では変えられませんが、それがいつまでなのかを知っているかどうかで、あとから取れる手の数が変わります。

わたしたちは就労支援の現場で、休職期間の満了が近づいてから相談に来られる方に会います。日付が迫ってからでは選べる道が減ってしまうので、期間の長さと満了日だけは早い時期に確かめておくことをおすすめします。ただし、日付を知ることと、その日までに治すことは別の話です。期限に合わせて回復を早めることはできませんから、日付は焦るためではなく、段取りを決めるために使ってください。