自立支援医療(精神通院医療)を使えば精神科の通院費が1割になる、というところまでは知っていても、次に出てくるのが「では自分は対象なのか」という問いだと思います。この病名でも使えるのか、まだ診断がはっきりしていなくても申請していいのか、飲んでいる薬は全部安くなるのか。調べても、対象疾患の一覧が並んでいるだけで、自分が当てはまるかどうかまでは書かれていないことが多いです。

この記事は、その一点に絞りました。対象になるのはどんな状態の人かどの医療が対象になってどれがならないかどこで受けたときに使えるのかを、法律・政令・省令と厚生労働省の通知にさかのぼって整理します。

先に結論を書いておきます。この制度は病名で機械的に決まる仕組みではありません。決め手になるのは、通院による精神医療を継続的に必要とする状態にあるかどうかです。制度全体の入口や、所得区分ごとの上限額の一覧を先に知りたい方は、自立支援医療制度の全体像のほうから読んでください。

対象になるのは「病名」ではなく「状態」です

法律の条文をたどるとこうなっています

自立支援医療は障害者総合支援法にもとづく公費負担医療です。条文をたどると、対象になる人の範囲は次のように決まっています。

まず障害者総合支援法5条25項が、自立支援医療を「障害者等につき、その心身の障害の状態の軽減を図り、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療であって政令で定めるもの」と定義しています。その政令が同法施行令1条の2で、3号に精神通院医療が置かれています。そこには、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律5条1項に規定する精神障害者のうち内閣府令・厚生労働省令で定める精神障害のある者に対して、病院または診療所へ入院することなく行われる精神障害の医療である、と書かれています。

そしてその「省令で定める精神障害」の中身が、同法施行規則6条の19です。ここが対象者の範囲を決めている条文です。

令第一条の二第三号に規定する内閣府令・厚生労働省令で定める精神障害は、通院による治療を継続的に必要とする程度の状態の精神障害(てんかんを含む。)とする。

条文が挙げているのは状態であって、病名の一覧ではありません。「通院による治療を継続的に必要とする程度の状態」であることが要件です。ここを押さえておくと、あとの話がわかりやすくなります。

なお、その手前にある精神保健福祉法5条1項の「精神障害者」も、「統合失調症、精神作用物質による急性中毒又はその依存症、知的障害その他の精神疾患を有する者」という広い書き方になっています。特定の病名に閉じた定義ではありません。

対象になる精神疾患の範囲

とはいえ、どのあたりまでが含まれるのかの目安はあります。厚生労働省は「自立支援医療(精神通院医療)の概要」で、対象となる精神疾患を国際疾病分類ICD-10の分類にそって11に分けて示しています。

分類 ICD-10
症状性を含む器質性精神障害 F0
精神作用物質使用による精神及び行動の障害 F1
統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害 F2
気分障害 F3
てんかん G40
神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害 F4
生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群 F5
成人の人格及び行動の障害 F6
精神遅滞 F7
心理的発達の障害 F8
小児期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害 F9

F0からF9まで、つまりICD-10の精神と行動の障害の章がまるごと入っていて、それにてんかん(G40)が加わっています。うつ病や適応障害、パニック障害、発達障害、知的障害、依存症、認知症は、いずれもこの表のどこかに入ります。実施要綱でも、都道府県が支給の状況を記録するときはF0からF9およびG40の別を付記することとされていて、行政の側もこの枠で管理しています。

厚生労働省が一般向けに出しているリーフレットでは、この分類を読み下して、統合失調症、うつ病や躁うつ病などの気分障害、薬物などの精神作用物質による急性中毒またはその依存症、PTSDなどのストレス関連障害やパニック障害などの不安障害、知的障害や心理的発達の障害、アルツハイマー病型認知症や血管性認知症、てんかんなどが挙げられています。

病名がこの表に入っていても、それだけでは決まりません

ここが誤解されやすいところです。表に載っている分類であっても自動的に対象になるわけではありませんし、逆に「あまり見ない診断名だから無理だろう」とあきらめる必要もありません。

精神通院医療の支給認定では、原則として精神保健福祉センターが通院医療の要否を判定します。その判定に使われるのが、厚生労働省の通知に添えられた「自立支援医療費(精神通院医療)の支給認定判定指針」です。この指針が並べているのは病名ではなく、次の9つの状態像です。

  1. 躁および抑うつ状態
  2. 幻覚妄想状態
  3. 精神運動興奮及び昏迷の状態
  4. 統合失調等残遺状態
  5. 情動および行動の障害
  6. 不安および不穏状態
  7. けいれん及び意識障害(てんかん等)
  8. 精神作用物質の乱用、依存等
  9. 知能障害等

指針はそれぞれの状態像について、入院を要さない状態であって、継続的な通院による精神療法や薬物療法を必要とする場合には精神通院医療の対象になる、という形で書かれています。つまり判定の軸は入院ではなく通院で、単発ではなく継続して治療が必要かという一点です。

もうひとつ、覚えておくと安心できる規定があります。実施要綱には、症状がほとんど消失している患者であっても、障害の程度が軽減している状態を維持し、または再発を予防するために入院によらない治療を続ける必要がある場合には対象となると書かれています。厚生労働省のページにも同じ説明があります。調子が良くなってきたから対象外になるのではないか、という心配はしなくて大丈夫です。

判断の材料になるのは、通院先の医師が診断書に書く内容です。自分で当てはめて悩む必要はありませんし、悩んでも答えは出ません。次の診察のときに「自立支援医療を使いたいのですが、診断書を書いていただけますか」と伝えるのが、いちばん早い確かめ方です。

所得のほうにも要件があります

対象になるための条件は、状態の話だけではありません。障害者総合支援法54条1項は、支給認定を行うのは、申請した人が心身の障害の状態からみて自立支援医療を受ける必要がありかつ所得の状況などを勘案して政令で定める基準に該当する場合だとしています。

その政令の基準が施行令29条1項で、「世帯」で合算した市町村民税の所得割額が23万5千円未満であることとされています。ここを超えると原則として対象外です。ただし施行令の附則12条に経過的な特例があって、令和9年3月31日までの間は、23万5千円以上であっても「重度かつ継続」に当たる場合は対象になります。この「世帯」の数え方は独特なので、あとの章で改めて説明します。

対象になる医療と、対象にならない医療

対象になるのは入院しないで受ける精神医療です

実施要綱は精神通院医療の範囲を、精神障害および当該精神障害に起因して生じた病態に対して、病院または診療所に入院しないで行われる医療としています。厚生労働省のリーフレットでは、具体的に外来、外来での投薬、デイ・ケア、訪問看護などが含まれると説明されています。

「当該精神障害に起因して生じた病態」という言い回しは、実施要綱で、その精神障害の治療に関連して生じた病態や、その精神障害の症状に起因して生じた病態のことだと定義されています。そのうえで、指定自立支援医療機関で精神通院医療を担当する医師によって、通院による精神医療を行うことができる範囲の病態である、という条件が付いています。

対象にならないもの

厚生労働省が明示的に対象外としているのは、次のとおりです。

対象にならないもの 補足
入院医療の費用 通院のための制度です。入院中の費用には使えません
公的医療保険が対象にならない治療や投薬の費用 例として、病院や診療所以外でのカウンセリングが挙げられています
精神障害と関係のない疾患の医療費 風邪、歯科、けがの治療などは別に扱われます

自立支援医療は公的医療保険に上乗せする仕組みなので、そもそも保険が使えない費用は対象になりません。診断書の作成料が自己負担になるのも同じ理由です。

実施要綱には、上の3つに加えて、あまり知られていない範囲外がふたつ書かれています。ひとつは、複数の診療科を持つ医療機関では、精神通院医療を担当する診療科以外で行われた医療は範囲外になることです。総合病院の精神科に通っている場合、同じ病院でも内科や整形外科での診療は対象になりません。もうひとつは、結核性疾患は感染症法にもとづいて医療が行われるため範囲外とされていることです。

受給者証に書かれた医療機関でしか使えません

仕組みそのものが「場所を指定する」形になっています

これは制度の設計上いちばん見落とされやすいところなので、条文の順番で説明します。

市町村等は支給認定をしたとき、都道府県知事が指定した医療機関(指定自立支援医療機関)の中から、その人が自立支援医療を受けるものを定めることになっています(法54条2項)。そして定めた医療機関の名称を受給者証に記載して交付します(法54条3項、施行規則41条5号)。自立支援医療費が支給されるのは、そのとき定められた指定自立支援医療機関から医療を受けたときです(法58条1項)。受診のときは受給者証を提示します(同条2項)。

指定を受けられるのは、病院・診療所と薬局、それに訪問看護ステーションです。厚生労働省のリーフレットにも、軽減が受けられるのは各都道府県または指定都市が指定した指定自立支援医療機関のうち受給者証に記載されたものに限られると書かれています。

ここから実際に起きることは2つです。通っている病院が指定を受けていても、処方せんを持っていく薬局を受給者証に書いていなければ、薬代のほうは1割になりません。そして、指定を受けていない医療機関にかかった分は、受給者証を持っていても対象外です。

なお、精神通院医療については、実施要綱に「医療に重複がなく、やむを得ない事情がある場合、同一の受診者に対し複数指定することを妨げない」と書かれています。育成医療や更生医療のほうには「原則1か所」という言い方がありますが、精神通院医療の実施要綱にその文言はありません。実際に何か所まで登録できるかは自治体の運用によって幅がありますので、複数の医療機関や薬局を使いたい事情があるなら、申請のときに窓口で確認してください。

通院先を変えたいときの手続き

転院するとき、引っ越して通院先が変わるとき、薬局を変えるときは、受給者証に書かれた指定自立支援医療機関を変える手続きが必要になります。これは「支給認定の変更の申請」として法律に定められていて(法56条1項)、変更の申請ができる事項の第1号が指定自立支援医療機関です(施行規則44条1号)。申請書に受給者証を添えて提出します(施行規則45条)。精神通院医療の場合は、新規の申請と同じように市区町村を経由して行います。

大事なのは順番です。新しい医療機関にかかる前に手続きを始めてください。先に受診してしまうと、変更が反映されるまでのあいだは自己負担が原則どおりに戻ります。転院を考え始めた段階で窓口に相談しておけば、この空白はつくらずに済みます。

今かかっている医療機関や薬局が指定を受けているかどうかは、その医療機関に直接たずねるのが確実です。都道府県や指定都市が指定医療機関の一覧を公表していることもありますし、精神保健福祉センターでも確認できます。

自己負担が1割になり、そのうえに月ごとの上限がつきます

対象になると、どれくらい負担が変わるのかも書いておきます。ただし所得区分ごとの上限額の一覧は自立支援医療制度の全体像にまとめてありますので、ここでは仕組みだけ説明します。

法律のつくりは少し変わっています。法58条3項1号は、医療費の総額から「政令で定める額」を差し引いた分を自立支援医療費として支給する、としたうえで、その政令で定める額が総額の10分の1を超えるときは、10分の1に相当する額を差し引くと書いています。この「政令で定める額」が所得区分ごとの負担上限月額です。つまり、その月に払うのは医療費の1割か、所得区分ごとの上限額か、低いほうになります。1割が先にあって上限がかぶさるのではなく、両方を比べて安いほうという構造です。

「重度かつ継続」には2つの入口があります

市町村民税が課税されている世帯の方にとって、負担が大きく変わるのが「重度かつ継続」に当たるかどうかです。法令上の呼び名は高額治療継続者で、施行令35条1号に、費用が高額な治療を長期間にわたり継続しなければならない者として内閣総理大臣および厚生労働大臣が定めるものに該当すると認定を受けた人、と定義されています。

厚生労働省が示している範囲は、系統がふたつに分かれています。ここを混ぜて読むと自分が当てはまるかどうかがわからなくなるので、分けて書きます。

ひとつめは、疾病や症状から対象になる系統です。精神通院医療では、次のどちらかに当たる方です。

  • ICD-10でF0(症状性を含む器質性精神障害。高次脳機能障害や認知症など)、F1(精神作用物質使用による精神及び行動の障害。アルコール依存症や薬物依存症など)、F2(統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害)、F3(気分障害。うつ病や躁うつ病など)、G40(てんかん)に当たる方
  • 3年以上精神医療を経験している医師から、情動及び行動の障害、または不安及び不穏状態を示すことから、入院によらない計画的かつ集中的な精神医療(状態の維持や悪化予防のための医療を含みます)が続けて必要であると判断された方

ふたつめは、疾病等にかかわらず、高額な費用負担が継続することから対象になる系統です。こちらは医療保険の多数回該当の方が対象です。直近の12か月間に、公的医療保険の高額療養費の支給を3回以上受けた方をいいます。病名は問われません。

ひとつめの2番目の項目があるので、F0からF3とG40に入らない診断名でも該当することがあります。逆に言うと、これは医師の判断が要る部分なので、自分で決めることはできません。「重度かつ継続」を申請する場合は、通常の診断書に加えて「重度かつ継続」に関する意見書という別の様式が必要になると実施要綱に定められています。該当しそうかどうかは、診断書を書いてもらう診察のときに医師に相談してください。

上限額を決める「世帯」は住民票の世帯ではありません

自立支援医療でいちばん独特なのが、この「世帯」の数え方です。住民票の世帯ではなく、同じ公的医療保険に加入している人の範囲を「世帯」とみなします。

厚生労働省の通知は、この点を正面から書いています。受診する方と同じ医療保険に加入する世帯員をもって、生計を一にする「世帯」として取り扱うこと。そして、家族の実際の居住形態および税制面での取扱いにかかわらず、医療保険の加入関係が異なる場合には別の「世帯」として取り扱うこと。同居していても加入している保険が別なら所得を見る対象には入りませんし、離れて暮らしていても同じ保険に入っていれば入ります。

法令のほうでは、この範囲を支給認定基準世帯員と呼んでいます(施行令29条1項、施行規則38条)。具体的には次のようになります。

本人が加入している医療保険 「世帯」に入る人
健康保険・共済組合など被用者保険 その保険の被保険者(本人以外で、被保険者本人にあたる方)
国民健康保険 同じ世帯に属する国民健康保険の被保険者
後期高齢者医療 同じ世帯に属する後期高齢者医療の被保険者

そのうえで、市町村民税の所得割額をどう合算するかも決まっています(施行規則39条)。本人が被用者保険の被保険者本人である場合や生活保護を受けている場合は、本人の所得割額だけを見ます。本人が被用者保険の被扶養者である場合は、逆に支給認定基準世帯員(被保険者である家族)の所得割額だけを見ます。国民健康保険と後期高齢者医療の場合は、本人と世帯員の額を合算します。

厚生労働省の通知も同じことを、各医療保険制度で保険料の算定対象になっている者(被用者保険では被保険者本人、国民健康保険や後期高齢者医療では被保険者全員)に係る課税状況で認定する、という言い方で示しています。

世帯を分ける特例があります

家族の所得が高いために自分の上限額が上がってしまう、という状況には例外の扱いがあります。施行令29条2項と厚生労働省の通知に定めがあり、同じ世帯にいる親、兄弟姉妹、子などが税制と医療保険のどちらにおいても本人を扶養しないこととした場合には、申請にもとづいて、本人と配偶者をその親などとは別の「世帯」に属するものとみなす取扱いを選べます。

ただし通知は、この特例を認めるのは本人と配偶者が市町村民税非課税で、これ以外の同じ世帯の世帯員が市町村民税課税である場合だけだと限定しています。誰でも選べる抜け道ではありません。また、扶養から外れるということは、健康保険の被扶養者ではなくなり、税の扶養控除の対象からも外れるということです。家族の側の負担が変わりますので、実際に選ぶかどうかは家族と相談したうえで、窓口に必要書類を確認してから決めてください。

なお、受診する方が18歳未満の場合には、受診する方と受給者が同じ医療保険に加入していなくても同一の「世帯」とみなす、という別の特例もあります。

加入している医療保険が変わったときは、「世帯」の状況が変わったことになるので、速やかに届け出が必要です。

申請の窓口と、必要な書類

決めるのは都道府県、出すのは市区町村です

精神通院医療は、ほかの2つと少し流れが違います。実施主体は都道府県と指定都市で、支給認定を行うのも都道府県知事(指定都市では市長)です。一方で、申請書を出すのは居住地の市区町村です。施行規則35条3項に、精神通院医療に係る申請は居住地の市町村を経由して行うものとする、と定められています。

実際の流れは、申請者が市区町村に申請書と添付書類を出す、市区町村が内容を確認して所得区分などを記入したうえで都道府県に進達する、都道府県が資料を再確認して支給認定を行う、という順番です。受給者証も市区町村を経由して交付できることになっています(施行令30条、施行規則42条)。読者の側から見れば窓口はお住まいの市区町村ひとつで、その先の手続きは行政のあいだで進むと考えて差し支えありません。厚生労働省のリーフレットも「申請はお住まいの市町村の担当窓口で行ってください」と案内していて、担当課は障害福祉課や保健福祉課であることが多いとしています。

そろえる書類

厚生労働省が挙げているものと、施行規則35条2項が定めている添付書類はおおむね一致しています。

書類 中身 入手先
自立支援医療費支給認定申請書 受けたい自立支援医療の種類、加入している医療保険、希望する指定自立支援医療機関の名称などを記入します 市区町村(医療機関に置かれていることもあります)
医師の診断書 指定自立支援医療機関の医師に書いてもらいます。「重度かつ継続」を申請する場合は意見書が加わります 医療機関(様式は市区町村にもあります)
所得の状況が確認できる資料 課税世帯は課税証明書、非課税世帯は非課税証明書と本人の収入が確認できる書類、生活保護世帯は受給証明書 市区町村または福祉事務所
医療保険の加入関係を示すもの 「世帯」に属する方の名前が記載された被保険者証・被扶養者証・組合員証など 加入している医療保険
マイナンバーの確認書類 個人番号と身元確認ができる書類 個人番号カードなど

申請書に記載する事項は施行規則35条1項に列挙されていて、そのなかには希望する指定自立支援医療機関の名称・所在地・連絡先も入っています。病院だけでなく薬局も忘れずに書いてください。

所得を確認する書類については、市区町村が公簿等で事実を確認できるときは省略させることができる、と施行規則35条2項ただし書に書かれています。窓口で同意書を出すことで課税証明書の取得が省ける自治体もありますので、証明書を取りに行く前に一度たずねてみる価値があります。

自分が対象になるかを確かめる順番

最後に、迷ったときにどこから手をつければいいかを整理します。制度の条文をどれだけ読んでも、自分に当てはまるかどうかは条文からは出てきません。答えを持っているのは次の3か所です。

まず、通院している医療機関です。そこが指定自立支援医療機関かどうか、診断書を書いてもらえるか、「重度かつ継続」に当たりそうか。この3つは通院先でしかわかりません。次の診察のときに「自立支援医療を使いたい」と一言伝えれば足ります。医療相談室や精神保健福祉士がいる医療機関なら、書類の相談にも乗ってもらえます。

次に、お住まいの市区町村の担当窓口です。申請書の様式、必要書類、「世帯」の範囲と所得区分の判定、受給者証が届くまでの目安は、ここで確認できます。名前を伝えずに一般的な質問として電話で聞くこともできます。

それから、都道府県や指定都市の精神保健福祉センターです。精神通院医療の要否を判定するのはこのセンターですし、制度についての相談も受け付けています。指定自立支援医療機関かどうかの確認先としても厚生労働省が案内しています。

対象になるかどうかを自分ひとりで見極めようとすると、どうしても「たぶん無理だろう」のほうに傾きます。実際には、通院を続ける必要があると医師が判断していれば、対象になる可能性は十分にあります。制度全体の流れと上限額の一覧は自立支援医療制度の全体像にまとめてあります。手帳を取るかどうかで迷っている方は障害者手帳のメリットとデメリットを、働けない状態が続いていて生活費のことも考える必要があるなら精神疾患での障害年金を、あわせて読んでみてください。

わたしたちは就労支援の現場で、通院を続けながら通ってこられる方に会います。自立支援医療を使っていない方に理由を聞くと、自分の病名では対象にならないと思っていた、という答えが返ってくることがあります。対象かどうかを決めるのは病名だけではありませんし、判断するのは本人ではありません。次の診察のときに「自分は対象になりますか」と一言たずねるところから始めて構いません。