財布から受給者証を出したときに、有効期間の日付が思ったより近いことに気づく。そこから「何をいつまでに出せばいいんだったか」を思い出そうとして、去年の記憶が曖昧で不安になる。この記事は、そこにいる方のために書いています。
自立支援医療(精神通院医療)は、一度認定を受けたら終わりではなく、毎年の更新が必要な制度です。ただ、更新のためにやることは新規申請ほど多くありません。診断書は毎年は要りませんし、申請できる時期も3か月の幅があります。
この制度でややこしいのは、全国共通で決まっている部分と、自治体ごとに運用が違う部分が混ざっていることです。呼び方ひとつとっても、「更新」「継続申請」「再認定」と地域によって違います。そこでこの記事では、法令と厚生労働省の通知に書かれていること(つまり全国どこでも同じこと)と、お住まいの窓口で確認しないと決まらないことを分けて書きました。
制度そのものの入口や自己負担上限額の詳しい表は、自立支援医療制度で通院費を1割にする手順にまとめてあります。まだ申請していない方はそちらから読んでください。
有効期間は原則1年です
まず、期限がどう決まっているかを押さえます。
障害者総合支援法は、支給認定は「主務省令で定める期間」内に限って効力を持つと定めていて(第55条)、その期間を定めているのが同法施行規則第43条です。条文はこうなっています。
法第五十五条に規定する主務省令で定める期間は、一年以内であって、支給認定に係る障害者等の心身の障害の状態からみて指定自立支援医療を受けることが必要な期間とする。
法令上の言い方は「1年」ではなく「一年以内」です。実際の運用ではほぼ1年で認定されるため、厚生労働省の案内も自治体の案内も「有効期間は1年以内」「原則1年」と書いています。
終わる日は月の末日になります
もう少し具体的に決まっているのが、厚生労働省の通知です。「自立支援医療費の支給認定について」(障発第0303002号)の別紙4に、精神通院医療の有効期間の決め方が書かれています。
- 新規の申請の場合。市町村が申請を受理した日を始まりとして、そこから1年以内の日で月の末日にあたる日を終わりとします。
- 更新(再度の支給認定)の場合。前回の有効期間の満了日の翌日を始まりとして、そこから1年以内の日で月の末日にあたる日を終わりとします。
終わりが必ず月の末日になるので、申請した日のちょうど1年後ではありません。東京都はこれを「申請受理日から1年間(1年後の前月末まで)」と説明しています。5月20日に受理されたなら、翌年4月30日までという形です。
ここから、更新について大事なことがひとつ導けます。更新の申請を早めに出しても、有効期間が前倒しで削られることはありません。次の期間は前回の満了日の翌日から始まる決まりだからです。埼玉県も「更新が認定された場合は、有効期限の末日の翌日から1年間の受給者証が交付されます」と案内しています。早く出して損をすることはないので、迷ったら早いほうを選んで大丈夫です。
1年より短く区切られることもあります
有効期間が1年ぴったりでない場合もあります。代表的なのは次の2つです。
ひとつは、精神障害者保健福祉手帳と期限をそろえたい場合です。千葉県は、受給者証と手帳の有効期間終了日が違うために同時申請ができない方について、受給者証のほうの有効期間を短縮して手帳の終了日に合わせる取り扱いを案内しています。次回から同時に申請できるようになるので、診断書が1通で済む年をつくれます。ただしこれは千葉県の案内であって、全国どこでも同じ扱いというわけではありません。
もうひとつは、市町村民税所得割額が23万5千円以上で「重度かつ継続」に該当する方の扱いです。この区分は経過的な特例措置で、期限は令和9年3月31日までとされています。そのため横浜市は、この区分の方については受給者証に記載された有効期間にかかわらず最長でも令和9年3月31日までになると案内していますし、群馬県は受給者証にその旨のゴム印を押して交付すると書いています。
自分の受給者証がいつまでなのかは、券面の「有効期間」欄が答えです。まずそこを見てください。
更新の申請は、期限の3か月前からできます
ここが、この記事を読みに来た方がいちばん知りたいところだと思います。
厚生労働省の通知の別紙4には、こう書かれています。
支給認定の申請は、現に支給認定を受けている者がその継続のために申請する場合には、支給認定の有効期間の終了する日の概ね3か月前から行うことができるものとする。
厚生労働省が一般向けに出している「自立支援医療(精神通院医療)について」も、「更新の申請は、おおむね有効期間終了3ヶ月前から受付が始まります」と書いています。これが全国共通の枠組みです。
実際、東京都は「『継続(更新)』の申請は、『有効期間』の満了日の3か月前から行うことができます」、埼玉県は「更新の手続きは、期間満了の3か月前から受け付けています」、千葉県は「再認定申請は、有効期間が終了する3カ月前から可能です」、群馬県は「有効期間が終了する3ヶ月前から再認定の申請ができます」、兵庫県は「更新申請は、有効期間が終了する3ヶ月前からできます」、大阪市は「更新申請は、有効期限の3ヶ月前から手続できます」と、いずれも3か月前で揃っています。
ただし、断定できるのはここまでです。受付の窓口がどこか、郵送やオンラインで出せるか、書類が窓口に届いてから受給者証が手元に戻るまでどのくらいかかるかは、自治体ごとに違います。通知の言葉も「概ね3か月前から」であって、日にちを1日単位で全国一律に決めたものではありません。手続きの具体的な進め方は、お住まいの市区町村の窓口で確認してください。
案内が届くとは限りません
見落としが起きやすいのがここです。
更新の時期が近づいたら市区町村から必ずお知らせが届く、という決まりは全国共通では置かれていません。横浜市ははっきりと、更新申請について事前に個別のお知らせはしないので受給者証の有効期間を自分で確認してほしい、と書いています。いっぽうで横浜市は、更新申請を始められる年月を受給者証に印字しているので、券面を見れば時期はわかるようになっています。
案内のはがきを送っている自治体もありますが、それが来るかどうかを前提に予定を立てるのは危ないやり方です。受給者証を受け取ったその日に、有効期間が切れる3か月前の日付をスマートフォンのカレンダーに入れてしまうのがいちばん確実です。
更新に必要なもの
更新のときに用意するものは、新規のときより少なくなります。おおよそ次のとおりです。
| 用意するもの | 補足 |
|---|---|
| 支給認定申請書 | 様式は市区町村の窓口にあります。自治体のサイトからダウンロードできることもあります |
| 今持っている受給者証 | 施行規則で、現に支給認定を受けている場合は申請書に受給者証を添えることになっています |
| 医療保険の資格が確認できるもの | マイナ保険証、資格確認書、資格情報のお知らせなど。同じ医療保険に加入している方の分も必要です |
| 所得の状況が確認できる資料 | 課税証明書・非課税証明書など。市区町村が把握できる場合は省略できることがあります |
| 医師の診断書 | 2年に1回です。次の項目で詳しく書きます |
| マイナンバーの確認書類 | 個人番号カードなど |
書類の細かい名前と様式は自治体ごとに違います。窓口に電話して「更新の書類をそろえたいのですが、何が要りますか」と聞けば教えてもらえます。
診断書は原則2年に1回です
ここが、費用の面でも通院の手間の面でも、いちばん大きいところです。
厚生労働省の案内には、こう書かれています。
病態や治療方針に変更がなければ、2回に1回は医師の診断書の省略ができますので、詳しくは申請した市町村にお問い合わせください。
根拠は障害者総合支援法施行規則第35条第4項です。継続の申請をしようとする場合で、その方に病状の変化と治療方針の変更がなく、かつ直近の申請のときに診断書を添付していたときは、診断書を添付する必要がない、と定められています。だから毎年ではなく、2回に1回になります。
大阪市も「受給者証の有効期限は1年間ですが、更新時の診断書の提出は2年に1回です」と書いていますし、群馬県は「診断書の提出は、原則『2年に1度』(隔年)になり、手帳と同時申請した場合も同様です」「診断書を提出して認定を受けた翌年の申請は、原則、診断書が不要です」と案内しています。東京都も、有効期間の開始日が平成22年4月1日以降の継続申請では診断書の提出が2年に1度になると書いたうえで、受給者証の有効期間は原則1年なので継続申請の手続き自体は毎年必要だと念を押しています。ここは混同しやすいところなので、あらためて書いておきます。診断書が2年に1回になるだけで、申請は毎年です。
自分が今年どちらなのかは受給者証でわかります
「今年は診断書が要る年なのか、要らない年なのか」を思い出せないという方は多いと思います。これは記憶に頼らなくても確かめられます。
施行規則第41条は、受給者証に記載しなければならない事項を並べていて、その第9号に「当該支給認定に係る申請書への診断書の添付の有無(精神通院医療に限る。)」があります。つまり、前回の申請で診断書を出したかどうかは、受給者証の券面に書かれているということです。これは施行規則が定めている記載事項なので、全国共通です。
兵庫県の案内がいちばん具体的です。受給者証の「当該支給認定に係る申請書への診断書の添付」欄が「有」なら、今回の申請時点から病状と治療方針の変更がなければ次回の更新申請で診断書を省略できる、「無」または「精神障害者保健福祉手帳の写し」と書かれているなら診断書の添付が必要になる、と説明しています。
手元の受給者証を見て、その欄がどうなっているかを確かめてみてください。読み取り方がわからなければ、その部分を窓口で見せて聞けば済みます。
省略できないことがあるのは、こういう場合です
「2年に1回」には例外があります。あらかじめ知っておくと、慌てずに済みます。
手帳の写しで申請した年の次は、診断書が要ります。精神障害者保健福祉手帳を持っている方は、診断書の代わりに手帳の写しで申請できる扱いがあります。ただし東京都は、手帳の写しで申請された方は次回の継続申請では診断書の提出が必要になると案内しています。上に書いた受給者証の欄が「精神障害者保健福祉手帳の写し」となっているのがこの場合です。
都道府県知事が必要と認めるときは求められます。施行規則第35条第4項にはただし書きがあって、都道府県知事が必要があると認めるときは、診断書などの提出を求めることができるとされています。省略は原則であって、絶対の権利ではありません。
病状や治療方針が変わったときは省略できません。条文の条件そのものが「病状の変化及び治療方針の変更がないとき」だからです。診断名が変わった、薬の方針が大きく変わったといった事情があるなら、診察のときに医師に伝えて相談してください。
「重度かつ継続」に該当している場合
市町村民税が課税されている世帯で「重度かつ継続」(制度上は高額治療継続者といいます)の扱いを受けている方は、もう一段の注意が要ります。
施行規則第35条第4項は、高額治療継続者に該当する方については、直近の申請のときに医師の診断書と「重度かつ継続」に関する意見書の両方を添付していた場合に限って、次回の添付を省略できるという書き方をしています。診断書だけ出して意見書を出していなかったのなら、省略の対象にはなりません。
さらに、厚生労働省の通知にはこういうただし書きがあります。直近の申請のときに所得区分が生活保護・低所得1・低所得2で「重度かつ継続」に関する意見書を添付していなかった場合に、今回あらためて「重度かつ継続」の申請を行うのであれば、その意見書の添付は省略できない、というものです。
これが効いてくるのは、非課税だった方が課税世帯になった年です。非課税のあいだは「重度かつ継続」に当てはまってもいなくても上限額が変わらないため、意見書を出していないことがあります。ところが課税世帯になると、「重度かつ継続」に該当するかどうかで上限額が変わります。この年に意見書を出そうとすると、省略の対象外なので新たに医師に書いてもらうことになります。世帯の収入が変わりそうな心当たりがあるなら、更新の相談をするときに窓口でこの点を先に確認しておくと、あとから慌てずに済みます。
診断書は「作成から3か月以内」が目安です
診断書が必要な年に気をつけたいのが、診断書の鮮度です。埼玉県は「申請日から3か月以内に作成されている必要があります」、千葉県は「診断書作成日から、3か月以内にお住まいの市町村窓口で申請してください」、群馬県は「診断書は申請日から3か月以内に作成されたものが有効です。作成から3か月以上経過した診断書は申請に利用できません」と案内しています。東京都も「申請日から3か月以内に作成されたもの」としています。
3か月前から申請できるとはいえ、診断書をあまり早く書いてもらいすぎると、今度は期限のほうに引っかかることがあります。診断書が必要な年は、更新の時期に入ってから医師に依頼する順番にすると安全です。この3か月という扱いが全国共通の決まりなのかは自治体の案内からは断定できませんので、心配なら窓口で確認してください。
所得区分は毎年見直されます
更新は「同じ内容で1年延ばす」手続きではありません。そのつど、所得区分が判定し直されます。
厚生労働省の通知(別紙1)には、所得区分は支給認定の審査時に把握されている所得状況にもとづいて認定するものとする、と書かれています。更新も支給認定のやり直しですから、そのときの課税状況で改めて区分が決まります。
判定の材料になるのは、同じ公的医療保険に加入している方の市町村民税の課税状況です。ここでいう「世帯」が住民票の世帯ではなく医療保険の単位だという話は、自立支援医療制度で通院費を1割にする手順のほうで詳しく書いていますので、あわせて読んでください。
課税状況をどの年度で見るかも通知に書かれていて、自立支援医療を受ける日の属する年度の課税状況が基準になります。ただし、その日の属する月が4月から6月である場合は前年度の課税状況を使います。市町村民税の新しい年度分が6月に確定するためのずれです。
そのため、ご自身や同じ医療保険の方の収入が変われば、次の更新のときに上限額が変わることがあります。働き始めた、休職から復職した、扶養に入った、扶養から外れた、といった変化はどれも区分に影響します。区分が下がって負担が軽くなることもありますし、上がることもあります。
なお、通知は、4月から6月に受診していて7月以降も有効期間が続く場合について、7月の時点で課税状況を再確認することを必ずしも要しない、ともしています(個別の判断で再確認することは妨げないとも書かれています)。つまり年度の途中で自動的に区分が切り替わるとは限りません。
収入や「世帯」の状況が変わったときは、更新を待たずに変更の手続きをすることになります。所得区分が変わる場合、通知では、変更の認定を行った日の属する月の翌月の初日から新しい区分に変わるとされています。東京都も「自己負担上限月額に関わる事項については申請受理の翌月1日から」、大阪市も「自己負担限度額の変更の場合は、お住まいの区の窓口受付日の属する月の翌月1日からの適用となります」と案内していて、通知の内容と一致しています。
期限が切れてしまったらどうなるか
ここは実害が出るところなので、はっきり書いておきます。
有効期間が切れたあとの申請は、新規の申請として扱われます。兵庫県は「有効期間終了後、再度自立支援医療(精神通院医療)を利用する場合は、新規申請(再申請)をしてください」「新規申請(再申請)の場合は、市町の受理日が有効期間の開始日になります」と案内しています。東京都は「有効期間を過ぎてしまってからの申請は『再開申請』となり、自立支援医療診断書(精神通院)の提出が必要となります」と書いています。大阪市は、期限を過ぎてから申請した場合は新規申請扱いになるため、区の窓口の受付日が有効期間の始まりになり、受給者番号が変わる場合があるとしています。
実際に何が起きるかを整理します。
切れているあいだの医療費は1割になりません。有効期間は窓口が申請を受理した日から始まるため、それより前の受診にさかのぼって適用することはできません。横浜市は「有効期間を過ぎてしまうと、再申請するまでの間は自立支援医療が受けられなくなりますので、注意してください。(さかのぼりはできません。)」と明記しています。大阪市も、受給者証の期限切れなど受給者の側の事情で自己負担した分は償還払いの対象外になると書いています。
診断書が必要になります。省略できるのは「有効期間満了後も引き続き」申請する場合の扱いなので、いったん切れて新規扱いになれば用意することになります。本来なら要らない年でも書いてもらうことになり、文書料も自己負担です。
受給者番号が変わることがあります。大阪市が案内しているとおりです。手続き上のことですが、番号を控えている場合は更新しておく必要があります。
3か月前から申請できるようになっているのは、こうした空白をつくらないためです。それでも、体調が落ちている時期に手続きの記憶を保つのは難しいことだと思います。もし切れてしまっても、手続きそのものはやり直せます。気づいた時点で市区町村の窓口に相談してください。「期限が切れてしまったのですが」と伝えれば、そこから何をすればいいかを教えてもらえます。
途中で変わったときの手続き
有効期間の途中で状況が変わったときは、更新を待たずに手続きが必要です。ここは「申請」と「届出」の2種類があって、どちらになるかで扱いが違います。
厚生労働省の通知(別紙1)は、負担上限月額に関わる変更(所得区分と「重度かつ継続」の該当・非該当)と指定自立支援医療機関の変更は支給認定の変更申請、それ以外の記載事項の変更は受給者証等記載事項変更届で扱うと整理しています。
転院するとき、薬局を変えるとき
受給者証に書かれた医療機関や薬局でしか使えないため、変えるときは変更申請が必要です。
大事なのはタイミングです。通知には、指定自立支援医療機関の変更の必要があると判断した場合は変更の認定を行った日以降より新たな医療機関に変更する、と書かれています。さかのぼりません。東京都も「医療機関等については申請受理日から変更後の内容が適用になります」、横浜市も「変更申請の受理日(または申請者が指定する受理日以降の日)から、新しい医療機関において、自立支援医療を利用することができます。(日付のさかのぼりはできません。)」と案内しています。埼玉県は「受診される医療機関を変更する場合には、受診される前に市町村担当窓口で必ず手続きを行ってください」、群馬県も「医療機関等を変更する場合は、必ず事前に申請をしてください」と書いています。
新しい病院や薬局にかかる前に手続きを済ませる。これが原則です。転院を考え始めた段階で窓口に相談しておけば、自己負担が3割に戻る期間をつくらずに済みます。
薬局については、自治体独自の救済を用意しているところもあります。横浜市は、登録していない薬局で調剤してもらった場合でも、その日のうちにオンラインまたは区の窓口で変更申請をすれば制度の適用になると案内しています。ただしこれは横浜市の運用であって、全国どこでも同じではありません。また横浜市は、登録した薬局であっても受給者証に記載されていない病院からの処方せんでは適用にならないこと、薬の処方日が有効期間外なら調剤日が期間内でも適用にならないことも書いています。更新の時期に処方せんをまたぐときは、この点も頭に入れておいてください。
引っ越すとき
引っ越しは、どこへ移るかで扱いが二段階に分かれます。
同じ都道府県のなかで移る場合。厚生労働省の通知は、同一の都道府県(指定都市を含みます)の区域内で居住地を移したときは市町村長を経由して都道府県知事に届け出させるものとしています。記載事項の変更届の扱いです。千葉県も、県内での転居は転居先の市町村で手続きするよう案内していて、そのときは受給者証を持っていくよう書いています。
他の都道府県や政令指定都市へ移る場合。こちらは同じようにはいきません。障害者総合支援法第57条第1項第2号は、支給認定障害者等が有効期間内に支給認定を行った市町村等以外の区域に居住地を有するに至ったと認めるときは、支給認定を取り消すことができると定めています。厚生労働省の通知も、受診者が他の都道府県に居住地を移したときは受給者証を返還させることとしています。千葉県は「手続は基本的に新規の取り扱いとなりますので、窓口にご確認ください」と案内しています。
新規扱いになると、原則としてまた診断書が要ることになります。ただし、ここには自治体ごとの緩和があります。千葉県は、他の都道府県や政令指定都市からの転入の場合、医師の診断書に代えて前の自治体が発行した有効期限のある医療受給者証の写しで申請することもできる(その際は申請時の診断書の写しが必要)と案内しています。横浜市も、市外転入申請のときに使う「自立支援医療診断書(写し)の提供に関する依頼書及び同意書」の様式を用意しています。これらは各自治体の運用なので、転居先がどう扱っているかは移る前に確認してください。引っ越しが決まったら、前の自治体で診断書の写しをもらえるかどうかを聞いておくと、二重に文書料を払わずに済むことがあります。
加入する医療保険が変わったとき
転職、退職、家族の扶養に入る、扶養から外れるといった理由で加入する医療保険が変わったときは、届出が必要です。厚生労働省の通知は、保険の種類に変更が生じた場合は届け出させるものとしていますし、加入している医療保険が変更となった場合など「世帯」の状況が変化した場合は、新しい被保険者証の写しなど必要な書面を添えて速やかに変更の届出をさせるものとする、とも書いています。
ここは所得区分にも直結します。この制度の「世帯」は同じ医療保険に加入している方の範囲なので、保険が変われば所得を見る相手も変わります。千葉県も「加入医療保険の変更や結婚などにより、加入医療保険ごとの『世帯』に変更があった場合は、『所得区分』についても変更となる場合があります」と注意を促していますし、群馬県も、加入医療保険の変更により世帯の所得が増減すると市町村窓口で別途手続きが必要になる場合があると書いています。通知も、「世帯」の状況の変化にともなって支給認定の変更が必要になった場合は、届出とは別に支給認定の変更の申請が必要になる点に留意するよう求めています。
つまり、保険が変わったときは届出だけで終わらない可能性があるということです。窓口で「保険が変わったのですが、上限額も変わりますか」と一言たずねてください。
名前が変わったとき
氏名を変更したときも届出が必要です。厚生労働省の通知は、受給者証の交付を受けた者が氏名を変更したときは市町村長を経由して都道府県知事に届け出させるものとしています。記載事項変更届の扱いで、受給者証を持って窓口へ行きます。埼玉県も、氏名・住所・保険情報に変更があった場合は市町村担当窓口で手続きするよう案内しています。
手続きの早見表
ここまでを一枚にまとめます。名前や様式は自治体ごとに違うので、あくまで「どの種類の手続きになるか」の目安として見てください。
| 変わったこと | 手続きの種類 | いつから効くか |
|---|---|---|
| 有効期間が近づいた | 更新(継続・再認定)の申請 | 前回の満了日の翌日から次の期間が始まります |
| 病院・診療所を変える、薬局を変える・追加する | 支給認定の変更申請 | 申請が受理された日以降です。さかのぼりません |
| 収入が変わって所得区分が変わる | 支給認定の変更申請 | 変更の認定をした日の属する月の翌月1日からです |
| 同じ都道府県のなかで引っ越した | 記載事項変更届 | 窓口で受給者証に記載してもらいます |
| 他の都道府県・政令指定都市へ引っ越した | 転居先で改めて申請(原則として新規扱い) | 新しい自治体が受理した日からです |
| 加入する医療保険が変わった | 記載事項変更届(+所得区分が変わるなら変更申請) | 区分の変更は翌月1日からです |
| 氏名が変わった | 記載事項変更届 | 窓口で受給者証に記載してもらいます |
| 受給者証をなくした・破った・汚した | 再交付の申請 | 施行令に定めがあります |
迷ったときに聞く先
更新は年に一度しかないので、細かいところを覚えていなくて当たり前です。全部を思い出そうとせず、次の2か所に聞けば足ります。
お住まいの市区町村の担当窓口。障害福祉課や保健福祉課という名前のことが多いところです。更新の受付がいつからか、今年は診断書が要るのか、どの書類を持っていけばいいのか、郵送でも出せるのか、所得区分が変わりそうなときはどうすればいいのか。これらはすべてここで確認できます。受給者証を手元に置いて電話すれば、券面を見ながら答えてもらえます。
通っている医療機関。診断書が必要な年なら、いつごろ依頼すれば間に合うか、文書料はいくらか、「重度かつ継続」の意見書も必要かどうかは、通院先でしかわかりません。次の診察のときに受付か医師にたずねれば済みます。医療相談室や精神保健福祉士がいる医療機関なら、書類の相談に乗ってもらえることもあります。都道府県や指定都市の精神保健福祉センターも、制度についての相談を受け付けています。
今日できることは、受給者証を出して有効期間の日付を確認し、そこから3か月引いた日をカレンダーに入れることだけです。診断書が要る年かどうかは「診断書の添付の有無」の欄でわかりますから、あわせて見ておいてください。そこまでやっておけば、あとは時期が来たときに窓口へ行けば進みます。
わたしたちは就労支援の現場で、受給者証の期限をうっかり切らしてしまった方に会うことがあります。1年は思っているより早く来ますし、案内が届くとは限りません。受給者証を受け取ったその日に、期限の3か月前をカレンダーに入れておくのがいちばん確実です。切れてしまうとさかのぼれないので、ここは他の手続きより慎重でいいところだと思います。
