診断書を書いてもらったあと、それを会社に出す前で手が止まる方がいます。もらった時点ではまだ自分の中の話ですが、提出すると相手のある話に変わるからです。止まる理由は、たいてい「出したあとに何が起きるのか分からない」という一点にあります。会社の記録にどう残るのか、誰の目に触れるのか、保険や住宅ローンに響くのか。分からないまま考えていると、想像のほうが大きくなります。

この記事では、診断書を会社に出したときに実際に何が起きて、何が起きないのかを、公的な資料で確認できる範囲だけ並べます。確認できたことと、確認できなかったことは分けて書きます。診断書のもらい方や費用については、ここでは扱いません。

「デメリット」として検索されていること

先に一覧で答えを書いておきます。

心配されていること 確認できた範囲での答え
人事の記録に残って不利に扱われるのではないか 情報の扱いは労働安全衛生法と国の指針で枠が決められています。情報の内容を理由に解雇や退職勧奨などを行うことは、指針で禁じられています
病名が上司や同僚に広まるのではないか 会社が扱えるのは健康確保と安全配慮義務の履行に必要な範囲に限られます。疾患名は特に慎重に扱うべきものとされています
生命保険に入れなくなるのではないか 引受けの基準は各社が定めるもので、公表資料では確認できませんでした
住宅ローンが組めなくなるのではないか 団信の加入には保険会社の承諾が必要です。承諾の基準は確認できませんでした。加入しない形で借りる仕組みはあります
運転免許を失うのではないか 免許の判断材料は道路交通法の「一定の病気等」です。政令の「そううつ病」にはうつ病も含まれますが、病名で一律に決まるのではなく、症状の程度で個別に判断されます
転職のときに不利になるのではないか 採用選考は応募者の適性と能力を基準に行うものとされています。前職への照会については確認できませんでした

以下、ひとつずつ根拠を示していきます。

診断書を出すと、会社では何が始まるか

診断書を出したあと、会社で動き出すこと

  1. 1主治医の診断書を管理監督者等に提出する病気休業を必要とする旨のほか、必要な療養期間の見込みを明記してもらうことが望ましいとされています
  2. 2管理監督者等が社内に連絡する診断書が出されたことを、人事労務管理スタッフと事業場内産業保健スタッフに伝えます
  3. 3休業中の説明を受ける療養に専念できるよう安心してもらうとともに、休業中の事務手続きや職場復帰支援の手順が説明されます
職場復帰支援の手引きの第1ステップ「病気休業開始及び休業中のケア」に書かれている流れです。産業医との面談が設定されることもあります。

まず、提出後に動き出すものを見ておきます。ここが分かると、不安の輪郭が少し変わります。

厚生労働省と労働者健康安全機構が出している「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、職場復帰支援の第1ステップが「病気休業開始及び休業中のケア」とされ、その最初の項目に診断書の提出が置かれています。手引きにはこう書かれています。

病気休業の開始においては、主治医によって作成された診断書を労働者より管理監督者等に提出してもらう。

診断書には、病気休業を必要とする旨のほかに、職場復帰の準備を計画的に行えるよう、必要な療養期間の見込みについて明記してもらうことが望ましいとされています。

提出されると、管理監督者等は診断書が出されたことを人事労務管理スタッフと事業場内産業保健スタッフに連絡します。そのうえで、休業を開始する人には療養に専念できるよう安心してもらうとともに、休業中の事務手続きや職場復帰支援の手順を説明することになっています。

つまり診断書は、会社側の手続きを起動する書類です。休職の開始、休業中の連絡の取り方、傷病手当金などの案内が、ここから動き出します。産業医との面談が設定されることもあります。

主治医との連絡についても手引きは触れていて、「場合によっては労働者の同意を得た上で主治医と連絡を取ることも必要となる」と書かれています。会社が勝手に主治医とやりとりを始める形にはなっていません。

会社がその情報を扱うときのルールは、法律で決まっています

診断書に書かれていることは、法律の言葉では「心身の状態に関する情報」にあたります。これには、法律そのものに定めがあります。

労働安全衛生法第104条の第1項です。

事業者は、この法律又はこれに基づく命令の規定による措置の実施に関し、労働者の心身の状態に関する情報を収集し、保管し、又は使用するに当たつては、労働者の健康の確保に必要な範囲内で労働者の心身の状態に関する情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。

第2項では情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならないとされ、第3項にもとづいて厚生労働大臣が指針を公表することになっています。それが「労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成30年公示第1号、令和4年改正)です。

指針はまず、心身の状態の情報のほとんどが個人情報保護法上の「要配慮個人情報」に該当する機微な情報だとしています。そのうえで、事業者がこれを取り扱う目的は労働者の健康確保措置の実施と、事業者が負う民事上の安全配慮義務の履行であると定めています。目的が二つに限定されている、という点が出発点です。

会社には、取扱いのルールを文書にして共有する義務があります

指針は、事業者が事業場ごとに「取扱規程」を定めることを求めています。定めるべき事項として挙げられているのは、情報を取り扱う目的と方法、取り扱う者とその権限、本人同意の取得方法、適正管理の方法、開示や訂正等の方法、第三者提供の方法、苦情の処理、そして労働者への周知の方法などです。策定にあたっては衛生委員会等を活用して労使が関与し、策定したものを労働者と共有することが必要とされています。就業規則その他の社内規程で定めて掲示や備え付けを行う、イントラネットに掲載するといった方法が挙げられています。

ここは実務的に使える話です。「うちの会社は診断書をどう扱うのか」は、想像で心配するのではなく、取扱規程という文書を見せてもらえば確かめられるということになります。

自分で出した診断書と、会社が主治医に問い合わせることは別です

指針の中で、診断書を出す場面に直接効いてくる一文があります。

労働者本人が自発的に事業者に提出した心身の状態の情報については、「あらかじめ労働者本人の同意」を得たものと解されるが、当該情報について事業者等が医療機関等に直接問い合わせる場合には、別途、労働者本人の同意を得る必要がある。

自分で出した診断書については、その提出をもって同意があったものとされます。一方で、その内容について会社が医療機関に直接聞きに行くには、あらためて同意が要ります。診断書を1枚渡したことが、主治医とのやりとりまで包括的に許したことにはならない、という区切りです。

職場復帰支援の手引きも同じ方向で、健康情報を主治医や家族から集めるときはあらかじめ利用目的と必要性を明らかにして本人の承諾を得るとし、これらの情報は労働者本人から提出を受けることが望ましいとしています。同意は包括的・黙示ではなく、個別に明示の同意を得ることが望ましいとまで書かれています。

不利益な取扱いは、指針が正面から禁じています

いちばん心配されている点です。指針の2(8)は「労働者に対する不利益な取扱いの防止」という項目で、次のように書かれています。

事業者は、心身の状態の情報の取扱いに労働者が同意しないことを理由として、又は、労働者の健康確保措置及び民事上の安全配慮義務の履行に必要な範囲を超えて、当該労働者に対して不利益な取扱いを行うことはあってはならない。

そのうえで、一般的に合理的とはいえないため原則として行ってはならない取扱いが具体的に挙げられています。情報の取扱いに同意しないことや情報の内容を理由として、次の措置を行うことです。

  • 解雇すること
  • 期間を定めて雇用される者について契約の更新をしないこと
  • 退職勧奨を行うこと
  • 不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換または職位(役職)の変更を命じること
  • その他労働契約法等の労働関係法令に違反する措置を講じること

理由が上に挙げたもの以外であっても、実質的に該当する場合は同じく行ってはならないと念押しされています。

これは「そういう扱いは起こり得ない」という保証ではありません。ただ、起きた場合にそれが指針に反する扱いであることは、はっきりしています。

病名がどこまで伝わるかについて

職場復帰支援の手引きは、健康情報の中でもメンタルヘルスに関するものは慎重な取扱いが必要だとしたうえで、こう書いています。

特に、メンタルヘルスに関する健康情報等のうち、心の健康問題を示す疾患名は誤解や偏見を招きやすいことから、特に慎重な取扱いが必要である。

望ましい体制としては、健康情報が産業医等あらかじめ定められた特定の部署で一元的に管理され、業務上必要であると判断される限りで、必要とする人に提供される形が挙げられています。その部署は情報を集約・整理・解釈するなど適切に加工する役割を持つとされています。

この「加工」は指針にも定義があり、提供する情報の内容を記録そのものではなく、所見の有無や就業上の措置に係る医師の意見に置き換えることだと説明されています。現場の言葉にすると、「病名」ではなく「どういう配慮が要るか」の形で伝わるのが本来の姿だということです。

なお指針は、労働者が自分に関する情報について、開示、訂正等、使用停止等を事業者に請求する権利を持つことにも触れています。渡したら終わり、という関係ではありません。

出さない場合に、代わりに失うもの

ここまでは提出した場合の話でした。比較のために、出さない場合を見ておきます。診断書を出さないという選択には、確認できる形で失うものがあります。

ひとつは休職の適用です。職場復帰支援の手引きは病気休業の開始に診断書の提出を置いていて、多くの会社の就業規則も同じ形で医師の診断書を休職開始の要件にしています。診断書がないまま欠勤が続くと、休職ではなく単なる欠勤として扱われることがあります。

もうひとつは傷病手当金です。これは構造として、はっきりしています。申請に使う「健康保険傷病手当金支給申請書」は、被保険者本人が記入する部分のほかに、療養担当者(医師など医療機関の職員)が記入する部分事業主が記入する部分に分かれています。仕事に就くことができないかどうかは療養担当者の意見等をもとに判定されます。つまり、医師に書いてもらう工程を抜かすと申請そのものが成立しません。

診断書を出す 出さない
休職の適用 就業規則にもとづく休職の手続きが始まります 欠勤として扱われる可能性があります
傷病手当金 申請の前提が整います(療養担当者の記入欄が必要です) 申請そのものが成り立ちません
就業上の配慮 医師の意見をもとに配慮を求めやすくなります 制度上の根拠を示しにくくなります
会社が持つ情報 心身の状態の情報として記録されます(扱いは指針の枠内) 増えません

出す・出さないは、失うものと得るものを並べて決める話です。「出さないほうが安全」とは限らない、という点だけは押さえておいてください。

生命保険や医療保険の告知はどうなるか

ここは正直に書きます。各社の引受けの基準は確認できませんでした。

保険に入れるかどうかは、それぞれの保険会社が定める引受けの基準によります。全国共通の公表された基準を探しましたが、見つけられませんでした。したがってこの記事では、「診断書をもらうと保険に入れなくなる」とも「問題なく入れる」とも言えません。

確認できたのは、告知という仕組みの形のほうです。保険法第37条(生命保険契約)と第66条(傷害疾病定額保険契約。医療保険などが含まれます)は、告知義務について次のように定めています。

保険契約者又は被保険者になる者は、生命保険契約の締結に際し、(中略)危険に関する重要な事項のうち保険者になる者が告知を求めたもの(中略)について、事実の告知をしなければならない。

読むときに大事なのは、告知の対象が「保険会社が告知を求めた事項」だという点です。自分の病歴を思いつく限り申告する制度ではなく、告知書に書かれた質問に事実で答える制度です。損害保険についても第4条に同じ構造の規定があります。

告知を怠った場合の扱いも法律にあります。第55条(生命保険)と第84条(傷害疾病定額保険)は、告知事項について故意または重大な過失により事実を告げず、または事実と異なる告知をしたときに、保険会社が契約を解除できると定めています。ただし解除権には期限があり、解除の原因があることを知った時から1か月間行使しないとき、または契約の締結の時から5年を経過したときは消滅します。

書けるのはここまでです。診断書という書類そのものより、通院や診断の事実をどう告知するかが問われる場面なので、告知書の質問文を実際に見て、分からないところは契約の前に保険会社に聞いてください。

住宅ローンの団体信用生命保険について

住宅ローンでは、多くの場合、団体信用生命保険(団信)への加入が関わってきます。ここも各社の判断が絡む領域なので、公的な機関が公表している範囲で書きます。

住宅金融支援機構の【フラット35】で使われる新機構団信の加入要件は、「新機構団体信用生命保険制度申込書兼告知書」の記入・入力日現在で満15歳以上満70歳未満であることと、幹事生命保険会社の加入承諾があることの両方に当てはまる方とされています。加入には保険会社の承諾が要る、という形です。その承諾の基準は、公表資料では確認できませんでした。民間の金融機関が扱う団信についても同じで、引受けの基準は各社が定めるものです。

告知については、機構の案内に「記入・入力日(告知日)現在のありのままの状態をご本人がもれなく正確にご記入・ご入力ください」と書かれています。あわせて、「告知の内容と事実が異なっていた場合には、生命保険会社から住宅金融支援機構に保険金が支払われず債務を弁済できないことがあります」とされています。

そのうえで、知っておいてよい記載がひとつあります。機構の案内には「健康上の理由その他の事情で団体信用生命保険に加入されない場合も融資をご利用いただけます」とあります。団信に加入できない、あるいは加入しないという場合に、住宅ローンそのものが閉ざされる仕組みにはなっていない、ということです。ただし加入しなければ、万一のときに債務が残ります。金利の扱いを含めて、実際に借りる金融機関に確認してください。

運転免許はどうなるのか

「診断書を出したら免許を取り上げられるのではないか」という心配も見かけます。事実関係を分けて整理します。

警察庁は、運転免許の拒否や保留の対象となる「一定の病気等」として次のものを挙げています。

  1. 介護保険法第5条の2に規定する認知症
  2. アルコール、麻薬、大麻、あへんまたは覚醒剤の中毒
  3. 幻覚の症状を伴う精神病であって政令で定めるもの(統合失調症)
  4. 発作により意識障害または運動障害をもたらす病気であって政令で定めるもの(てんかん、再発性の失神、無自覚性の低血糖症など)
  5. 自動車等の安全な運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるもの(そううつ病、重度の眠気を伴う睡眠障害など)

取消しや効力の停止の対象には、これに加えて視覚障害や体幹機能障害等の身体の障害が入ります。

この5番目にある「そううつ病」が、うつ病を含むかどうかが問題になります。警察庁のページは病名だけを短く挙げていますが、もとになっている道路交通法施行令第33条の2の3第3項第1号を読むと、こう書かれています。

そう鬱病(そう病及び鬱病を含み、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないものを除く。)

政令の「そううつ病」には、うつ病単独も明示的に含まれています。ただし括弧の後半が同じくらい大事で、安全な運転に必要な認知・予測・判断・操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないものは除かれます。3や4にも同じ形の除外規定があります。つまり、病名が付いた時点で一律に判断されるのではなく、安全な運転に支障のある症状を呈するかどうかで個別に判断される仕組みです。

なお、会社に診断書を提出したことが免許の手続きに影響するという記載は、警察庁の資料には見つけられませんでした。会社への提出と免許の手続きは、別々の制度の中にあります。

服薬や症状が運転にどう影響するかは医学的な判断なので、ここでは断定しません。主治医に相談したうえで、警察庁の全国統一の安全運転相談ダイヤル#8080を使う方法もあります。警察庁の案内では、身体の障害や一定の症状を呈する病気等による症状のため安全な運転に支障のある方等の相談先とされていて、受付時間は原則として平日の執務時間内です。

転職のときにどう扱われるか

ここも分からないことを分からないと書きます。応募先が前の会社に休職歴や診断書のことを照会するかどうかについて、全国一律の答えを示した公的な資料は見つけられませんでした。

確認できたのは、採用選考についての国の基本的な考え方です。厚生労働省は、採用選考を「本人の適性・能力に基づいた採用基準」で行うべきものとしています。そのうえで、就職差別につながるおそれのある事項を具体的に挙げていて、選考の方法についてのものとして「合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施」や身元調査などの実施が含まれています。

これは休職歴や診断書そのものについての規定ではありません。ただ、健康に関することを採用の場面で無制限に扱ってよいとはされていない、という方向は読み取れます。伝えるかどうかで迷うときは、ハローワークや都道府県労働局の相談窓口に聞くのが確実です。

なお、障害者手帳を取ることのデメリットについては、障害者手帳のデメリットは本当にあるのかで別に整理しています。診断書と手帳は別の書類で、手続きも扱いも違います。

確認できたことと、確認できなかったこと

最後に、この記事で分かったことと分からなかったことを分けておきます。

確認できたのは、会社の側にかかっている枠のほうです。扱える目的は健康確保措置と安全配慮義務の履行に限られること、情報の内容を理由とする解雇や退職勧奨などは行ってはならないこと、主治医への直接の問い合わせには別途同意が要ること、会社は取扱規程を定めて労働者と共有する必要があること。いずれも労働安全衛生法第104条と国の指針に書かれています。

確認できなかったのは、生命保険や医療保険の引受けの基準、団信の加入承諾の基準、応募先が前職へ休職歴を照会するかどうかの一般的な扱い、そして診断書の提出がその後の昇進や賃金にどう影響するかを示す全国的な数字です。いずれも各社の判断によるものか、公表された資料を見つけられなかったものです。この記事では、ここを埋めずに残しておきます。

迷っているときの、確かめる順番

決めかねているときに、想像ではなく事実を増やす方法を書いておきます。

1つめは、自分の会社の取扱規程です。指針では、事業者が心身の状態の情報の取扱規程を定め、労働者と共有することが必要とされています。就業規則や社内規程、イントラネットのどこかに置かれているはずのものです。人事や総務に「健康情報の取扱規程を見たい」と伝えれば、本来は示されるものです。

2つめは、就業規則の休職に関する規定です。休職の開始に何が必要か、期間はどれくらいか、期間が満了したらどうなるかが書かれています。詳しくは休職の手続きと過ごし方にまとめました。

3つめは、診断書に何を書いてもらうかです。手引きでは、必要な療養期間の見込みを明記してもらうことが望ましいとされています。診察のときに、会社に出すこと、どのくらいの期間で書いてもらえそうかを相談しておくと、提出後の見通しが立ちます。

4つめは、保険や住宅ローンの各社への直接の確認です。この記事で確認できなかった部分は、そこにしか答えがありません。契約の前に聞いてください。

診断書を出すことは、自分の情報を会社に渡す行為です。それは事実です。ただ、渡した先の扱いには法律と指針の枠がかかっていて、その枠は労働者が「雇用管理において自身にとって不利益な取扱いを受けるという不安を抱くことなく」健康相談等を受けられるようにするためのものだと、指針の冒頭に書かれています。制度の側は、出したことが不利益につながらないようにする方向で作られています。

そのうえで、確認できない領域があることも書いてきたとおりです。全部が分かってから決められるものではありませんが、分からないのがどこかを知っておくと、決めるときの重さは少し変わると思います。

わたしたちは就労支援の現場で、診断書を出すかどうかを長く迷った方の話を聞きます。迷っているあいだに体調が落ちて、選べるものが減っていた、という順番になることがあります。心配されるほどの不利益が制度の中に見当たらない一方で、出さないことで使えなくなる制度のほうははっきりしています。天秤の左右で確かさが違う、ということは知っておいてよいと思います。